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岩田剛典、グループと俳優の両立語る「当初、俳優はやりたいことではなかった」
「なんて気持ち悪い芝居をしているんだろう」、自分の演技に満足したことは1度もない
岩田剛典 最初に脚本を読んだとき、今回はすごくチャレンジングな出会いになるなという予感がしました。役柄に関しては視聴者の方が耶雲の目線になって感情移入できないとこの作品に入り込めないと思い、どこまでやりきったらいいのか芝居の“火加減”は瀧本監督と話し込んで繊細に作り上げていきましたね。こういうシリアスな作品で役をやらせてもらうのは、今までの自分のパブリックイメージを打破するきっかけとなるかなと思いました。
岩田剛典 毎回思うんですけど、自分の芝居に納得がいったことは本当に1度もなくて。僕、基本的に映画の現場ではモニターを見ないんですね。それで初めて試写を観ると「なんて気持ち悪い芝居をしているんだろう」って思うんです。自分が頭で思い描いているイメージと実際の映像を観たときの違和感は、どんなに芝居の経験を積んでも拭い去れなくて。今作も、表情や声、セリフ回し、話し方、姿勢など映像に映ったときのあらゆる所作がどういうふうに見えるのか、というのを瀧本監督から教えてもらいすごく勉強になりました。
――お話を聞いてるとてもストイックな印象を受けます
岩田剛典 どうなんですかね〜(笑)。でも映画が好きなので昔から邦画も洋画もたくさん見てきましたが、やっぱり理想的な芝居をしている方もたくさんいらっしゃるわけで。自分の理想の表現ができるまでにこれから一体どのぐらい時間がかかるんだろうなと思います。なので今はまだ反省ばかりですね。
デビュー当時は俳優の仕事は「やりたいこと」ではなかった
岩田剛典 好きなお仕事をやらせてもらえているっていうことですね。新しい表現を見つけるのはすごく好きなことですし、俳優業もアーティスト業も常に刺激の絶えない仕事だと思います。その両方に共通するのは「楽しい」という感情ですね。そもそも自分がやりたくて飛び込んだ世界なので、僕はこの道で一体どこまで行けるのかを知りたいし、やり切っていきたい。そういうある種の反骨精神みたいなものが自分を突き動かしているのかもしれません。
岩田剛典 実は、最初は含まれていなかったんです。基本的に僕は何でもやってみたい質なんですが、こうして俳優を経験したことで演技がいかに難しいのかを痛感しましたし、その分やりがいも感じました。俳優業は外のフィールドに出てひとりで勝負する個人活動で、“ひとりで勝負する”気持ち良さも実感しました。でも表現するツールは違えどお芝居もダンスもエンタテインメントであることに変わりはなくて。作品を見た方々から反響をいただき、それで逆にこちらが元気をもらえるなど共通点もたくさんあります。自分の表現によって世間の方たちに楽しんでもらえる、エンタテインメントを提供できるのは、日々の原動力になっています。
――こうしてグループから離れたところで個人として活躍することが、メンバー間で刺激になっているのでしょうか。
岩田剛典 それはありますね。活動内容が誰ひとりとして被る人がいませんし、各々が経験してきたものを共有することでグループのパワーがさらに大きくなるというのは皆が肌で感じています。僕の場合、マイクを持たない立場(パフォーマー)なので自分の歌声が世に届くことは今のところありません。だからこそ自分がやれることをひたむきに、一生懸命やるっていうのを大切にしています。根性論っぽいですけれど、でも結局は一番大事なことだと思うんですよね。何かやりたいことがあって、そのやり方がわからなかったとしても、その実現方法を考えることも含めて“モチベーション”だと思っています。だから本当に意識が高い人は、努力し続けたら絶対に報われると思うんです。そのやり方がわからないって言い訳しているようじゃ、まだまだなのかなって。
俳優は一生向き合える仕事
岩田剛典 “一生できる仕事”だと思います。今の年齢だからこそできる役がありますし、これから5年後、10年後、20年後…と年を重ねていく度に、ビジュアルも含めてその年代に合った役ができるわけじゃないですか。これから先も、今とはまた違う自分を表現できるのではないのかなと。もちろん厳しい世界なのは承知で、僕の代わりはいくらでもいると思っています。でも体力的なことから考えると、俳優は一生続けられる仕事だと思います。
――裏を返せば体力的に、アーティスト業(パフォーマー)は一生できる仕事かと問われれば難しい、と。
岩田剛典 歌手の方は続けられる可能性はあると思います。人気商売なことに変わりはないですが、歌っていうのは耳で感じるものじゃないですか。今も、ビジュアルを出さずに音楽性だけで勝負しているアーティストの方もたくさんいます。ですが、僕みたいなパフォーマーは音源では存在を発揮できないし、ライブやテレビパフォーマンスを観てもらうことでやっと伝えたいことが世に届くわけです。それに今のダンスのクオリティーを60歳、70歳になっても変わらず保てるわけがなくて。そういう意味だとアーティスト業(パフォーマー)はアスリートほどではないにしても、スポーツと一緒で100%でやれる期限っていうのは間違いなくありますよね。
岩田剛典 HIROさんからは「岩ちゃんはこうしたほうがいい」とか「絶対にこうしなきゃダメ」みたいなことは言われたことが一切なくて。むしろ「やりたいことがあったら、どんどん言って」といつもおっしゃってくださるんですが、僕はそうした場でもビビらずに言いたいことを言ってきたから、今こういう活動ができているのかなと思います。それこそ会社員の方みたいに、年の初めには「ヴィジョンシート」を毎年提出して、5年後、10年後こうなってたいという目標をHIROさんに伝えています。そういう部分も含めてうちの事務所はベンチャー企業と通じるところがあるなと感じます(笑)。俳優業にせよ、アーティスト業にせよ最終的には自己プロデュース力に長けている人が、芽が出てくる世界なのかなと思いますね。
――では、俳優としての仕事は今の岩田さんにとってグループのアーティスト活動と同じくらい大事なもの、ということですね。
岩田剛典 そうですね。そんな中で味方もたくさんつけないといけないので、社内プロモーションもすごく大切なんですよ(笑)。自分ひとりだけの力じゃ絶対に成り立たないですし、力を貸してくれる人を巻き込んだりするコミュニケーションも全部ひっくるめて“仕事”だと考えてます。
(文/kanako kondo、写真/TAKU KATAYAMA)
岩田剛典『去年の冬、きみと別れ』インタビュームービー
映画『去年の冬、きみと別れ』
監督:瀧本智行
原作:中村文則『去年の冬、きみと別れ』(幻冬舎文庫) (C)中村文則/幻冬舎
主題歌:m-flo「never」(rhythm zone/LDH MUSIC)
出演:岩田剛典、山本美月、斎藤工・浅見れいな、土村芳/北村一輝
(C)2018映画「去年の冬、きみと別れ」製作委員会