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ORICON NEWS
朗読劇が再評価の兆し 五感を刺激するアトラクションへと変化
ラジオドラマやドラマCDも盛況 “声だけで想像し、物語を楽しむ”日本の文化
耳に入ってきた“音”だけで脳が創り出すイメージは、その人の好みや記憶、価値観でカスタマイズされることもあって想像した本人は惹き込まれやすく、自らが生み出した世界観ゆえに、その分記憶にも残りやすい。何でも映像に出来てしまう今だからこそ、“映像という外部情報が与えられない状態”を脳は新鮮に感じ、なおかつ映像に特化した現代へのアンチテーゼ的な意味合いとしても大変に魅力的。このほか、昨今のアニメ人気に並行した声優へのリスペクトや憧れも“朗読劇”を広く流布することに一役買っている。
生演奏から“匂い”まで、新たな“朗読劇”の誕生
“新感覚・音楽朗読劇”を謳うプロジェクト“SOUND THEATRE(以下・サウンドシアター)”は、朗読劇のさらなる可能性に挑戦し、皆がイメージする朗読劇の枠を超えた新たなエンタテインメント空間を構築しているという。
新たな“アトラクション”へ 無限の可能性を秘めた朗読劇
その際のこだわりとしては「キャストに動きが無いことを逆手に取る」ことだという。青木氏によれば、“映像”は“映像”として脳に飛び込んでくるため、良くも悪くも作り手側のイメージで世界観が固定されてしまう。キャストが声以外の芝居をすることもやはり“印象の植え付け”になるので、そういったイメージ固定の恐れのある“視覚情報”は可能な限り排除。そして「映像はあくまでも観客の想像の中に」することで、作品に“無限の可能性”を付与するのだという。
また青木氏は“ライブ”という言葉も“概念的”に使用。全てが“生”=“ライブ”で行われるため、ステージ上のキャストはもちろん、ミュージシャン、スタッフ、そして観客も次の瞬間、何が起こるか分からない。その場にいる全ての人の“想像力”が物語に“フォーカス”した時、「サウンドシアターは(プロジェクトとして)結実するのです」と青木氏は熱を込めて語っている。
なんでも映像に出来てしまうこんな時代だからこそ、“想像→創造”という無限の可能性を秘めた朗読劇の楽しみが、密かに、だが確実に、その枝葉を今後あらゆるジャンルへと広げていきそうだ。
『SOUND THEATRE』 今後の公演予定
【日時】2016年12月3日・4日
【会場】市川市文化会館
『CLAMP×SOUND THEATRE xxxHOLiC』
【日時】2017年1月28日・29日
【会場】豊洲PIT
(文/衣輪晋一)