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ドラマ“あなそれ”主題歌のバンド初登場! “神様、僕は気づいてしまった”って何!?
覆面バンド、隠したいのは「正体じゃなくて、自分たちの表情」
――メジャーデビュー前にドラマ『あなたのことはそれほど』の主題歌に抜擢されたお気持ちは?
東野へいと 僕はこのバンドがなかったらただの素人なので、地上波のテレビで自分の曲が流れているというのは、純粋にうれしい気持ちと同時に、不思議な感じがして。ただドラマに関していうと、僕としては恋愛はピュアでいたいので、不倫をする美都(波留)さんにハラハラします(笑)。
どこのだれか 僕、芸能人もほとんど知らないんです。だから最初にドラマ主題歌の話がきたときも、すごいことなんだろうなっていうのはわかるけど、正直、実感がわきませんでした(笑)。
――「“神様、僕は気づいてしまった”ってなんだろう?」と思う視聴者も多いと思います。ミュージックビデオではマスクを被っていますし、プロフィールも明かしておらず正体不明。その意図は?
東野へいと 覆面バンドなので仕方ないとは思うんですけど、決して正体を隠しているわけではないんです。僕たちが本当に隠したいのは正体じゃなくて、自分たちの表情。たとえばボーカルがすごく辛そうに歌ったら、どうしてもその表情が歌詞に乗ってしまう。僕は曲を作るうえで、歌詞も含めてシステマティックに積み上げていくことが好きなので、聴く人にちゃんと伝えるためには、表情が邪魔になってしまうんですよ。楽曲をきちんと伝搬するにあたり、ノイズを乗せないという意味で、無機質でつるっとしたマスクをしているんです。
――“神様、僕は気づいてしまった”というバンド名も不思議です。
東野へいと 最初は何も決まってなかったんですけど、もし自分がバンドをやるなら…と考えたときに、こういうユニット名にしたいという気持ちがあって。
どこのだれか 僕はもともと、彼の作る音楽がすごく好きだったので、彼と一緒でなかったら、そしてこの名前じゃなかったら、きっとバンドも組んでなかったと思います。
――バンド名の意味は?
東野へいと 10代の頃って、言葉にできないからこそ苦しい時期ってあるじゃないですか。僕たち大人だって、人生で行き詰まったときは神様にすがってしまう。自分の力で証明できない部分を、超常的な“神様”という形に押し込めてしまったりしますよね。でも、それは思考停止することだし、どうなの?と思うわけです。それに、そうやって“神様”とされた存在があるとするならば、人間に甘えられて酔っているんじゃないかって。“僕たちはちゃんとそういうことに気づいているよ”ってことを音楽で表現したくて、この名前になりました。
ネットからテレビへ、主題歌で意識したのは『東京ラブストーリー』
どこのだれか インターネットで僕たちの曲を聴いてくれる人は、まず検索してクリックして、初めて僕らの音楽にたどりつくわけじゃないですか。受け身ではなく、自ら探して求めてくれている。動画の再生数って、本当に観られている数だと思うんですよね。とはいえ、僕は別に有名になりたいという考えはまったくない。僕たちは、自分たちの音楽の在り方、何を伝えたいのかということに重点を置いているんです。
――ドラマ『あなたのことはそれほど』で流れたことにより、ネットばかりでなくお茶の間にも皆さんの曲が届くようになりました。デビューシングル曲ともなる「CQCQ」は、どんな思いで作られたんでしょう。
東野へいと 脚本を読んで、どの歌詞がドラマの内容とリンクしているのか、視聴者がわかるようにしたいと思いました。それが、ドラマのタイアップでは大事なことだと思ったんですよね。昔、ドラマ『東京ラブストーリー』(1991年 フジテレビ系)の主題歌「ラブ・ストーリーは突然に」について、小田和正さんが語っているインタビューを読んだことがあって。そこには、小田さんが最初に作った渾身の1曲が、ドラマに沿った歌じゃなかったからボツになったって書いてあった。そのとき、“あれほどのビッグスターでも、ちゃんと書き直すんだ!”ってビリビリきたんです。先輩たちは、ドラマと音楽で、リスペクトし合う友好な関係を築いてきた。僕もそんな歴史を崩したくなかったんです。だから今回、ドラマに沿うように、かつバンドとしても立たせたい曲を…と考えて、人生の上での葛藤を船旅に例えて作りました。
どこのだれか この曲の歌詞はすごく好きです。今まであまりなかった比喩表現や言葉遊び的なところもあって、今回は歌いやすい(笑)。あと、サビになるとたくさんハモリが入っていまして、そこは僕のこだわりです。