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有村架純インタビュー『顔つきも変わった?もう二度と戻れない貴重な瞬間』
ほっとけない、かわいらしい存在になれたらいいな
有村予告を観てすっごくおもしろそう! と思っていたんです。(本編も)怖いっていうよりも、好奇心が湧く感じで。ジェットコースターが少しずつ上っていくときの胸の高鳴りというか、怖いんだけど、このあとの楽しみが! というワクワク感、あるじゃないですか。そういう瞬間がたくさん詰まった映画で、存分に楽しめました。絶叫マシンに乗ったあとにまた乗りたい! という感覚になるような映画だなって思いました。
――人を襲う謎の生命体「ZQN」の出現で、感染パニックに陥った日本が舞台の本作。作品世界になじむために、どのような準備をして撮影に臨まれたのですか?
有村撮影前に、海外の似たようなジャンルの映画を観させていただきました。でも私が演じた比呂美は、完全なZQNではなく、ZQNと人間が半々だったので、さじ加減が難しくて。佐藤(信介)監督やアクション部の人たちと一緒に、このシーンでは人間の比率が高いのか? ここはZQNの方が高いのか、猫パンチの仕方、猫缶を食べる仕草とか、ひとつずつ話し合って、作っていきました。猫缶を食べるくらいだから、気分は猫っぽいのかなって想像しながら(笑)。ペットではないけど、(大泉洋が演じる主人公の)英雄にとって、比呂美はなんかほっとけない、かわいらしい存在になったらいいなあと思って、演じていました。
有村夏のものすごく暑い時期の撮影でしたが、韓国のスタッフさんたちも、エキストラの方も、たくさん参加してくださいました。言葉が違うので、フラストレーションがたまることもあったかと思うんですけど、みなさん最後までしっかりとつきあってくださって。作品を作る上で、国籍って関係ないんだな、いつでもひとつになることができるんだなって感じられました。私にとっては初めての海外ロケでしたが、すごく楽しめました。
――偶然出会い、行動をともにすることになる、主人公・英雄との関係性については、どう捉えましたか?
有村最初は頼りなさげな感じがしていたけど、英雄さんと神社で話したときに、たぶん比呂美は救われたんだと思います。比呂美はきっと、友人関係もうまくいかないし、いつ死んでもいいかなって思っていたところに、英雄さんが現れて。いろいろ話していくうちに、英雄さんも(人生が)うまくいっていないような、自分と似たところのある人だなって、通じるものを感じたんだと思います。自分がZQNに感染したかもしれないと話しても、一緒に逃げてくれると言ってくれて。この人だったら、守ってくれるかもしれないって、英雄さんの存在を大きく感じたのは、神社からでしたね。それからは背負って運んでくれたり、猫缶を食べさせてくれたり、一生懸命守ってくれようとして、一緒に寄り添ってくれて。カッコよかったですね。
作品世界により踏み込むことができるようになった
有村原作を読ませていただいて、比呂美という女の子がどういう過去を持っていたかということをすごく考えました。2年前に撮影した作品ですが、実際に比呂美の過去が描かれるのはほんの一瞬だったので、瞬発的な部分でどう勝負できるかな? とずっと思っていました。
――この2年の間に、本当にたくさんの作品に参加されましたよね。
有村『ストロボ・エッジ』『映画 ビリギャル』(2015年)を撮る前だったので、まだまだ踏み込みきれていなかった部分もあったと思います。この2作で学んだことが、ものすごくたくさんあって……。それ以前の作品は、もう二度と戻れない、ある意味、貴重な瞬間だったと思うんです。今作のあとに舞台『ジャンヌ・ダルク』(2014年)もやらせていただき、あの頃とは顔つきも変わったと思います。
有村作品世界に、自分がより踏み込むことができるようになったというか。デビュー当時のことを考えると、とにかく自分の役を一生懸命生きることしかできなくて。自分のことに精一杯で周りを見ることができませんでした。それが、経験を積むうちにだんだん広く見られるようになってきました。スタッフさんたちの想いも感じられるようになってきて、その作品にかける気持ちがみなさんと同じになれてきたというのか。同じ熱量をもって、携わることができてきた気がして。毎回“この作品がいい作品になるように”って思いながら、撮影させていただいています。まず、スタッフさんたちの心を動かす芝居ができたらなってところを大事にして、いまは取り組んでいます。
――視野が広がっていく一方で、3月までヒロインを務めた月9ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)などでの、繊細な仕草のお芝居もすばらしかったです。役への向き合い方にも、変化はありましたか?
有村撮影に入る前は、常に役のことを考えています。その子のひっかかっているものだったり、その子の核となる部分を作ってから、監督や脚本家の方と話したりしていました。でも、クランクインして“あっ、これだ!”という瞬間を感じることがあって……それ以降、あまり考えないようになりました。その変化は、自分のなかではすごく大きいですね。『ストロボ』のとき、廣木隆一監督が「気持ちがあれば、表情を作らなくても目で伝わるから」と教えてくださって。それを根本に置いてお芝居をするようになってからは、現場で感じて反応することが大事だなと感じたので“あれやろう、これやろう”って思わなくなりました。(相手役の)人の言葉を、ちゃんと受けて、返す。その作業を大事にするようになりました。
25歳までにやらなくてはいけないことがたくさんある
有村楽しいです。だけど自分のやったことのない役柄を演じるときは、怖さもあります。そういう“初めて”は、まだまだたくさんあるんだろうなって思うし、たくさん経験したいです。
――ちょうど1年前の『映画 ビリギャル』インタビューでの「25歳までに賞を獲っていたい」というさわやかな宣言通り、昨年は第58回ブルーリボン賞主演女優賞をはじめ、数々の映画賞を受賞されました。いまは、どんな目標を掲げていますか?
有村いまも25歳になるまでの時間を、どうやっていこうかなと考えています。まだまだやらなくてはいけないこと、挑戦しなければいけないことがたくさんあります。飛び込んだことのない役柄に、積極的に挑戦していけたらいいなと思います。得意、不得意というのは自分ではわからないんですけど、役の幅を広げる作業をやっていかなくてはいけないと思っています。
有村たくさんいらっしゃいます! 自分が変われるタイミングって、自分ががんばらなくてはいけないことももちろんありますけど、監督や作品、役柄との出会いとか、周りの環境もあると思うので。そういう作品とまた出会えたらいいなって。そのためには、がんばらなきゃ! と思っています。
――有村さんのエネルギーの源は何ですか?
有村単純にお芝居が楽しいと思えることと、新しい自分が見てみたいということです。みなさんにも、驚いてもらいたいという気持ちも、少なからずあるかなって思います(笑)。
(文:石村加奈/撮り下ろし写真:逢坂 聡)
アイアムアヒーロー
監督:佐藤信介
出演:大泉洋 有村架純/吉沢悠 岡田義徳 片瀬那奈 片桐仁 マキタスポーツ 塚地武雅 徳井優 長澤まさみ
2015年4月23日(土) 全国ロードショー
(C)映画「アイアムアヒーロー」製作委員会 (C)花沢健吾/小学館
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