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本田翼、最上もがもカミングアウト 愛され“ネトゲ廃人”がタレントの新たな“ウリ”に

  • “ドラクエファン”本田翼、プレイ時間は「朝起きて、18時間とか」 (C)ORICON NewS inc.

    “ドラクエファン”本田翼、プレイ時間は「朝起きて、18時間とか」 (C)ORICON NewS inc.

 昨今、オタク文化の一般化に伴い、女性芸能人が自ら“重度のゲーマー”であることを告白することが増えている。実際、女優・本田翼やアイドルの最上もがは視聴者の想像を上回る“ネトゲ廃人”レベルの生活をTVで告白し話題に。ともすれば負のイメージがありそうな“ネトゲ廃人”だが、彼女らが堂々と告白するようになった環境の変化とは?

“死んだ目”でゲームに興じるネトゲ廃人・最上もが「最長プレイは36時間」

 そもそも“ネトゲ廃人”とは何か。確たる定義は定まっていないが、一般的には“1日の大半をネットゲームに費やす人々”のことを差す造語。ネット上では「寝る、食べる、トイレ以外はゲームをやる人」「1日のうち20時間以上ゲームをする人」といった例が上がっている。また、“末期症状”の例として「ネットゲームのことしか考えられなくなる」「優先順位が“ネトゲ内の生活”になり、会社や学校にいかなくなる」といった極端な実例も。こうした“ネトゲ廃人”については先ごろ、NHK・Eテレの『ねほりんぱほりん』の特集でも取り上げられSNSを中心に大きな話題となった。とはいえ、大半の“ネトゲ廃人”は、休日にとことんゲームをすることでストレスを発散したり、私生活と分断されたネットゲームの仮想世界で“別人格”になりきったりと、実生活に悪影響を及ばさないレベルで楽しんでいるのが現状だ。

 例えば漫画好きで有名な女優・本田翼は、2015年に『SMAP×SMAP』(放送終了/フジテレビ系)で「(ドラマの撮影間が)2時間あればゲームをしている」と話し、中居正広を呆れさせた。さらに2016年、人気ゲーム『ドラゴンクエスト』30周年プロジェクト発表会に出席した際、同作のプレイ時間について「朝起きて、18時間とか」と発言。ネット上では「ガチすぎる」「一緒に冒険がしたい」といったコメントが噴出した。

 元でんぱ組.inc・最上もがも、2017年11月に放送された『今夜くらべてみました』(日本テレビ系)で、ゲームプレイ時間が最長36時間、課金20万超であることを告白。夜通しネットゲームに興じたり、アニメ鑑賞に没頭するという私生活を暴露し視聴者を驚かせた。SNSでは「ゲームをしている時の目が死んでいる」「36時間はすごい」と、まさかの“ネトゲ廃人”告白に度肝を抜かれた視聴者も多い。また、桐谷美玲は昨年の12月、クリスマスにちなんだ思い出として『スーパーファミコン』をあげ、「小学生のときにサンタにもらい、その時から私のゲーム人生が始まりました。今も休みの日は家にこもってゲームをしています」と、ゲーム好きをアピールした。

“ネトゲ廃人”という共通性で、遠い存在だった芸能人との距離が身近に

 メディア研究家の衣輪晋一氏は、“ネトゲ廃人”といったガチゲーマーが一般層に受け入れらえるようになった要因のひとつに1996年の『ポケットモンスター(ポケモン)』の存在を挙げる。当時、男子小学生を中心に一大ムーブメントとなった『ポケモン』だが、本ブームに直面した世代は現在20代後半から30代。「小さい頃から“ポケモン”などのゲームに親しんだ世代は、子どもを持つ親になってもゲームプレイに対して寛容です。そのため、親子で一緒にプレイする環境が醸成され“ゲーム文化の一般化”に貢献した」と衣輪氏。

 1997年には『ポケモン』がアニメ化し女性人気も拡大。その後は『プレイステーション2』(2000年)の大ヒットや深夜アニメの流行、秋葉原では“会いに行けるアイドル”・AKB48が誕生(2005年)。2006年にはインターネット動画サービス『ニコニコ動画』がスタートした。これらのアニメ・アイドル・ゲームといった“オタク文化”は日本を代表する一大産業に発展し、日々の生活から切り離せない身近なものになった。さらに、スマートホンの普及に伴いソーシャルゲームが流行。ゲームは若者だけのものではなくなり、今では誰もがゲームに熱中する日本の“日常”となった。

 こうして“オタク文化”が多様化したことで、「ゲームをとことんプレイする“ネトゲ廃人”もひとつの“個性”として認識されるようになった」と衣輪氏。そのため、女優やアイドルなど遠い存在が“ネトゲ廃人”であることを公言すると、ネット住民たちはそのタレントを“身近な存在”と捉え、人気が上昇する現象も見られる。実際、本田翼や最上もが“ネトゲ廃人”エピソードを告白した際、彼女らの体調を心配する声はあったものの、ゲームファンからのコメントも「狩り仲間に入れて!」「一緒に旅をできた人がうらやましい」といったポジティブなものが多かった。

一部の極端な“ネトゲ廃人”を切り取った報道も!?

 しかし、インターネットゲームなどのやり過ぎで日常生活に支障をきたす症状について世界保健機関(WHO)が1月5日、「ゲーム障害」という新たな病気として「国際疾病分類」に加えることになった。そして本報道以後、「“ゲーム=悪”といった、80〜90年代のゲーム黎明期に巻き起こった紋切型の批判が目に付くようになった」と衣輪氏は指摘する。

 「今や、世界中で20億人以上がゲームを楽しんでいるとされ、ゲーム創世記の80〜90年代とは比べ“ゲーム文化”の社会的地位は格段に向上しました。事実、平成27年度の内閣府調査では中学生の7割以上がゲームをしているというデータも。そうした中、一部の“極端なネトゲ廃人”にスポットをあて、長時間ゲームをする人を全てが“ネット依存症”であるかのような声もある」と衣輪氏は疑問視。

 実際、今回のWHOの動きに対して、日本や米国のゲーム機メーカーやソフト会社で作る業界団体「エンターテインメント・ソフトウェア協会」は、WHOがネットゲームへの依存を病気と指定することに対し、「ビデオゲームに中毒作用はないと客観的に証明されている」として反対声明を出した。このように、“ゲーム依存”をどう定義していくかは今後も議論の必要がありそうだ。

「ゲーム障害」問題は、世界的に拡大する“ネトゲ廃人”化への警鐘!?

 とはいえ、WHOが警鐘を鳴らすようにゲーム文化は急速に拡大。欧米ではゲームを競技スポーツ化した「エレクトロニック・スポーツ(eスポーツ)」が人気で、年収1億円以上を稼ぎ出すプロゲーマーの存在も現れている。そして、それらの人気を当て込んだIOC(国際オリンピック委員会)が“e-Sports”として2024年の五輪競技化への検討を行っているほど。WHOによる「ゲーム障害」認定や、eスポーツの五輪競技化などは、今後のさらなる発展が予想される“ゲーム市場”の現状を端的に表している。

 「“ネトゲ廃人”申告は、単純に“ゲームが好き”であることはもちろんですが、スマホゲーム人気でCMや仕事に繋がりやすくなったことや、ネットでの話題性を重視するようになったことなども関係している」と衣輪氏は分析。しかし、「少しでも“ニワカ“な部分が見られた場合は炎上するリスクもあります」と指摘する。だからこそ、ネット民にガチの“ネトゲ廃人”だと認められた場合は、そのギャップゆえに同じ趣味を持つ“ゲーマー”仲間として、ネット民から愛される存在になれるとも。

 オタク文化の一般化により、“ネトゲ廃人”も“個性”として見られる時代。今後、自身のセールスポイントとして“ゲーム愛”を語るタレントたちを、ゲームファンは厳しくも温かい目で見守るはずだ。

(文/西島享)

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