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ORICON NEWS
広瀬すずインタビュー『悔しさをバネにして立ち向かっていくタイプ』
“美人でスタイルも良いのに中身がオヤジ”に親近感
広瀬千早を演じることが決まってから原作を読ませていただいたのですが、“あれ? 千早って私と違う雰囲気だなぁ”と感じたんです。でも、千早の“美人でスタイルも良いのに中身がオヤジ”というキャラクターに親近感を持ちました。原作をリスペクトしながらも原作を超えるような作品を作っていきたいと思いました。
――競技かるたのおもしろさはどんなところに感じました?
広瀬百人一首の句は、恋愛や友情など歌の意味がそれぞれ違っていて、そういうところがすごくおもしろいんです。最初は、かるたって自分とは縁のない世界だと思っていたのですが、撮影前に練習をしている段階でハマっていきました。私は負けず嫌いな性格なので、札を取られたくないという千早の気持ちに共感できました。
広瀬競技かるたのシーンは、ダイナミックに見えるような撮り方をしたので大変でした。体重の乗せ方を加減しないといけなかったですし、よくわからなくなるぐらい膝が痛くなりました(笑)。でも、チームのみんなで声をかけあい励まし合って撮影したので楽しかったです。自分だけの撮影だったら“どうやったら膝をかばえるだろう……”とか考えて、集中できなかったかもしれません(笑)。
――かるた部のみなさんとの撮影で思い出に残っていることは?
広瀬空き時間のエピソードはたくさんあります! 現場でいちばん流行っていたのはPerfumeさんの曲を歌って踊ることでした。主題歌がPerfumeさんに決まる前から、森永悠希くんが「チョコレイト・ディスコ」を完璧に踊っていて(笑)。それを伝授してもらってみんなで踊って、私は踊りがヘタでいつも「なんでできないんだよ!」って言われていました。ほかにも誰がいちばんセクシーなポーズをとれるか競い合うみたいなことをして、空き時間は仲良く遊んでいました(笑)
――そのなかでいちばんのムードメーカーは?
広瀬最初は野村周平くんと矢本悠馬くんが高速ラップで現場を盛り上げてくれていたんですけど、最終的には「それおもしろくない! もっとほかのもやってよ!!」なんてふたりにみんなでダメ出しするようになっていました(笑)。実はかるた部全員がAB型だったんですけど、みんなが前に出たがるタイプで……AB型が集まるなんて珍しいですよね(笑)。
いちばん気持ちよく演じられる方法に気づいた
広瀬役によってはここまでテンションをあげられるんだと感じたことがありました。「チョコ補給〜」と連呼するセリフがあったのですが、「チョコ補給〜♪」って無意識に歌っていて(笑)。完成した作品を観て初めて気づいたんですけど、それに対して肉まんくん(矢本)も“イェーイ”ってノリノリで返してくれていたのも知らなくて、ビックリしました(笑)。あと、千早という女の子を愛せば愛するほど、彼女の魅力がよくわかる現場でした。喜怒哀楽が激しい部分も、憎めない自己中さも、一生懸命もがいていて本当に愛しく思えました。役を愛することは自分にしかできないことなので、それこそがいちばん気持ちよく演じられる方法なんだと今回の撮影を通して気づくことができたのは大きかったです。
――広瀬さんが、千早のように“これだけは負けたくない”と思っていることは?
広瀬いま全てをかけてやっていきたいと思えるのは女優のお仕事ですが、まだまだ力がない自分に対して悔しい気持ちでいっぱいです。どうしたらここから成長できるのだろうかと悩んだり……。でも、落ち込むよりも悔しさをバネにして立ち向かっていくタイプなので、単純にお芝居が上手くなりたいです。“立ち向かう精神”だけは誰にも負けたくないし負けてはいけないと思っています。
――最初にお芝居を初めたころに比べて、今の心境はいかがですか?
広瀬初めてドラマをやらせていただいたのが学園ものだったのですが、共演者同士がすごく仲良かったんです。お芝居というより現場に行ってみんなとワイワイするのが楽しくて、演じることはといえば、そんなに好きなわけではありませんでした。それ以来、いろいろな役を演じさせていただきましたが、昨年の夏に決して現場で笑ったりできないようなハードな役を演じたんです。それまで知らなかったいろいろな現実をバーンと顔に塗られたような感覚を覚えて、重いものを背負った役柄について深く考えさせられたことが新鮮でした。
――その役に出会って、それまで以上に役を深く考えたということですか?
広瀬ふだんの私と全く違うキャラクターを演じることが、今までほとんどなかったんです。その昨夏の作品で演じたのは、どん底に落ちる少女の役で、私とは真逆のキャラクターでした。いま演じさせていただいているドラマ『怪盗 山猫』の役もそうなんですが、ふだんの自分と違うからこそ、すごく難しいけど演じることがおもしろいと感じられるんです。役について深く考えることができるようになったので、振り返ってみると昨年の夏ごろから、演じることがより楽しくなってきたのかなと思います。
自分のなかのまだ知らない部分がたくさんある
広瀬今は新人という枠のなかでやらせていただいていますけど、これからは新人ではなくなるんだとそのときに実感しました。「『海街diary』のお姉ちゃんたちの世代がいちばん大変で、これから君も悩むときがくるんだよ」とたけしさんがおっしゃってくださって。なんでも笑顔で「はい!」と言って許される時期は今だけなので、これから大変になりそうだな……(笑)。
――たけしさんと一緒にコマネチもしていましたけど、広瀬さんにユーモラスな一面もあって驚きました。
広瀬芸人さんみたいなおもしろい人になりたいんです(笑)。どんなときにも笑いをとれる芸人さんてすごいなって思います。人を笑顔にすることって本当に素敵だなと感じています。
――こういう自分をもっと知って欲しいと思うことは?
広瀬自分でもまだ知らない部分がたくさんあると思いますし、今の私が全てではないのでお芝居でイメージを変えていきたいです。あと、バラエティ番組に出演させていただいたときに、キャストなのにいち視聴者として楽しんでしまいます(笑)。そういうときこそ、芸人さんみたいに受け答えできたらなって思います。
――原作ファンの方には、今作のどんなところに注目して欲しいですか?
広瀬『ちはやふる』の芯になっているものは原作も映画も同じだと思います。新(真剣佑)に対する千早の想いや、かるたにかける想いや熱量などが映像にしっかりと表れていますので、今作を通して感じていただけたら嬉しいです。原作では競技かるたのダイナミックさは自分で想像するのが楽しいんだと思いますが、映画だと画で観て体感できます。そういった部分も含め、原作ファンの方にも、原作をまだ読んだことのない方にも楽しんでいただければと思います。
文:奥村百恵/撮り下ろし写真:逢坂 聡
ヘアメイク:佐々木博美/スタイリスト:中井綾子(CONTENPORARY CORPORATION)
ちはやふる
高校生になった千早は、再会した太一とともに“競技かるた部”を作り、全国大会を目指す。「全国大会に行けば、新に会えるかもしれない!」千早の新への気持ちを知りながらも、かるた部の一員となる太一。千早、太一、新、そして瑞沢高校競技かるた部のまぶしいほどに真っ直ぐな想いと情熱が交錯する、熱い夏が来る……。
監督:小泉徳宏
出演:広瀬すず 野村周平 真剣佑 上白石萌音 矢本悠馬
2016年3月19日(土)≪上の句≫ / 4月29日(金・祝日)≪下の句≫二部作連続公開
(C)2016 映画「ちはやふる」製作委員会 (C)末次由紀/講談社
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