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松山ケンイチ「いつも“生きている”ことを感じながら歩みたい」

芝居であることを忘れるほど“深く潜った”

100人に一人の天才と言われる羽生と村山との最後の対局シーンは、約3時間の長回しで撮影したという。70手以上におよぶ実際の対局の棋譜を覚えて再現し、その映像から数分間のみが使われたそう。これは長年役者人生を歩んできた松山にとっても初めての出来事だった。

「3時間の長回しは初めての体験でした。もちろん最初はお芝居をしている感覚はあるんですけど、途中で演技を捨てる作業をしている自分がいて。それは今まで感じたことのないような面白い体験でした。僕は凄く臆病で恐がりなので、クランクイン前に演じる人物のリサーチを徹底して行います。でも、そこに頼り過ぎてしまうと実在する人物のコピーでしかなくなってしまうので、演じる前にリサーチした情報を捨てたり忘れていく作業が必要になってくるんです。今回も捨てていく作業をしてから演じたのですが、演じている途中で芝居をしている感覚自体を捨てていったのは今作が初めてで新鮮でした」

演じる人物をリサーチして知ることで不安を無くすという松山。村山聖の人生を生きる中で見つけたプロ棋士と自身との共通点とは。

「村山さんは体を休ませないといけない状態にもかかわらず深酒をしたり、朝まで麻雀をしたりと体を痛めつけています。これは“死”に近づくことですが、村山さんにとっての“生”は肉体的なものだけでなく、“将棋を続けること”が生きることだったのかなって。将棋を芝居に置き換えると僕にも若干そういうところがあって。というのも、先日羽生さんにお会いしたのですが、将棋の世界に深く潜り過ぎて普段の自分に戻れなくなる怖さを感じることがあるとおっしゃったんです」

劇中で羽生善治を演じた東出昌大

劇中で羽生善治を演じた東出昌大

「僕も20代前半は仕事が続いていて自分がいまどこにいるのかわからなくなる時期がありました。お酒を飲み過ぎたりケンカしたりして自分を痛めつけることで普段の自分らしさを取り戻すことも。あまりに役に没頭しすぎて怖くなるのは、羽生さんが将棋人生に感じた怖さと似てるのかなと思ったんですよね」

俳優・松山ケンイチは、今作で村山聖という人物を演じるというより、心の在り方を含めて“村山聖の人生”を濃縮して演じたのではないか。

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