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国内プロゲーマー15名が誕生 eスポーツが“本気”で目指す五輪種目化、その課題と現実
海外のeスポーツ大会の優勝賞金は11億円! 1億円を稼ぐプロゲーマーも
実際、世界に目を向けるとその規模の大きさに驚かされる。マルチオンライン(MOBA)で最も流行っているゲーム『リーグ・オブ・レジェンド』のプレイヤー人口は推定7500万人。シューティングゲーム(FPS)『オーバーウォッチ』は3000万人。当然、海外で開催される大会規模は段違いで、昨年アメリカで開催された人気ゲーム『DOTA2』の大会では賞金総額が26億円。優勝賞金は約11億円にのぼった。
こうした人気に企業が目を向けないわけもなく、世界的人気を誇るサッカーゲーム『FIFA』の場合、世界大会で優勝すると実際の「バロンドール式典」にて表彰され、16万ドルが授与。あのメッシやクリロナと肩を並べて表彰されるのだ。また、ドイツ・ブンデスリーガやプレミアリーグのビッグクラブが自前の“eスポーツ部門”を抱え始めたりと、eスポーツが持つ“若年層へのマーケティング効果”を狙った動きは拡大の一途を辿っている。
日本では賞金がたったの10万円!? 日本人プロゲーマーは“海外へ出稼ぎ”に
世界の主要大会で20億円以上の賞金が出るのに対して、日本で開催された場合、賞金が“10万円”しか出せないのである。それはなぜかと言うと、日本でeスポーツの大会が開催された場合、主に「景品表示法」「風俗営業法」「賭博罪」の3つの法律が関係し、大会賞金が低く抑えられてしまうのだ。
そこで、一般社団法人デジタルメディア協会(AMD)はこれらの問題解決を図るため、業界内はもとより総務省など関係各省庁と連携。『闘会議2018』では景品表示法をはじめとした法律の課題をクリアし、賞金1,000万円の大会を実現させたのだ。
これにより、“プロ”にとってのステータスである、高額の賞金制大会の道筋を『闘会議』が作った点で本大会の意義は大きい。これまで、プロゲーマーにとって日本は魅力的な戦場となりえず、多くの日本人プロゲーマーは“海外への出稼ぎ”を余儀なくされていた。当然、渡航費の面などを考えると、一部の有力者以外がプロゲーマーとして活躍するには厳しい現状だった。こうした点にプロゲーマーの先駆者・板橋ザンギエフ(板ザン)氏は「韓国では子どものなりたい職業の1位がプロゲーマーなんです。日本でもプロゲーマーが夢のある職業になってほしい」と語る。
実際、板ザン氏は10日に行われた『ストリートファイターV アーケードエディション 闘会議GP大会』で、招待されたプロ選手20名の中から勝ち上がり見事優勝。優勝賞金200万円を獲得。プロゲーマーに“夢”があることを自ら示した。
2024年パリ五輪で正式種目化が検討、世界の潮流に日本もいよいよ始動
「ゲームが五輪種目になるわけない」と笑う人もいるだろう。しかし現実はまったく逆の流れとなっている。アジア五輪評議会は、2022年に開催される『アジア競技大会』でeスポーツを正式なメダル種目とすることを発表。さらには、2024年のパリ五輪でも正式種目化が検討されている。
こうした世界の動きに対し、2022年の「アジア競技大会」に選手を送り込むためには、eスポーツの統一団体を作る必要があったのだ。つまり、『闘会議』で見られたeスポーツのうねりは、将来実現が予想される“五輪種目化”を見据えた第一歩と言える。
eスポーツの認知や国民の理解が必須、険しいメジャー化への道
以前からプロゲーマーとして活躍する板ザン氏も、「ゲーマーという言葉自体、まだ“悪い”イメージがある」と語る。そして今後、eスポーツがどう発展していくべきかについて「自分たちも探り探りでやっている」と本音を吐露。つまり、eスポーツはまだ若い競技であるため、誰もが手探りの状態なのは否めない。
とは言え、今回の『闘会議』で何が一番変わったかと板ザン氏に聞くと、「メディアの数が圧倒的に増えた」と率直に語ってくれた。「それこそ、以前はゲームの大会をやってもメディアなんて全く取材に来てくれなかった」と振り返る。
こうして注目を集める中で、JeSUはどうメディア戦略を立てるのか。かつてマイナースポーツだったサッカーがプロスポーツ化した際に、KING KAZUこと三浦知良選手を前面に押し出したように、若いファンを誘引する“スター”を産み出すことができるのか。また、プロゲーマーの世界に25歳限界説もある中で、プロゲーマーたちの引退後のセカンドキャリアをどうするのかなど、環境整備も急がなければならない。
eスポーツの五輪正式種目化を見据え、競技大会の普及、選手の育成などを急ピッチで進めるJeSU。今後も多くの若者たちにプロライセンスが発行されていく中で、ゲーム業界がプロゲーマーと共にどう成長していくのか、その成長過程を見守りたい。