(更新:)
ORICON NEWS
広瀬すずインタビュー『“完璧主義”で負けず嫌い…やることを全部やって結果を見てもらう』
まったくイメージできなかった自分とは真逆の子
広瀬すずまったくできなかったです。自分とは真逆の子だなあと思って……。お話をいただいたあと、原作漫画とアニメを観はじめたのですが、途中で「引きずられてしまう」と思ったので、観るのをやめました。
――実際に現場に入って、演じてみてどうでしたか?
広瀬すずかをりには大きな秘密があって、つねにあるひとつの思いを心に抱いているので、それだけを考えるようにしていました。そのうえで、相手役の(山崎)賢人くんや、友人役の中川大志くん、石井杏奈ちゃんとのお芝居のセッションで感じたことを、そのまま出せたらいいなって。かをりは自分から何かするというより、周りの人とのやり取りで“こうしたい、ああしたい”と思うような役だったので、私自身もそうしたいなと思いました。
広瀬すず賢人くんがずっと公生のままでいてくれたので、何も意識しなくても、かをりになれました。印象的だったのは、公生とかをりが夜の学校に行くシーン。ふたりにとってすごく苦しいシーンで、演じるのが感情的にも難しかったので、監督と賢人くんと3人ですごくたくさん話し合ったんです。私と賢人くんは、とにかく役としての感情のままに動きたかったので、「ここではとても相手の顔を見られない」「ちょっと位置を移動したい」とか意見を出させていただいて。カメラ位置なども考えなくてはいけないなかで、私たちがいちばん無理せずに“苦しい”という感情を出せるやり方をみんなで探っていきました。
――撮影前からバイオリンのレッスンをされていたそうですが、難しかったですか?
広瀬すずもう、本当に難しかったです(笑)。とてもじゃないですけど、1〜2ヶ月の練習でできるようなものではないなって。それでも、まずはまっすぐ弓を持つところから教わって、1音ごとに手の動きを確認しながら、3曲地道に練習しました。なかなか弾けるようにならなくて、もう撮影に間に合わないんじゃないかって思いましたけど、そこで完璧主義と負けず嫌いが沸き上がってきて(笑)。いざ撮影に入ったら、練習中にはできなかったビブラートもできるようになってうれしかったです。
私は思っていることを口にしないタイプ。でもこれからは…
広瀬すず台本を読んだとき、演奏シーンでは無表情のなかにいろいろな感情が感じられるようにしたいと思いました。自分の音を届けたいという気持ちや、演奏を楽しんでいる気持ち、公生への感情とか。その感情が、かをりにとってどれだけ大きいものなのかっていうのを考えたとき、素のリアルな表情でやったほうがいいと思ったんです。表情を作ると顔の筋肉に意識がいってしまうので、とにかく夢中で弾こうと思いました。
――かをりの行動やセリフは、心に刺さるものが非常に多かったと思います。広瀬さんご自身が何か影響を受けたことはありますか?
広瀬すず17歳であれだけ抱えきれないものを背負っていて、かつ公生や周りの人のことを思いやって、音楽のことも考えていて……。人ってここまで強くなれるんだなと思いました。だから、かをりのすべての行動、セリフにたくさん影響を受けました。かをりのすごいところは、ちゃんと自分の想いを言葉にして人に伝えること。私自身は思っていることをまったく口にしないタイプで、むしろ伝えることが好きじゃないんですけど、これからはちゃんと言葉にしようって思いました。思いを伝えたことがすべていい結果になるとは限らないけど、そうすることで何かが変わるかもしれないと思いながら、かをりとして生きていました。
広瀬すず気にはなりますけど、原作ファンの方のなかに“かをり”という存在が生きているからこそ、いろいろな意見があるのも当然だと思います。でも、そこで思い詰めても何にもならないので、「やることを全部やって、結果を見てもらおう」って思っています。私自身も、以前は好きな漫画が実写化されると“イメージが違う”って感じることもあったんです。でも、作っている人たちはすごく愛情を持って、真剣に作品に向き合っているんだなって、自分もそういう役を演じるようになってから気づきました。きっとその作品におけるその役は、キャスティングされたその人にしか演じられないものなんだとポジティブに考えています。
自分がやったことに意味があったと思いたい
広瀬すずその言葉がいちばんうれしいです! やっぱり自分がやったことに意味があったと思いたいですから。
――逆に、悔しいと感じることもありますか?
広瀬すず全部の作品でそう思っています。自分の演じている映像を観て「ダメだな」って思うこともよくあって……。きっと自分で納得することは一生ないと思います。でも、たぶん納得したら終わりなんです。私はその悔しい気持ちがモチベーションになっているので。
広瀬すず最初はいつも「大変そうだからイヤだな」って思うんです(笑)。でも、そんなこと言ってもやるしかないので、すぐに自分のなかに火がつきます。実際に作品を終えてみると、得るものはたくさんあるし、達成感もすごくあるので、がんばってよかった、この役柄に出会えて本当によかったって思います。ただ、自分の気持ちが重すぎて撮影序盤でかなり疲れてしまうので、次はもうちょっとナチュラルに取り組める作品がいいです(笑)。
――今、興味のあるジャンルはありますか?
広瀬すずこれまで青春ものをたくさんやらせていただいたので、逆にシリアスなものに挑戦できたらいいなと思っています。キラキラした世界とは180度違う、今まで知らなかったような世界に染まってみたいです。
(文:加藤 恵/撮り下ろし写真:鈴木一なり)
四月は君の嘘
監督:新城毅彦
出演:広瀬すず 山崎賢人 石井杏奈 中川大志 甲本雅裕 本田博太郎 板谷由夏 檀れい
2016年9月10日(土)全国東宝系ロードショー
(C)映画「四月は君の嘘」製作委員会 (C)新川直司/講談社
【公式サイト】(外部サイト)