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ドラマOPはなぜ印象に残らなくなったのか? OP役割に変化
『水戸黄門』『太陽にほえろ』『東京ラブストーリー』…“パブロフの犬”状態だったOP
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101回目のプロポーズ
1980年代に入ると、『金曜日の妻たちへ』、『スクール☆ウォーズ』、『ふぞろいの林檎たち』(以上TBS系)といったヒット作のOPは、ドラマのストーリーそのものに直結するものとなり、1990年代に放送された『101回目のプロポーズ』、『東京ラブストーリー』(ともにフジテレビ系)などのドラマでは、メガヒットした主題歌の影響が大きく、特に『東京ラブストーリー』のOP曲「ラブストーリーは突然に」など、“チュクチューン♪”というイントロのギター音を聞くだけで、条件反射的に「カーンチ」と言いたくなるほどで、まさに“パブロフの犬”状態だったのである。
90年代前半までのドラマの傾向として、OP冒頭は前回の振り返り→主題歌ががっつり流れる→クライマックスシーンで再び主題歌が流れて盛り上がる、という強固なフォーマットができ上がってくるのだ。
“ザ・オープニング”はダサい? 徐々に短くなるOP、ついには同時進行型も
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そして2000年代になると、しだいに人気歌手や出演俳優がしっかり主題歌を歌うというベタな流れは、“あからさまなものはちょっとカッコ悪い…”という風潮ともあいまって減少傾向に。さらに2000年代後半では、OP曲の役割はジングル(ドラマのポイントやCM前で入る短い音楽)的なものへと移っていくことになっていく。
特に最近のドラマでは、冒頭の振り返り映像にOP曲を乗せつつ進行するという“本編とOP同時進行型”も増加傾向にある。これは時間のロスを省く手法とも言え、視聴者のチャンネル離脱を防ぐ効果もありそうだ。また、途中参加の視聴者のためにも冒頭の振り返り部分は重要だと思われる。そして、こうした手法を用いた代表的なドラマが、『半沢直樹』や『下町ロケット』(TBS系)であり、OP曲はやはり服部氏によるものなのである。毎回、OP曲が流れてはいるものの、両ドラマとも振り返りの部分が長く、OP曲がドラマと同時進行で流れるためBGMのようになり、OP自体の印象としては薄れる結果になっているのだ。
OPにインパクトは不要? あえて存在感薄めることでドラマの世界観を守る現代ドラマ
冒頭に挙げた2作品のドラマもOP曲が流れる時間はごくわずかで、しかも途中から提供社のテロップが映し出され、すぐCMに移行するという流れだ。近年の服部氏のOP曲作品でも“ドラマとOP同時進行型”が多くなってきているが、かつては『華麗なる一族』(TBS系)のように荘厳でクラシカルなOPを作成しており、ドラマに重厚感を与えていた。
OPの存在感をあえて薄めることで利点は確かにあるし、現状ではそれがスタンダードとなりつつある。だからこそ、たまには先に挙げた『華麗なる一族』や『JIN‐仁‐』のような、曲を聞いただけで、あるいは映像を見ただけでドラマがフラッシュバックする、印象的で魅力あるOPも味わいたいものである。