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“脱・インテリ”も加速、エンタメ界で重宝する「東大生ブランド」
“日本一賢い大学”の学生としてクイズや教養系の番組に出演するのは頷けるが、ここ最近は意外な特技や個性豊かなキャラクターを発揮するなど、“インテリ”を封印するかのような動きも。トークやお笑い系のバラエティ番組で目覚ましい活躍を見せ始めた“現役東大生”の今に迫ってみた。
歴史ある東京大学から輩出された優秀な人材たち
時代と共に東大も変化、“現役東大生”がエンタメ界で台頭
「これは今の時代ならではの現象。そして番組に出演する東大生は“東大生なのに○○”というギャップ効果をよく理解している印象も受けます」と分析するのは某週刊誌ライター。「東大生はガリ勉でお硬く、お高く止まって世間知らずという、逆差別的なイメージで捉える向きは未だにあり、悲しいかな、ステレオタイプとして流布している。そんな中、最近の若者はSNSなどで自己プロデュースはお手のもの。チャラチャラ遊ぶなどの非・インテリ感を出すだけで、このレッテルを逆手にとった好印象のギャップ効果を生み出せることも知っているし、敢えてその立場を演じることで笑いに変わることも分かっている。しかも厳しい受験戦争を勝ち抜いたのだから、タレント然は“偽物”でもその頭脳は“本物”。こちらのギャップもインパクトがあり、見慣れた演者ばかりのテレビに飽き飽きの視聴者には新鮮に映っているのではないでしょうか」(同ライター)
一方で世間を騒がせる事件も…現代化の功罪
「“東大生ブランド”はそれだけでアドバンテージがありますが、同時に“負”についても平等に効果を発揮します。東大生のエンタメ界進出も“おちゃらけている=調子に乗っている”とも捉えることができ、“調子に乗っているから犯罪だって犯す”、“テレビに出る東大生は調子に乗っているはず”、“だから昔と比べて今の東大生はダメ、普通がよろし”と、これは極端ですが、そういった悪意あるねつ造の地図で語り始める心ない人もいなくはない。強すぎるブランドはいわば諸刃の剣。使う側も使われる側も注意しなければいけません」(同ライター)
ガチガチの世の中が良いとは思わないが、自身を華やかな位置に設定するなら勘違いは避けるべきだし、“ブランド”から離れた裸の自分を心の鏡で見つめ直す時間も必要。これは学生にも、エンタメ界で学生を起用する制作側にも言えることで、もちろんこうした記事を執筆する私たち記者にも当てはまっている。とっさに浮かぶ意見もマスコミという“ブランド”で思い上がった言葉となっていないか…今一度自分の置かれた立場をよく考えてみて、改めて自家薬籠中の物としたい。
(文:衣輪晋一)