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織田裕二「このコートを着て走ることはもうないんだな…」

連載第1回目はやっぱりこの人しかいない!青島俊作としてファンを牽引し、“踊る”を誰もが愛する一大ブランドに育て上げた第一人者・織田裕二が登場!これまでのシリーズの軌跡、ファイナルへの想いをロングインタビューで語りつくす!!

ファイナルへ――ピリオドを打つときがきてしまった

──今作は、劇場版4作目にして“ファイナル”となりますが、15年間にわたって続いてきた“踊る”シリーズが「これが最後なんだなぁ」と実感するのはどんなときですか? 【織田】 撮影中のふとした瞬間に、出演者のみんなと「今回で終わっちゃうんだね」という会話はしていましたが、これが最後であるならばベストな芝居をしたい、ベストな作品を届けたい、という想いの方が強かったので、ノスタルジックに浸っている余裕はなかったですね。ただ、青島があのコートを着て走るシーンを撮影しているときにモニターで自分の走りを見て、「ああ、このコートを着て走ることはもうないんだな……」と、しみじみはしました。劇場版3作目『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』(2010年公開)の後、自分の部屋に青島コートはあったんですけど、なかなか着る機会はなくて。ですから、9月7日以降、着ることはないと思うと、寂しくもあります。

──あのコートとともに青島は15年を歩んできたわけですが、改めて15年間をふり返ってみて、思い出すことはどんなことですか? 【織田】 連続ドラマがスタートしたときに「ものすごく可能性を秘めている作品なので、何とか映画化したい!」という夢を持っていました。なので、『踊る大捜査線 THE MOVIE』(1998年公開)を撮ったときにその目標は達成したんですよね。でも、みんなと別れるのが寂しくて、冗談っぽく「5年後にまたできたらいいですね」と言っていて──。そして、実際に『2』をやることになった。けれど、『2』をやることでそれまでにやってきたことを壊すことはしたくないとも思っていて。『2』をやるうえでは『1』以上のモチベーションとプレッシャーがありました。肩に力が入っていましたね。

──そして、劇場2作目となる『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(2003年公開)は、みごと日本実写映画歴代興行収入記録(173.5億円)を樹立しました。 【織田】 嬉しかったですね。だからこそ『2』の後もやっぱり別れがたくて(笑)。「また5年後ぐらいかな?」って言っていたんですが、その矢先、和久さん(いかりや長介さん)が亡くなられた。ああ、これでもう次はないのかなと諦めていたんですが、『3』と『4』を続けてやるという話が持ち上がったんですよね。しかも、『新・踊る〜』ということで、湾岸署も引っ越します、青島も係長になって部下ができます、新しいメンバーも加わります、という新しい設定になって。青島が和久さんぐらいの年齢になって、定年を迎える頃ってどんな感じだろうと思っていたから、まさか今回で終わりだとは(笑)。

──亀山さん(潟tジテレビジョン常務取締役)に話をうかがったとき、これから先、青島イズムを持った男が現れたら“踊る”を託してもいいと言っていました。 【織田】 そんなこと言っていたんですね……。(感慨深げに一呼吸おいて)ただ言えるのは、誰ひとり“踊る”をやめたいとは思っていなくて。けれど、ピリオドを打つときがきてしまった、ということなんですよね。

青島俊作=織田裕二ではない…でも共感して自然に力が入る

──そのピリオドを打つ作品となった今作ですが、台本を読んだときに一番ワクワクしたのはどんなところですか? 【織田】 冒頭から「おっ!」と思いましたし、かと思えば「テーマが重いな」とも思いました。重いからこそ“踊る”らしさが必要だなと。(青島や室井たちが)15年かけて為し遂げられなかったものを、ようやくこの映画で完遂させようとしているわけなので、越えなければならないものは当然あるわけで。スタッフもキャストも最後まで格闘していました。最後の最後まで、もっともっと……と、みんな初心に戻ったというかチャレンジャーでしたね。

──そのなかで、織田さん自身は青島というキャラクターをどんなふうに送り出したいと考えたのでしょうか? 【織田】 今作には、青島が言いたかったメッセージがしっかりと入っていますが、実は連ドラのラストにも入っているんです。ドラマの最終話、交番勤務に降格になった青島のところに100円玉を拾った少年が届けにやって来て、青島はその少年に自分の財布から出した100円玉と「正しいことをするといいことがある」と書いた紙を渡すんですよね。その言葉にこそ青島の基本となるものが集約されています。そして、今回の映画では青島が語るシーンがあります。子どもからお年寄りまで誰が聞いても分かる言葉で伝えてくれるのが青島らしさでもあって、そのシーンによって“踊る”が言いたかったこと、青島のメッセージが分かりやすく伝わるはずです。ただ、その語りに辿りつくまでに15年もかかってしまった。時間がかかったことで歪みも出てしまったのも事実で、その歪みによって今回の犯人が生まれてしまうんです。

──昔のドラマのセリフを鮮明に覚えているんですね? 【織田】 いえ、そんなに覚えているわけではなくて(笑)。ファイナルを撮影するにあたってシリーズ全部を見返して、これっていうものをメモしておいたんです。こうやって取材で話をしながら思い出すこともあります。

──15年の歴史を語ろうと思うと、いくら時間があっても足りないですよね。多くの人に響くセリフを放ってきた青島だからこそ、いつの間にか青島が織田裕二の一部になっていた……という感覚はありますか? 【織田】 それは自分では分からないですね。ただ、青島って僕の生年月日(1967年12月13日)と一緒なんです。テレビドラマがスタートしたときに、僕の生年月日とか、当時掲載されていた雑誌での発言とかを(スタッフが)調べて、亀山さんや君塚さん(脚本)が僕の要素を青島に入れていったんだとは思うんですけど。ある意味、あて書きとも言えますが、だからといって青島俊作=織田裕二ではなくて、違うところももちろんあります。でも、演じているなかで「俺もそう思ってた!」「その通り!」「やってくれ、青島!」と、自分も共感してしまう個所は自然と力が入っていたのは事実ですね(笑)。

忘れられないのは『THE MOVIE』公開前日の出来事

──青島とすみれ(深津絵里)の関係もファイナルということで気になりますが、青島にとってすみれはどういう存在だったと思いますか? 【織田】 僕は太陽と月のような存在だと思っているんです。青島が太陽であることが多いけれど、ちょっとしたことで陽と陰が入れ替わるというか。実際、映画の『3』では青島が月で、すみれさんが太陽になってくれています。恋人未満、同僚以上──ものすごく簡単な言葉に置き換えるとしたら、最高のパートナーですよね。

──その最高のパートナーな感じがファイナルの冒頭でも出てきますよね(笑)。続いて、『新・踊る大捜査線』の新しいキャストについても感想を聞かせてください。 【織田】 香取(慎吾)君とはドラマ『恋はあせらず』以来、実に12年ぶりの共演でした。以前は20歳になるかならないかという年齢で、よく寝る子だなーという印象でしたが(笑)、12年経つと当たり前だけれど立派な大人の男になっていて。今回は現場に入るとすでに役柄の久瀬になっていました。(役の設定上)話しかけないでくれ、というオーラを漂わせていたので、香取慎吾としては見ずに久瀬として接していましたね。ただ、伊藤淳史くんがその空気をまったく読まずに「慎吾くーん!」的な感じで近づこうとしたので、「こっち来い!」と止めました(笑)。ドラマ『西遊記』のメンバー(香取、伊藤、深津)が揃っていたので、気持ちはよく分かるんですけどね。

──伊藤さんらしいですね(笑)。また、今回の撮影中に、いろいろと過去を思い返して思わず涙を流すようなことはありましたか? 【織田】 それはないですね(笑)。何度か泣かされそうになったことはありましたけど。クランクアップのときに本広監督から花を一輪いただいたんですけど、監督に続いてスタッフがひとりずつ花を持ってきてくれて……。みんなからの一輪が抱えきれないほどの花束になるというサプライズがありました。いつもはこっちがスタッフに花を渡すのに、今回は逆。あのときは泣きそうになりましたね。でも、隣には深津さんがいましたし、そもそも日本男児ですから泣けないですよ(笑)。

──いい話ですね。 【織田】 ただ、その後にも『係長 青島俊作2 事件はまたまた取調室で起きている!』(NOTTVにて8/27放送予定)の撮影があったので、青島としての最後の撮影は取調室でした。監督は長瀬監督だったんですが、撮影終了後に本広監督、澤田監督、羽住監督……歴代の監督&スタッフが集まってくれるというサプライズが用意されていて。青春の1ページみたいにセットの片隅で輪になって語り合って、「織田さん、連ドラのときにパトカーを見て『しょぼいね?』って言ったの覚えてます?」とか(笑)、懐かしい話をしたりしました。でも、泣いてはいませんよ(笑)。

──本当にいい仲間ですね。そんなチームワークの良さが作品に染み込んでいるからこそ、ファンも観客としてその仲間に入りたいと思ってしまうんでしょうね。 【織田】 ファンの方にも感謝の気持ちでいっぱいです。作品の1話1話に想い出はもちろんありますが、忘れられないのは『踊る大捜査線 THE MOVIE』の封切り前日の出来事。今と違って当時は舞台あいさつのチケットは早い者勝ち。前日の夜に車で劇場前を通りかかったら、映画館の前に人がものすごくたくさんの人が並んでいるんです。「なんだ!この光景は!」と、鳥肌が立ちました。連ドラがあって、スペシャルドラマがあって、映画があって、そして待っていてくれるファンがいる、そんな作品に出会えたことを本当に幸せだと思った瞬間でもあって──。今でもあの光景は忘れられないですね。

(文:新谷里映/写真:片山よしお)

プロフィール

織田裕二 1967年12月13日生まれ、神奈川県出身。
1987年、『湘南爆走族』で主演デビュー。1991年フジテレビ系ドラマ『東京ラブストーリー』に出演し、社会現象になるほどの大ヒットに。1997年、フジテレビ系ドラマ『踊る大捜査線』で青島刑事役で主演を務め、大ヒットシリーズとなる。近年の主な主演映画は、『アマルフィ 女神の報酬』(2009年)『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』(2010年)『アンダルシア 女神の報復』(2011年)など。

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踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望

 湾岸署管内で開催中の国際環境エネルギーサミット会場で誘拐事件が発生。数時間後に被害者は射殺体で発見される。使用されたのは、警察が押収した拳銃。緊急招集された捜査会議では、全ての捜査情報を管理官・鳥飼へ文書で提出することが義務付けられ、所轄の捜査員には一切の情報が開示されない異例の捜査方法が発表される。

 そんななか、第2の殺人が発生。そして、捜査員たちを嘲笑うかのように起こった第3の事件。「真下の息子が誘拐された……!」――疑念を抱きながら必死に真実を突き止めようと捜査する青島。その捜査こそが、青島、最後の捜査になるとも知らずに……。

監督:本広克行
脚本:君塚良一
出演:織田裕二 深津絵里 ユースケ・サンタマリア柳葉敏郎
伊藤淳史 内田有紀 小泉孝太郎北村総一郎 小野武彦 斉藤暁 佐戸井けん太真矢みき
筧利夫小栗旬 香取慎吾

2012年9月7日(金)全国東宝系ロードショー
(C)2012 フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー

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