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CREATORx2 TALK:Vol.3『アニメ監督・新海誠×若手起業家・椎木里佳:アニメ観客層に変化?若い女性ファンが増える背景とは』
僕たちまったく違った人生を歩んでいますね(新海誠)
新海誠僕は自分のやりたいことが見えてきたのが30歳前後だったので、そこからアニメスタジオに入るのはちょっと遅いなと。下積みがなかったので、そのぶんの苦労は30代のころはずっとありましたね。いま思えばどこかの企業に入るという選択肢があっても良かったのかなとも思っています。その前はサラリーマンだったので。椎木さんは大学を卒業してもいまの会社をやっていくんですよね。
新海誠僕たち、なんだかまったく違った人生を歩んでいますね(笑)。
椎木里佳でも新海さんと私の父(『秘密結社鷹の爪』などで知られるDLE社長の椎木隆太氏)とは近い業界にいますからね。新海さんとFROGMANはコンピューターを使ったアニメというところでは、同じ頃に世に出てきた人たちなんですけど、新海さんは緻密な画で、反対にFROGMANのアニメはラフな絵が特徴で。その違いがおもしろいと父は言っていました。
椎木里佳私は同い年、もしくは年下の世代の子から見て常に正しいロールモデルであるか、ということは心がけていますね。こういう人になりたいと若い世代から思われるような存在でありたいです。尊敬していた男性の方が事件とか不祥事を起こしたときなんかはすごくゲンナリしちゃったんですよ。どんなにすごいと思っていた方でも、結局リアルな人間だったんだなと。私もロールモデルになりたい、と宣言しているからには、年下の世代をゲンナリさせないように自分を律していかないとな、と思っています。
新海誠それは自身がロールモデルが欲しかったというところもあるんですか?
椎木里佳実際に自分が起業したころには、女性起業家の方々を知らなかったので、私がそうなりたいという気持ちを持ちました。
新海誠椎木さんのように自分のポリシーをしっかりと持って、強い気持ちで律する方はとてもステキだと思います。でも一方で、そこからどうしてもはみ出てしまう人っていると思うんですよ。映画というのはどちらかというと、そういったはみ出た人を描くものでもあります。もしこの先、椎木さんのその強いポリシーを突き崩すような誰かが現れたら、そのときの椎木さんの変化を見てみたいですね。
椎木里佳もし私がポリシーを揺るがすような人に出会って変わったら、映画の題材にしてくださいね(笑)。
(文:壬生智裕/写真:鈴木一なり)
「こだわりのアイテムというものはとくにないのですが、強いてあげるならばiPhoneですかね。スケジュールを管理したり、録音したり、写真を撮ったり、電話をしたり。もちろんAndroidでもいいんですが、とりあえずいまはiPhoneを使っています」(新海)
「待ち受け画面は何にしているんですか?」(椎木)
「ふつうのシンプルな待ち受け画面を使っています」(新海)
「社名が入ってるノートです。わたしは逆にデジタルじゃダメというか、手で書くのが好きなんです。書いていると思考が整理されていって。思いついたことがあったらすぐにこれに書いています」(椎木)
「日記は書かないんですか?」(新海)
「日記は書いていないんですが、イライラしたときとかの心の声なんかも思うままにここに書いています(笑)」(椎木)
君の名は。
原作・脚本・監督:新海誠
出演:神木隆之介 上白石萌音 長澤まさみ 市原悦子
全国公開中
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