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低迷続く“Jホラー”が復活の兆し ブーム再来なるか?
日本独自の“恐怖”が定評のJホラー
ここまでJホラーが海外で高い評価を得てヒットしたのも、『13日の金曜日』のジェイソンや『エルム街の悪夢』のフレディのように、殺人鬼や悪魔との対決といったわかりやすい構図のホラーではなく、日本独特のジワジワと心理的に迫ってくる怖さ、何気ない日常の世界に潜んでいる恐怖が受け入れられたからだと言われている。しかも『リング』では「貞子」、『呪怨』では「伽椰子と俊雄」の母子というスーパーキャラを産み出したことも成功の大きな要因だ。これらのキャラは映画の世界を飛び出し、パチンコ台になったりプロ野球の始球式をするなど、いまだに大活躍しているのである。
今でもキャラクターとしては人気が高いのに、なぜ倒産という憂き目にあってしまったのか?「ただ、キャラクタービジネスの版権料は原作者にいきます。ハリウッド版リメイク化権料は、『呪怨』の場合はもともと原作のビデオ作品を発売していた東映ビデオにいき、莫大な利益を上げたと聞いています。我々製作会社には何の恩恵もありません。結局、製作会社はヒット作を出し続けて、配給会社から発注を請け負うしかない。ホラーブームも下火になり、決して大手とは言えないオズさんが倒産するのも無理はないでしょう」(映画製作会社スタッフ)
アイドル主演作品が続き、ホラーファンが遠のく
『クロユリ団地』は興行収入が10億円を超えるヒットとなったが、前出の製作会社のスタッフは「若いアイドルが悲鳴を上げるシーンを見たさに来るお客さんも多いですし、昔からアイドルの登竜門がホラーやミステリー映画というのは定番。安易ですが2匹目のドジョウを狙うのもしょうがないでしょう。でも結局は、お客さんがアイドルファン中心になってしまい、本当のホラーファンの足が劇場から遠のいてしまった…というのが現実かもしれません」と現状を危惧する。
名監督が挑む“恐怖”の表現に期待高まる
、橋本愛、滝藤賢一、坂口健太郎といった実力派を配していて期待が持てる。また、6月公開の『クリーピー』も、これまた郊外の住宅街を舞台にして、奇妙な“お隣さん”がもたらす恐怖を描いており、キャストも先の竹内のほか、西島秀俊、香川照之、東出昌大といった濃いメンツ。
『残穢』は人気ホラー作家・小野不由美作品の初映画化で、『クリーピー』は大学で教鞭をとる前川裕氏の本格的な小説家デビューとなる同名作品が原作。両作とも、『リング』『呪怨』と続く一連のJホラーが持ち合わせていた派手なエンターテインメント性とは趣を異にし、どちらかと言えば知的で文学的な作品に仕上がっているように思われる。とは言え、「何だかわからないけど、あの薄暗い“家”が怖い」といったJホラー特有の雰囲気は醸し出しており、これまでのJホラーファンを満喫させる要素は十分にありそうである。この2作あたりから、ジャパニーズホラーの新たな“逆襲”が始まるのかもしれない。