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本広克行監督 『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』DVDインタビュー
最後に3人でやりたかったコメンタリー
【本広】 『踊る』のスタッフが育つのは、決して手を抜かない現場だからなんです。たとえば、調書ひとつとっても、それがアップで映ることはまずないんですが、役者が見たときに「この演出部、本気だ!」と思わせることで、役者自身も気が引き締まるんです。今回の『FINAL』で真下が書く汚い習字も、何枚オーディションをしたことか(笑)。嬉しいのは、そうやって何日もかけて用意した美術に役者たちがアドリブを入れてくること。婦警役の女の子がアドリブで「これ、ドンズマリじゃないですか!」って言ったひとことをユースケがすかさず拾って、オチで「ドンズマリ」というセリフをしっかり使っているんです。あれは美術から生まれたセリフですね。
──いい裏話ですね。ドラマシリーズの頃から細部にまでこだわるというのは徹底していたんですか?
【本広】 基本、僕は細かいんです(笑)。スタッフにも「こうしてくださいというアイディア以上のものをやってください」というお願いを常にしていました。シリーズを重ねるごとにスタッフは過去の作品を観て勉強するので、どんどん成長していくんです。
──そうなんですね。DVDはいろいろな特典映像も魅力ですが、署内に貼ってある指名手配犯の写真のなかに監督の若かりし頃の写真を見つけました(笑)。
【本広】 昔のまだ痩せていた頃の写真ですね(笑)。以前、CS番組で“本広を紐解くカルチャースクール”的な番組を撮ったことがあって、そのときに使った写真だと思います。あと、スタッフから「古い免許証を探しています」と言われて渡したことがあるので、それも使ったのかもしれないです(笑)。
──DVDならではの楽しみと言えば、コメンタリーですが、これは監督のこだわりでもあるんですか?
【本広】 そうなんです。僕自身が映画のコメンタリーを観るのが好きということもあって、『踊る』シリーズのDVDにもいつも入れています。今回は最後ということもあるので、亀山さんと君塚さんと僕のコメンタリーはぜひやりたいと提案しました。3作目のときのコメンタリーはちょっとふざけ過ぎてしまったんですが(笑)、今回は真面目にやっていて、かなりアカデミックです!この特典映像を観たら、ドラマや映画制作に興味を持ってくれるんじゃないか、それくらい制作裏のすべてを入れ込んで、そこでの感情も吐露しています(笑)。でも、そんなふうに僕が真面目に深い演出論を語ると、「えー、そんなこと考えてたの?」と亀山さんが突っ込んできて、君塚さんがまとめて、僕がまたボケるという(笑)。すごくいいバランスなんですが、さすがに今回は3人とも黙って見入るシーンが多かったですね。個人的に『1』のコメンタリーが抜群におもしろいと思っているので、今回のコメンタリーと過去のコメンタリーを合わせて観てもらえるとより楽しめると思います。
(文:新谷里映)
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DVD情報
踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望
湾岸署管内で開催中の国際環境エネルギーサミット会場で誘拐事件が発生。数時間後に被害者は射殺体で発見される。使用されたのは、警察が押収した拳銃。緊急招集された捜査会議では、全ての捜査情報を管理官・鳥飼へ文書で提出することが義務付けられ、所轄の捜査員には一切の情報が開示されない異例の捜査方法が発表される。 そんななか、第2の殺人が発生。そして、捜査員たちを嘲笑うかのように起こった第3の事件。「真下の息子が誘拐された……!」――疑念を抱きながら必死に真実を突き止めようと捜査する青島。その捜査こそが、青島、最後の捜査になるとも知らずに……。
監督:本広克行
脚本:君塚良一
出演者:織田裕二 深津絵里 ユースケ・サンタマリア 柳葉敏郎
【OFFICIAL SITE】
2013年4月26日(金)DVD『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』リリース
(C)2012 フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー
関連リンク
・[INTERVIEW II]最後に3人でやりたかったコメンタリー
・【連載】踊る大捜査線織田裕二INTERVIEW
・【連載】踊る大捜査線深津絵里INTERVIEW
・DVD公式サイト