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リバイバル続々、なぜエンタメ界に“バブル期”到来?

 1980年代にタイムスリップした女優の桐谷美玲が、ボディコン姿の田中美奈子に「私のスカート、あなたの1/3よ」とディスられる『Y!mobile』のCMをはじめ、イケイケだった80年代後半の文化をネタにしたピン芸人・平野ノラや2人組の地下アイドル、ベッド・インの登場、かつての人気バラエティ『ねるとん紅鯨団』(フジテレビ系)を彷彿とさせる“出会い系”番組の増加など、今なぜかエンタメ界には“バブル期ネタ”が溢れている。バブル期とは、1986〜1991年頃に起こった日本の異常な好景気のことで、世の中じゅうが浮かれまくっていたわけだが、あれから四半世紀を過ぎた今、なぜまたエンタメ界に“バブル期”が訪れているのだろうか?

あれから25年、バブル期に対する“嫌悪感”もそろそろ薄らいできた?

 先述の『Y!mobile』の一連のCMは、ディスコにボディコン、BGMにはボーイズ・タウン・ギャングの「君の瞳に恋してる」が流れ、ついには“なめ猫”までが登場してくるという、まさしく80年代の活気ある様子が描かれている。次は女優の千堂あきほが登場するんじゃないかと、つい思ってしまう中年男性も多いのではないだろうか。
 お笑い芸人・平野ノラの“バブル芸”も、チリチリのソバージュヘアに極太眉毛、もちろん服はボディコンで、キメ台詞は「おったまげー!」。こちらもボディコン姿の2人組アイドル、ベッド・インは、逆さ言葉(銀座→ザギン、寿司→シースー、など)とオヤジギャグ全開で、ついでに胸元や太ももも全開した、ちょっとエロくて分かりやすいバブルネタで活躍している。

 また、テレビ番組や映画などでもバブル期に流行したノリ&ネタを打ち出しており、『ナイナイのお見合い大作戦!』(TBS系)などは、舞台こそ“嫁不足に悩む地方”だが、そのフォーマットはとんねるずの人気バラエティ『ねるとん紅鯨団』(1987〜1994年放送)を踏襲している。
  • 地下アイドルのベッド・イン

    地下アイドルのベッド・イン

  • 『東京ラブストーリー』の新作読切が25年ぶりに登場! リカとカンチの25年後が描かれる(写真右) (C)柴門ふみ/小学館

    『東京ラブストーリー』の新作読切が25年ぶりに登場! リカとカンチの25年後が描かれる(写真右) (C)柴門ふみ/小学館

 そのほか、平野もよくネタにする超人気シリーズ『あぶない刑事』(日本テレビ系)のファイナル版が今年1月に劇場公開されたり、現在放送中のドラマ『せいせいするほど、愛してる』(TBS系)では、バブル当時のプレゼントで定番中の定番だった、ティファニーのネックレス「オープンハート」にスポットが当てられていたり。さらにバブル期ドラマの象徴『東京ラブストーリー』(フジテレビ系/1991年)の柴門ふみ原作の漫画が、その25年後を描くという続編で掲載される…など、ここに来てバブル期に流行した作品や現象をフックにしたネタは枚挙にいとまがない。しかし、現在の一般層からは古臭く受け取られたりしないのだろうか?

 「バブルがはじけて25年。当時、遊びまくっていた層も今や40代後半から50代。すっかり落ち着いていますし、素直に“懐かしいなあ〜”と振り返っている人が多いと思いますよ。実際、若者たちのテレビ離れで、今の日本でテレビを見る層は40代以上が多いですから、バブルネタは“アリ”なんです。また、バブル崩壊後の日本経済の落ち込み方が酷すぎたせいもあって、“バブル=悪”というイメージが結構長く続いていました。それが四半世紀も過ぎて、ようやくその風潮も和らいできて、バブルの“バカ騒ぎ”を振り返ったり懐かしがったりすることに、後ろめたさがなくなってきたんだと思います」(エンタメ誌編集者)

足踏み状態にある日本の現状…栄華極めた“あの時代”への羨望

 日本経済はいまだに構造的な不況が続いているとは言われるが、いわゆる“アベノミクス”による好景気の喧伝、また実際に円安による日本への海外旅行者の増加、特に中国人観光客などの“爆買い”によるインバウンド消費、さらに数年後の東京五輪効果への期待感が高まるなど、世間にも“何となく”景気が上向きにあるといった感覚があるのかもしれない。そして確かに、この“バブルリバイバル”は一般層の間でも広がっているようなのだ。
  • “かきあげ前髪ヘア”でお馴染みの中村アン(C)ORICON NewS inc.

    “かきあげ前髪ヘア”でお馴染みの中村アン(C)ORICON NewS inc.

 「今、メイクのトレンドとして太眉は定着していますし、当時の“トサカヘア”を思わせるかきあげ前髪ヘアやセカンドバッグ(今はクラッチバッグという呼び名で再ブーム)、ティラミスなど、身近なところでバブル期アイテムが流行っています。だから、テレビをあまり観ない若者層にも親しみがありますし、逆にバブルを知らない世代の目には新鮮に映るのかもしれませんね」(前出・編集者)

 もちろん、バブル期の女性メイクの象徴ともいえる太眉が復活するなど、想像もしていなかった御仁も多いだろう。しかし、“流行は20年周期で繰り返す”と言われるように、こうしたバブルブームも単によくあるリバイバルブームのひとつなのかもしれない。それでも、このエンタメ界における“バブルネタ”の広がりには、どことなくパっとしない足踏み状態にある日本の景気に活を入れ、もう一度「盛り上がっていこう!」という、意気込みや強い願いが込められているのかもしれない。

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