(更新:)
ORICON NEWS
及川奈央インタビュー『及川奈央、“舞台女優”としての気概』
舞台は中毒性がありますね
及川奈央1年ぶりくらいになりますね。今回は劇団FULLMONTYの渋谷(崇博)さんから、お話を頂いたんですけど、ちょうど1年くらい前に出演した舞台でご一緒して、その際に渋谷さんから「いつか僕が所属する劇団の作品に出て頂けませんか?」って言ってくれまして。私自身、舞台出演は自分の公演(久下恵美との演劇ユニット・類類〜Lui Lui〜)以外は控えていたんですけど、「どうしても!」という声を頂いて。
――熱意にほだされたと。
及川そうですね。約束もあったので出演を決めました。「私でよければ!」って(笑)。若い方だけで劇団を立ち上げて頑張っているのは、私も類類〜Lui Lui〜をやっていてその大変さをよく知っているので……。
――その苦労や大変さに共感出来たんですね。先ほど渋谷さんやリーダーの中路(貴之)さんと話した際にも「気概だけでやってます!」と仰ってましたよ。
及川凄いなぁ〜(笑)。でも、立ち上げて7年で今回の作品で12回目の公演ですからね。頭が下がります。
――大変だけど、舞台ならではの中毒性というのがあるんでしょうね。
及川ありますね〜。私が一番初めに立った舞台がよしもとさんの梅田花月で、ケンドーコバヤシさんとサバンナさんと共演したんです。ケンコバさんと人格が入れ替わるという役を2ヵ月間演じたんです。ただ、それはバラエティの延長での“生のライブ”という感覚だったんです。
――その時はあくまでバラエティの延長線上にあって、ご自身の中では別ジャンルに挑んだという感覚は無かったワケですね。
及川はい。割と自然な流れで臨むことが出来ました。その後に出させて頂いた『志村魂』(※2006年から毎年、志村けんが主催・主演している舞台演劇)が本格的な初舞台でしたね。旗揚げ公演から参加させて頂いたんですけど、小さいことから見ていた志村さんと共演するということだけでも恐れ多くて(笑)。
生でリアクションが返ってくる舞台に魅了されました
及川そうなんです。全く舞台のことも分からなくて……例えば舞台メイクとかも凄く濃いじゃないですか? もちろんそれは舞台映えするからなんですけど、そんなことも分からなくて、一緒に出演した舞台女優さんに舞台のイロハを教えてもらって。ちなみに、舞台のいろはを教えてくれたのが、今一緒に類類〜Lui Lui〜をやっている久下さんで(笑)。
――あ! そうだったんですか。そんな古い付き合いだったんですね。
及川そうなんです(笑)。『志村魂』の舞台に立って、生でお客さんの反応が返ってくることの喜びを実感したんです。私が志村さん扮する殿と一緒にお風呂に入る場面があるんですけど、殿が私の背中を流している背後からオバケが迫るというシーンがあって、客席から「志村、後ろ!後ろ!」って聞こえてくるんですよ。
――アハハハハハ! それは客席にいたら言っちゃいますよね。(笑)。
及川それが凄く嬉しかったんです! 生でリアクションが返ってくる、それがお客さんと一緒に作品が作られていく瞬間というか。そこから舞台に魅了されましたね。
――なるほど。ただ、及川さん自身、最近は舞台作品への出演を控えていましたけど、理由はどこにあったんですか?
及川これまで、頻繁にいろいろな作品に客演をさせて頂いてとっても勉強になったんです。2011年に久下さんと類類〜Lui Lui〜いう演劇ユニットを結成して、やっぱり作ったからには 類類〜Lui Lui〜に集中しないといけないなって思ったんですね。ただ、今回の『OLD NEON』は、俳優仲間との約束もあったし、自分が類類〜Lui Lui〜 でやってきたことが、他の作品でどのように活かされるのかという部分も興味深かったので。
――もう一度、対外試合をしてみようと。
及川そうですね。今回の作品は知っている役者さんも多いんですけど、皆さん私よりも年下で。私が最年長かも(笑)。
――気付いたらそうなってましたか(笑)。確かに、主催する劇団FULLMONTYのメンバーも全員20代ですよね。しかも、30人ほどの役者が出演するって、凄く珍しいですよね。
及川そうですよね! 稽古期間も短いから大丈夫かなって(笑)。でも、ギリギリの方が楽しかったりするんですよね。
――さすが数々の修羅場をくぐってきただけはありますね(笑)。
及川いえいえ。ただ、初日と千秋楽でどこまで変わるのか、凄く楽しみですね! 私自身、舞台をお客さんとして観る場合、初日の新鮮な雰囲気も凄く好きですし、千秋楽の成熟した感覚も好き。同じ舞台でも異なる魅力があると思うので。
――初日は緊張感と勢いで乗り越えられるけど、2日目って割とトチるって言いますよね。
及川そうなんですよ! ですから、舞台役者の方は2日目に対しての恐怖心が強いです。
――なるほど(笑)。そういう演者の心情などを考えながら観るのも面白いかも。
及川アハハハハ! また別の視点の楽しみ方のひとつですね(笑)。