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福田雄一監督が明かす実写『銀魂』成功のカギとは?「リスペクトがあればブレない。しっかりふざけて笑いにする」
『銀魂』実写化は僕がやったほうがいい
福田雄一松橋真三プロデューサーからお話をいただいたときは、『銀魂』の実写映画をというより、「なにかやりませんか?」という感じだった気がします(笑)。ドラマ『勇者ヨシヒコ』(テレビ東京系)のパート1のときに、『少年ジャンプ』を読んでいたうちの長男から「ネット界隈で、『ヨシヒコ』を観ていた視聴者の人たちから、この人(福田雄一)だったら『銀魂』の実写化ができるんじゃないかって言われているよ」っていうのを聞いたんですよ。でも、“似てる”と言われるのって、あまりいい気がしないじゃないですか(笑)。それでアニメを観たら、確かに、笑いの方向性とか世界観の作り方が似ていると言われても仕方がないなという理解ができて。そんななかで、松橋プロデューサーから「なにかやりませんか?」と言われたときに「『銀魂』をやりたいです」ではなく、「『銀魂』は僕がやったほうがいいみたいですよ」という話をさせていただいた覚えがあります。
――すでに大人気の漫画とアニメに対してはどういう意識ですか? 今回の実写のライバル?
福田雄一原作者の空知英秋先生は、『勇者ヨシヒコ』が始まるときに「絶対成功しない」と思ったらしいんですよ。「こんなコスプレ感丸出しで、こんなお笑いなんていけるわけない」と思っていたら、あれよあれよと成功していったので、そのときに空知先生と担当編集者さんが「この人だったら『銀魂』実写化をできるかも」って話していたそうです。始めてお会いしたときに「お待ちしておりました」って言われました(笑)。この作品の前に『勇者ヨシヒコ』のパート3を撮影していたんですけれど、もしかしたらそれよりリアリティがあるかもしれないって思いました。江戸の町並みのなかであの格好をしているので普通に受け入れられたし、原作漫画やアニメから「違和感あるな〜」っていうのも感じられなかったので。むしろ、ずっとアニメも観ているし、漫画も読んでいるんですけれど、僕のなかでは銀ちゃんは小栗くんにちゃんと変換されているし、新八も神楽も実写のキャラクターの方でうまく変換できています。
自分の作品を悪く言っておもしろくするのが好き
福田雄一空知先生は本当に上手いですよね。すごくシンパシーを感じています。僕も基本的に自分の作品を悪く言っておもしろくするのが大好きだから。逆に泥船って言ってくださっていることが笑いになるし、なおかついろいろな人を幸せにする言葉だと思うんですよ。空知先生がこれを言ってくれたことで、僕らがどれだけ救われるか、ファンの人たちがどれだけ救われるか。漫画の実写化というと何かと問題になる今現在で、空知先生の笑いに昇華するコメントはありがたかったですね。全てをフォローしてくれていることが嬉しくて涙ぐみました(笑)。これを読んで納得してくださったファンの方は本当に多いと思うので、空知先生の期待を裏切らないようにやりたいという気持ちを改めて強くしました。
――空知先生から実写化に際しての要望などはありましたか?
福田雄一いっさいなかったです。「とにかくお任せします。好きにやってください」と。また、「だいぶ前から続いている漫画なので、お笑いの流れも変わりますから、今のお客さんが笑えるように変換していただいてかまいません」とも言ってくれて。『銀魂』の笑いをいかにちゃんとやってくれるかということを期待されていると思いますし、本当に全てをいい形で譲歩してくださって助かりました。
背負うものが大きいので正直なところすごく疲れます
福田雄一自然に自分のなかに沈んでいったら、それは正解にしようというのがあって。もちろん小栗くんとアニメの声は違いますし、所作も違うんですけれど、小栗くんがやっている銀さんが僕のなかでは正解になっています。小栗くんが、『銀魂』という作品と、僕の笑いのルールをちゃんとわきまえてくれているのがすごくありがたいですね。ふざけるところはちゃんとふざけて、バカなことはバカなことでちゃんと笑いにして、最終的に高いレベルのアクションをおさえるというのが、この作品の成功のカギだと思っています。
――撮影を開始してからの率直な感想を教えてください。
福田雄一背負うものも大きいので正直なところすごく疲れます。ただ、「今日も銀さんに会えるんだな」っていうワクワク感があるのは間違いないです。僕はやっぱり『銀魂』が大好きだし、現場に入ると銀さんと神楽と新八が万事屋で3人揃っているわけで、それを見たら幸せ感しかないですよね。「なかなかうまくいかないな」ってことがあると、全部それを引きずってしまうのですが、役者さんたちもすごく楽しそうですし、僕のなかで引きずっていることはありません。小栗くんは「ほかの現場で『そういうことはやめてくれ』と言われることが全部できるから嬉しいっす」って(笑)。菅田くんも一緒だと思います。ほかの現場では絶対できないことを逆にやらなければならないというところを楽しんでいる感じがとてもあります。みんなが『銀魂』を愛していて、そのリスペクトがベースにあれば絶対にブレないと思っています。僕もスタッフも役者もみんな『銀魂』の世界観を守りながら自分の仕事をやるということが、この作品が楽しみになることだと思っています。