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高田里穂、今までの経験プラス想像力が必要「号泣してしまった…想いが通じあった瞬間」

深夜の廃校での同窓会に集まった6人の同級生たちに起きた事件と、蘇る7年前の女子高時代の記憶……。公開中の映画『女子高』で、物語のカギを握る転校生の役を演じている高田里穂。『劇場霊』などでも存在感を発揮してきた若手実力派女優が、演技への想いを語ってくれた。

初めての二面性が極端な女子高生役

――『女子高』の美冬のような裏表のある役は得意ですか?
高田今までもわりとそういう役はありましたけど、ここまで二面性が極端なのは初めてでした。台本を読んで「かなりがんばらないといけないな」と。今までの経験プラス想像力でしっかり作らないと、説得力あるキャラクターにならないと感じました。

――二面性が二重人格的な感じでなく、ひとりの人間の裏表として出ていたと思います。
高田どっちが本当の自分とかでなく、常に自分のなかでさまよいながら生きているイメージで演じました。

――役の人物像はかなり練り上げて臨むタイプですか?
高田この作品では、私のなかでの一番の戦いは撮影に入る前でした。役のイメージトレーニングです。こんなに見せ場が多くて、演じ甲斐がたくさん詰まった役だから、一つひとつのことを大事にして人物を作り上げたくて。美冬の表情から目線の送り方まで、徹底的に研究しました。

――いじめを受けていたことは台詞にありましたが、台本にない過去も想像したり?
高田しました。美冬は人をまったく信用していないんです。バックグラウンドとして一人っ子という設定にしましたけど、両親に普通に育てられながら孤独を抱えて、人にかまってほしいから自由奔放な行動をし始めて、何かの弾みで収拾がつかないぐらい走ってしまった。挙げ句、ああいう性格になったという。ただ、性格は生まれ持ったものだとも思うんです。私は兄がふたりいますけど、同じ環境で育っても性格は3人バラバラ。だから、根本的には“美冬はこういう人”と割り切ってやった部分はあります。

――自分のなかの何かを拡大したわけではなく?
高田美冬のすべてを理解できないことはないです。私もたまに正義感が芽生えることがあって。小学校のとき、友だちが仲間はずれにされて、そのこの子のことをかばったら、次の日には私とその子ともうひとりの友だちの「3人」VS「他の女子全員」になっていました。美冬もいじめられていた夏美を助けたのは偽善ではなく、本当に守りたかったんだと思います。そういう一面も持っている子なのかなと。

――けど夏美にも、プレゼントを渡しながら「あんたなんか死ねばいい」と言ったり。
高田あそこは理屈でなく、愛したのと同じぐらい傷ついて、嫌いになっていたと思うんです。美冬自身も自分の気持ちをどうしようもできなかったのかな。台本を読んで、ちょっと鳥肌が立ちました。

プライドを捨てるようになりました

――難しい役だけに、演じる楽しさもあったようですね。
高田今まで演じた役のなかで一番大変で、一番楽しかったです。現場ですごく感じたのは、当たり前のことですけど、相手がいてキャッチボールするのがお芝居なんだと。クランクアップ前日ぐらいに、峯岸みなみちゃんとのシーンで演じ方とか全部省いて、その場の気持ちでお芝居したんです。そうしたら想いが通じ合った気がして、ふたりとも号泣してしまって。ちゃんと伝えようとしたら、相手も汲み取って投げ返してくれる。そうやって通じ合えるものなんだと、改めて思いました。

――峯岸さんとは初共演でしたっけ?
高田7年前にドラマ『恋して悪魔』(フジテレビ系)で共演しています。私は中3で初めてのドラマで、ふたりの絡みはほとんどありませんでした。生徒役で私が一番前の席、みぃちゃんは一番後ろ。撮影の合間に話すぐらいでしたけど、その後もちょこちょこ会っていて。今回、初めてガッツリ絡んで、すごくやりやすかったです。今までにない安心感がありました。

――高田さんもキャリアを重ねてきて、演技への取り組み方が変わってきたところもありますか?
高田プライドを捨てるようになりました。昔は「こう見せたい」というイメージが自分のなかで固まってしまっていたところがあって。そこを全うするのが大事だと勘違いしていたんです。でも、それは自分のなかでの正解でしかない。他の人が見たら間違っているかもしれないから、現場で求められたことに応えられる柔軟性を身に付けたいと最近は思っています。

――最初に出たように役の人物像を作り上げる一方で、ですね。
高田『女子高』でも課題はたくさんありましたけど、ひとつは力を抜くこと。感情がこもると力が入ってしまうけど、美冬が本当にいたら、絶対に力が入っていないので。力を入れたほうが楽といえば楽なんです。テンションをバッと上げられるから。でも、そこで力を抜いて、普段と変わらない状態で演じたほうが、観ている方に感情移入してもらえる気がします。

昔はドロドロしていたけどいまは明るい(笑)

――高校生の頃の取材では「ほぼ毎日、詩を書いている」という話がありましたよね。その時々に思ったことを残すために。
高田最近もたまに書いています。自分のなかで波があって、気持ちが出たときは手が止まらなくなってバーッと5コぐらい書いたり。昔に比べたら、明るい詩になりました。昔のはドロドロしていたので(笑)。

――何かあったんですか(笑)?
高田何かが渦巻いていたときもあったんじゃないですか(笑)。自分では感受性が強いと思っていて、すぐ泣いてしまうんです。すごく悩むときもあるし、何も考えていないときもある。そういう意味では、美冬の二面性は私にもあるのかな。

――他に普段の生活で、演技力を高めるためにしていることはありますか?
高田映画や舞台を多く観るようにしています。先月は映画を20本ぐらい観て、『ジェリーフィッシュ』というイスラエルの映画のインパクトが頭に残りました。訴えたいことはたぶんなくて、終始フワフワした感じが心地良くて。現実逃避を楽しめることが映画の醍醐味にあると思うので、世界観が出来上がっているような作品は好きだし、出演したいなと思います。

――刺激を受ける女優さんもいます?
高田男性ですけど、山田孝之さんはどの作品を観ても本当にすごいと思います。ご自身のスタイルはあるはずなのに、全部違って見える。私もそうなりたいです。キャラクターよりお芝居で評価されたくて。

――最近は演技力の高い若手女優さんが、バラエティでも活躍することも増えていますね。
高田私もそういうお仕事をいただけたら、進んでやりたいです。バラエティは好きなので。いつも家に帰ったら、とりあえずテレビをつけて、バラエティを観ます。『探偵!ナイトスクープ』(朝日放送)のちょっとローカルな感じとか、マツコ・デラックスさんの番組とか大好きです。小学生のころは、自分でお笑いクラブを発足させて、ネタを考えて漫才をやっていました(笑)。

――意外です(笑)。
高田私、イジられキャラだったんですよ。口を開くと「また始まった」と笑われて(笑)。なぜだかわからないですけど、それがイヤではなくて。「おもしろがってもらえるなら、さらにふざけちゃう」みたいな意識はありました。

――お嬢様っぽいイメージなのに。
高田母には「あなたがなぜそう見られるのかわからない」と言われます(笑)。いろいろな自分を出していけたら。でも、一番はお芝居をがんばりたいと思っています。25歳までに代表作を持ちたいです。
(文:斉藤貴志/撮り下ろし写真:嘉陽宗也)

女子高

 深夜の廃校に同窓会で集まった高橋香月(峯岸)ら6人の同級生たち。卒業してから7年ぶりの再会に喜び、学生時代の思い出話に花を咲かせるなか、突然教室の電気が消え、一発の銃声が鳴り響く。再び電気がつくと、そこにはひとりの同級生が胸から血を流し倒れていた。パニックに陥るなか、全員の携帯に「犯人は誰だ?」というメールが送られ、そのメールの差出人の名に同級生たちは愕然となる――。果たして犯人は誰なのか? なぜ同窓会で事件が起きたのか? 女子高時代の彼女たちの本音を知ることで、予想だにしなかった結末へと物語は進んでいく。

監督:山本浩貴
声の出演:峯岸みなみ 高田里穂 泉はる 中山絵梨奈 北山詩織
2016年4月9日(土)シネマート新宿ほか公開
(C)映画「女子高」製作委員会
【公式サイト】(外部サイト)

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