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「今年は一番悩んだ…」『M-1』審査員・倉本美津留が明かす決勝戦までの舞台裏

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 今年で9回目の開催を迎えた漫才師世界一を決める笑いの祭典『M-1グランプリ2009』(ABC・テレビ朝日系)。先ごろ今年度の決勝進出者の発表会見も行われ、間近に迫った決勝大会を前に、各メディアはこぞって優勝者予想を展開。そんな中ORICON STYLEでは、同イベントの構成作家で準決勝までの審査員として“創成期”から屋台骨を支えてきた倉本美津留氏にインタビューを敢行。決勝進出者について倉本氏は「今年は一番悩みました。同じくらいオモロイ奴が一杯いた。結構揉めましたよ」と決勝に至るまでの壮絶な舞台裏を明かしてくれた。

取材に応じた倉本美津留 

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 今やすっかり年末の風物詩となった同大会の第2回大会(2002年開催)からスタッフとして参加している倉本氏。「実は、1回目は出てやろうかなって思ってたんですよ。だって、別にプロの芸人じゃなく素人でも出場資格あるでしょ? で、局のディレクターと組むことにして、応募用紙もらって書いて出したんですよ。でも、1回戦の日にちが(本業の)生本番の日と被って出られなかった。周りの人間にも、(島田)紳助さんがオモロイの考えたから出た方が良いって煽ってましたね。スタッフでもないのに、キム(木村祐一)と板尾(創路)にも『2人で組んで出たらいいで!オモロいやん』なんて言ってね(笑)」と意外にも第1回大会は“出る側”として参加するつもりでいたことを告白。「そんなことしてたら、主催者の人から『どうせなら一緒に(企画を)考えて下さいよ』って言われたのがきっかけですね(笑)」。

 中川家が初代優勝者に輝いた記念すべき第1回大会を“舞台に立つ人間”の目線で観ていた倉本氏。「僕が1回目を観て思ったのは、せっかく良いイベントなんだから、もっと“シンプル”に、もっと“ストロング”なモノになるんちゃうかなって…」という想いから、決勝戦の審査方法から観客票を排除、さらに上位3組を決め、最終決戦を行うシステムを導入した。「3組の中から選ぶ時は点数やなくて、面白かった組を挙げるというスタイルは第2回大会から確立できましたね。この採点方法でより明確になったし良かったかなって。1回目は家で“自分が出るとしたら?”という目線で見てたからね。その客観的な目線が良かったのかも(笑)」と振り返る。

 最終的には“人間が裁く”という性質上、万人を納得させるジャッジは不可能に近い。だが、さまざまな声が挙がりながらも、ここまで影響力を持ち、かつ“格”を漂わせているお笑いコンテストはM-1以外にありえないのは紛れも無い事実。「それはね、やっぱり出場している芸人はもちろん、(決勝戦の)審査員の皆さんが自分の身を削って審査しているからですよ。だって、点数付けるってホンマ凄いことじゃないですか? 自分が点数を付けるって、逆に自分が審査されるようなもんですからね。絶対出るのイヤでしょう(笑)。でも、それを乗り越えて明日の日本の笑いのためにという想いで出てきて下さっている人たちですから。あんなスゴイ人たちが身を削って審査をしているということで、『これはとんでもないイベントだ』という説得力があるんでしょうね。僕は予選の審査の時、決勝の審査員の皆さんに、驚いて欲しいと思っている。紳助さんや松本(人志)くんに『お、凄いヤツおるな』って思わせたいじゃないですか」と感慨深げに語る。

 今年の決勝戦にコマを進めたお笑いコンビ、及びネタ披露順は、1=ナイツ 2=南海キャンディーズ、3=東京ダイナマイト、4=ハリセンボン、5=笑い飯、6=ハライチ、7=モンスターエンジン、8=パンクブーブー、9=敗者復活戦勝者。いずれも決勝進出者の名に恥じないメンツだが、前回覇者であるNON STYLEを筆頭にキングコング、U字工事などの名立たる猛者が準決勝で敗れ、敗者復活戦に望みを託すというシビアな結果となった。準決勝の審査について倉本氏は「今年は個人的に一番悩みましたね。同じくらいオモロイ奴が一杯いた! 審査員の中でもバラけましたからね……」

 現在『M-1』を皮切りに、各局でさまざまな形態のお笑いコンテストが派生し、乱立状態と化しているのは周知の事実。そんな群雄割拠の中、数多くの芸人が『M-1』に標準を合わせてくるのは何故なのか? 「この時代にね、一夜にしてスターダムに駆け上がる舞台は『M-1』しかないでしょ! 一昨年のサンドウィッチマンが象徴的でしたけど、全然知らない人間がスターになる瞬間を生放送で同時体験できてしまう。人生が変わる瞬間が見られるんですよ! 素敵なことですよね〜」と『M-1』の存在意義を熱っぽく語る。

 大会創設当初から、スタッフは『目指せ紅白!』を胸に誓い、回を重ねてきた。視聴率も第1回から一度も下がることなく常に右肩上がりを維持してきたのも高いモチベーションの賜物。「歌に国民的行事があるんだったら笑いにも国民的行事があって然るべき。『紅白』に勝るとも劣らない優れたコンテンツやから、そのつもりでやりましょうってずっと言ってるんですよ。実はこの間、『紅白』のプロデューサーさんと対談したんですけど、『M-1は紅白を超えるつもりで毎回やってますから』って言ったら、『なるほど〜。超えると思います?』だって。だから「可能性はあります!」って言い返しましたよ(笑)」と笑う。出場者、審査員、スタッフ……番組に関わる全ての人間が、文字通り命を削って『M-1』に関わっているからこそ、“どう転がっても、ドラマが生まれる舞台”として成り立っているのだ。

『M-1グランプリ2009』は、20日(日)午後6時半よりABC・テレビ朝日系で完全生放送。また、注目の敗者復活戦も当日午後4時より初めて地上波生放送される。



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  • 取材に応じた倉本美津留 
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