(更新:)
ORICON NEWS
佐藤浩市×西村雅彦×吉瀬美智子 SPECIAL INTERVIEW どうなれば大人なんだろう―― 逃げたのではない 踏み出す一歩
こんな風に夜空を眺めるなんて[佐藤浩市]
【西村】 フンザの地についた瞬間に、もう急に癒されましたね。自然の力とか優しさに、一気に包み込まれる感覚があって。特別な地なんだなって思いました。
【佐藤】 僕の場合、あんまり何かに影響を受けるタイプじゃないんです。でも、現地での撮影が終わって、すべての明かりを消して、みんなで30分くらい夜空を眺めていたんですよ。天の川がはっきり見えて、一分に一回くらい流れ星が流れて。50歳にもなって、こんな風に夜空を眺めるなんて思ってもみませんでしたね。
【吉瀬】 砂漠に行く機会とかも普通はないですし、周りの雪山も壮大で、本当にいい経験になりました。それがそのままスクリーンに映っているので、ぜひ観てもらいたいです。
――映画のなかでは、大人になっても戸惑ったり何かを見つけたりという姿が描かれていました。3人にとって、大人とはどういうものでしょうか?
【佐藤】 自覚ねえ……。なかなか自分が子どものときに思っていたみたいには大人になれないなあと。でも、今って年齢の七掛け論とかありますし、人間のおかしみってものを感じることは多いですね。動物の遺伝子っていうのは、危険には近づかないようになっているから、川辺にワニがいるなら近づかないんです。でも、人間はそれがわかっていても、危険が喉元を過ぎると近寄ってしまう。そういう愚かなことを繰り返すのも人間なんですよね。あ、これは自分が愚かなことをしているってわけではないですよ(笑)。本当はもっと老成しないといけないんでしょうけどねえ。
――今回の役の上でも、そういう「もっと老成しないといけないけど……」という揺れる部分があって、そこがユーモアになっていました。
【佐藤】 もともとは、役のほうがもっと大人で老成していた部分はあったんです。でも、日本の今の社会からすると、そこまで老成している人というのも少ないと思ったので。原作よりは、若干、大人になりきれていないような、ナイーブな感じを入れたというのはあります。
【西村】 僕は、紆余曲折があっても、前に進むことをあきらめない、それが大人じゃないかなあと思います。でも、社会に喰い込まれて、気持ちがすっかり萎えてしまって、逃げ出したいこともあります。それを自覚しながらも、自分に与えられた使命を全うする、そういう人が大人だと思いますね。
なんて難しいことを聞くんですか(笑)[西村雅彦]
【西村】 なんて難しいことを聞くんですか(笑)。でも、そうありたいとは思いますね。
【吉瀬】 難しい質問ですね……。正直、私には今はまだわからないです。私自身もまだ大人になりたくない部分もありますし、どうなれば大人なんだろうと考えている最中です。
――この映画には、男女の出会い、男同士の出会い、大人と子どもの出会いという、いくつもの出会いが描かれています。大人になってこうした出会いってあるものなんでしょうか。
【佐藤】 まあ、寓話ではありますよね。大人になってこういう出会いがあるかというと、限りなく難しいとは思います。僕らも演じるにあたって、すごく難しいなというのはあったんですけど、現実で起こりにくいからこそ、それはすごくうらやましいよねと。吉瀬さん演じる貴志子と出会うシーンは、僕が演じるサラリーマンが、仕事で心が折れかけているところに、雨のなか、和装のいい女がいて、思わずタクシーを降りて走り出してしまうんです。別に出会いを求めていたわけではないんですけど、それでも行動してしまうという愚かしさが、ウソっぽくなくていいシーンになったんじゃないかと思いました。
――映画のなかでは、「圭ちゃん」という子役の存在もかなり大きいと思いましたが。
【西村】 まったくもってその通りですね。監督も(オーディションで)彼の目で決めたと言われていますし、周囲からの評価も非常に高いです。でも、彼の演技の影には、たくさんのスタッフの尽力もあったんで、大人がどんなにちやほやしても、過信しないで、勘違いしないで人生を送ってほしいですね。
【佐藤】 芝居をする上で利害がないので、やりたいときにしか演技をしないわけですよ。スタッフもお母さんも泣かされました。でも、やっぱり、映像になるといいものがある。一緒に大変な撮影を乗り越えたから、僕らも情を持って演技をすることもできました。感謝しなくちゃね。
【西村】 映画を全部撮り終わったときに、彼が非常に晴れやかな表情を見せたんですよ。それを見て、彼なりにこの映画に対しての責任とかを感じていたんだなってわかって。僕は自分の見方でしか物事を見ていなかったんじゃないかとも気づかされて。彼から学ばせてもらいましたね。
(文:西森路代/写真:草刈雅之)
⇒ 次のページへ【悩みを持つ女性を意識しながら…】
映画情報
関連リンク
・映画公式サイト