同じ年代の女性としてすみれの決断を考えた“踊る連載”3週目は深津絵里が登場!! 男性社会のなかでのすみれの15年間を思い返し、シリーズを続けてきたことへの感動、ファイナルへの想い、今の不思議な感覚を語ってくれた。青島との長きにわたる微妙な関係にはホンネがポロリ!? セリフから感じた すみれが置かれる状況の変化
──『ファイナル』だと聞いたとき、どんな気持ちを抱きましたか?寂しさやショックはありましたか? 【深津】 それが、ショックという気持ちにはならなかったんですよね。というのは、ドラマから映画になるということ自体が信じられないことだったので、当時は「映画にしていいんですか?」という驚きの方が大きかった。なので、毎回これが最後と思いながら撮影現場に臨んでいました。そして、結果的に4作も映画を撮り続けることができて。たぶん、みんなこんなに長く続くとは思っていなかったと思う(笑)。よくここまで続けられたなという感動の方が大きいですね。 ──改めてふり返ってみてどんな15年でしたか? 【深津】 時間はものすごく早く過ぎ去っていくんだなと実感しつつ……20代半ばから30代後半まで演じさせていただき、これだけ長く演じる役柄は今後ないだろうな、とも思っています。毎回、現場に入るたびに感じていたのは、時間とともにすみれの言葉が変化していることです。“踊る”らしいエッセンスを残しつつ、すみれが置かれている状況は数年の間にこう変化したんだな……とか、セリフから年月を感じるのが楽しみでした。 ──そして、今回はとくにすみれにとってとても大きな決断がありますね。 【深津】 そうなんです。台本を読んだときに、同じ年代の女性としてすみれの決断を考えてみたんですけど、とても自然な成り行きだなって思っています。 よく15年間も微妙な関係を続けて…(笑)──男性社会のなかで15年間がんばってきたわけですからね。また、深津さんの女優人生のなかで、すみれはどういう位置にいるのでしょう? 【深津】 実は刑事という役柄が初めてで、すみれ以外に刑事役を演じたことはないんです。なので、当時はなぜ私が刑事役なんだろう?という大きな疑問がありました。でも、今までの刑事ドラマとは違う視点の刑事ドラマを作りたい、完璧なヒーローの刑事ではなく刑事もサラリーマンなんだと。そんなドラマを作りたいとお聞きして。ああ、それなら私にも役に立てるかもと思いました。 ──そんなふうにスタートしたドラマが、いまや国民的ドラマに成長したわけですが、深津絵里=恩田すみれというイメージも根強いものになっていますよね。 【深津】 自分ではそれほど意識しているわけではないんですが、嬉しいことですよね。実感するのは映画祭などで海外を訪れたとき。“踊る”のドラマが放送されていたり、映画が公開されている国では、代表作の話になると『踊る大捜査線』のタイトルが必ず挙がります。なので、「深津さん」ではなく「すみれさん!」って声をかけてくれる人もいます(笑)。文化も言語も違う方々に観てもらっているかと思うと本当に嬉しいです。 ──続いて、青島とすみれの関係について。2人の関係が『ファイナル』でどうなるのか?それも気になります。 【深津】 ものすごく劇的でドラマティックな展開がある!というわけではないのが、“踊る”らしさではあるのですが(笑)、ふたりの距離感はしっかり描かれています。それは『1』や『2』でお互いが受けてきた傷であるとか、死に直面してきた状況によって生まれた相手を想う気持ちとか、もちろん同志としての気持ちも含めた、年齢を重ねてきたからこその関係なのかな。それにしても、よく15年間も微妙な関係を続けていますよね(苦笑)。 ──見どころのひとつですね。織田さんは青島とすみれを太陽と月のような関係だと言っていましたが、15年そばで見守りつづけたからこそ分かる、青島の魅力はどんなところですか? 【深津】 太陽と月、分かりやすい良いたとえですね。青島くんの魅力は、器用にいろいろなことをこなさないところ。そこが人間として信用できるし、魅力的です。今回は青島くんをはじめ男性キャラクターが本当に格好いいんです!男らしい映画になっているんじゃないかなと思います。 ラストっぽくない ずっと続いて行くような…──伊藤淳史さんと内田有紀さんの2ショット取材(次週掲載予定)でも現場の楽しい雰囲気を聞かせていただいたんですが、深津さんからも『ファイナル』の撮影現場がどんな様子だったのかうかがいたいです。 【深津】 最後だから変に気合が入るというようなことは全然なかったんですよね。今回はスペシャルドラマ『踊る大捜査線 THE LAST TV サラリーマン刑事と最後の難事件』(9月1日放送予定)の延長上に映画の撮影があったので、初期のドラマに戻ったような感じというか、みんな活き活きしていました。そのドラマのいい抜け感が映画にも出ていると思います。ラストだけれどラストっぽくなく、湾岸署のあのメンバーが、“踊る”のあのメンバーが、これからもずっとどこかでがんばっているような、そんなラストになっていると思います。 ──ちなみに、伊藤さんはスピンオフを狙っていたそうです。 【深津】 なるほど。たまに図々しいことを言うんですよね(笑)。でも、何がどうなるか分からないのが“踊る”ですからね。 ──たしかに(笑)。すみれさんのスピンオフも見たかったです! 【深津】 じゃあ、図々しくお願いしてみようかな(笑)。 ──最後に、『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』の公開に向けての今の想いを聞かせてください。 【深津】 クランクアップのときもまだ「ああ、終わったんだ」とは思えなくて、自分はいつこれが最後なんだと実感するのかな……と考えていたんです。たぶん、映画が公開されて劇場に足を運んでくれるお客さんの姿を見たときに初めて終わりを感じるのかもしれないですね。だから、まだ『ファイナル』の実感はないんです。今までは、毎回これが最後だと思ってきたのに、いざ『ファイナル』となると終わる気がしないって、不思議ですね。 (文:新谷里映) PHOTO GALLERYプロフィール
深津絵里
1973年1月11日生まれ。大分県出身。 BACKNUMBER
踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望湾岸署管内で開催中の国際環境エネルギーサミット会場で誘拐事件が発生。数時間後に被害者は射殺体で発見される。使用されたのは、警察が押収した拳銃。緊急招集された捜査会議では、全ての捜査情報を管理官・鳥飼へ文書で提出することが義務付けられ、所轄の捜査員には一切の情報が開示されない異例の捜査方法が発表される。 そんななか、第2の殺人が発生。そして、捜査員たちを嘲笑うかのように起こった第3の事件。「真下の息子が誘拐された……!」――疑念を抱きながら必死に真実を突き止めようと捜査する青島。その捜査こそが、青島、最後の捜査になるとも知らずに……。
監督:本広克行
2012年9月7日(金)全国東宝系ロードショー
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