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“恐竜好きすぎる”アメリカ人 いつでも「恐竜ブーム」な理由とは?
その時代の最新技術を駆使し、“恐竜”を現代に蘇らせてきたハリウッド映画
93年当時から、初めて生き物をCGで描いた『ジュラシック・パーク』は“映画史を変えた傑作”と呼ばれ全世界で大ヒットした。「アニマトロニクス」と呼ばれる超巨大ロボットや、複数の動物の声をかけ合わせた鳴き声などの新しい手法を駆使し、“未知の恐竜”を現代に蘇らせたのである。
以降、ジュラシック・シリーズは第2作『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(1997年)、第3作『ジュラシック・パークIII』(2001年)、『ジュラシック・ワールド』と続き、今年は5作目となる『ジュラシック・ワールド/炎の王国』が7月13日より公開される。
こうした一連のジュラシック・シリーズのヒットにより、ウォルト・ディズニーからCGアニメ映画『ダイナソー』(2000年)、CG実写映画『ウォーキングwithダイナソー』(2013年)などのフォロワーも多く公開され、恐竜映画は本格的にひとつのジャンルとして確立した。とは言え、さかのぼれば1925年、無声映画ながらストップモーションや特殊メイクを駆使した『ロスト・ワールド』(アーサー・コナン・ドイル原作)が大ヒット。1960年には同原作で再び『失われた世界』が公開。本物のトカゲやワニに背びれを付けるなど当時の最新技術を駆使した恐竜映画が作られてきた歴史があり、アメリカ人にとって恐竜は馴染み深い題材であることが伺える。
ハリウッドの有名監督も熱烈なファン 初代『ゴジラ』本多猪四郎監督の功績とは?
そんな日本を代表する怪獣映画『ゴジラ』はアメリカでも大人気。1998年に公開されたハリウッド版『GODZILLA』は、トカゲのようなゴジラが日本のゴジラファンの不評を買ったものの興行的には大成功。そして前作から16年後、再びアメリカ版『ゴジラ GODZILLA』(2014年)が公開され、こちらは日本版ゴジラへのリスペクトが詰まった作品となった。原子力への問題提起など、ゴジラ映画の“魂”とも言うべき部分も受け継がれていることもあり、日本でも興行的な成功を収めた。
今や世界的な認知度を誇る『ゴジラ』だが、1954年に本作を世に送り出した故・本多猪四郎監督の名を知る日本人は少ない。ところが、海外では多くの有名監督からリスペクトされる存在。『タクシードライバー』(1976年)や『レイジング・ブル』(1980年)を手掛けたハリウッドの名監督マーティン・スコセッシ監督は、本多監督の映画をフィルムで10本以上所有するほどの熱烈なファン。実際、故・黒澤明監督の映画『夢』(1990年)に役者として出演した際、演出補佐だった本多監督のもとに駆け寄ると肩を組んで記念写真をし、「僕はこのために日本に来た」と言ったというエピソードは有名だ。ハリウッドでは、巨匠・黒澤明と並んで評価されるほどの存在であり、日本版初代『ゴジラ』が世界の映画シーンに与えた影響は大きいと言える。
幼少期から恐竜との“結び付き”が強いアメリカ人 恐竜への“憧れ”や“畏怖”も世界一?
さらに言えば、アメリカ人の“デカいもの好き”も関係しているかもしれない。一度アメリカに行ったことがある人なら分かるだろうが、アメリカでは国土はもちろんのこと、家も車もマクドナルドのセットもとにかくデカい。そうした”デカい“ものに囲まれた文化では潜在的に巨大なものに憧れるようになり、現存する動物の何倍も体が大きく、その破壊力で古代の地球を制覇していた恐竜に“憧れ”や“畏敬の念”を持つのは自然なこととも言える。
また、アメリカの映画館では喋ったり叫んだりしながら楽しむのが常識。恐竜が出てくる映画ともなれば、一種のアトラクション体験のようにもなり、激しいシーンでは館内が一体となって興奮し、叫びを上げる“リアクション祭り”に。そうした、周囲と“共感”しながら楽しめる映画としても「恐竜映画」は人気を獲得しているようだ。
幼少期からの遊びや博物館の体験などを通して、恐竜への親しみ、憧れ、畏怖とともに成長してきたアメリカ人。さらに“大きいもの好き”、“強いものが好き”といったアメリカ人気質も加わり、恐竜は子どもから大人にまで愛されるアメリカ文化となっているのではないか。
古代へのロマンだけではなく、CG技術をはじめ最先端技術をどん欲に取り入れ、恐竜好きが恐竜好きのために製作したアメリカの恐竜映画。『ジュラシック・ワールド』の次作も楽しみだが、最近では“毛が生えているのが常識”ともなった恐竜の姿を、いかにアメリカ人が消化し、披露してくれるかなど興味は尽きない。