ORICON NEWS
日本人レゲエ初のグラミー賞候補、SPICY CHOCOLATEとは?
CMソングで全国へ、レゲエシーンを越えた人気を獲得!
そんなサウンドクルーが、ジャマイカの大御所リズムセクションであり、これまで何度も『グラミー賞』を手にしている、スライ&ロビーに熱烈なオファーを送り実現。中心メンバーのKATSUYUKI a.k.a. DJ CONTROLERはノミネートが発表された際、「尊敬するスライ&ロビーとの共作として作らせてもらうことになり、ジャマイカと日本のアーティストとの連合軍で世界中に感動を与えたいと思いながら作ってきたので、そのスタートラインに立てたんじゃないかなと思っています」とコメントしている。
アルバム『THE REGGAE POWER』(日本では1月28日発売)には、ジャマイカ在住の元外交官・阿曽沼和彦氏(過去に7回ノミネートされている)がプロデュースを手がけたほか、AIや青山テルマ、Crystal Kayら日本人アーティストもボーカルで参加した。独特の心地よいリディムに乗って、心に響くメロディアスなラブソングから、2組のセッションに興奮するダンストラックまで、レゲエミュージックの持つ強さと優しさと多面性を表現した作品。
日本人レゲエが世界に認められたのは、レゲエへのたゆまぬ探究心と愛情から
なぜシビアな状況のなかで、彼らが世界的に実力を認められ、闘い続けられるのか? それはレゲエへのたゆまぬ探究心と愛情があるからこそ。彼らの熱意が、人種というハンディキャップを乗り越えて、支持されている大きな理由だと思う。また日本人独特の繊細なメロディ、リディム感覚も海外のレゲエリスナーには新鮮に響いている部分もあるようだ。
ルーツからはじまり、スカ、ダブ、ダンスホール……あらゆるサウンドスタイル、また(今やどんなライブでもお約束となっている)観客がタオルを振り回して盛り上がる「プロペラ大回転」など、様々なカルチャーを吸収しながら、独自の進化を遂げていったレゲエシーン。SPICY CHOCOLATEの音楽が世界最高峰の音楽賞で認められたことにより、そのメロディアスで繊細な感覚を活かした「ジャパニーズスタイル」がシーンを席巻する瞬間は、そう遠くない気がする。これまでに『グラミー賞』では、1989年の「最優秀映画音楽アルバム」に坂本龍一、2011年の「最優秀ポップ・インストゥルメンタル・アルバム」にB’zの松本孝弘が獲得するなど、様々な日本人アーティストが才能を認められて来た。SPICY CHOCOLATEも華々しいステージでスピーチをする姿を目撃したいものだ。
(文:松永尚久)