ハリウッドスターのブラッド・ピットとのコンビで放った『セブン』『ファイト・クラブ』が世界的に高い評価を浴びたデビッド・フィンチャー監督。再びピットと組んだ最新作『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2月7日公開)は、第81回アカデミー賞で最多13部門にノミネートされ、ふたりの新たなコラボ作品に大きな注目が集まっている。そんななか、12年ぶりに来日したフィンチャー監督が映画への思いを語った。
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80歳で生まれ、年を重ねるごとに若返っていく数奇な人生を生きた男を描く映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』は、『グレート・ビャツビー』で知られる作家のF・スコット・フィッツジェラルドが1920年代に書いた短編小説をもとにする。技術的に難易度が高いこの作品に挑んだフィンチャーは、製作にあたって困難だったことを聞かれると、サラリと答える。
「製作費を集めること(笑)。あとは、キャスティングも大変だったし、(ピットの)特殊メイクに関してもラバーで乗せるのではなく、CGでやらなければいけない技術的なことなど、いろいろな挑戦はありました」
本作の話題のひとつが、20代のシワひとつない美しい顔から、80歳の年老いた姿までを披露したピットの演技とメイクだ。フィンチャ―は、その撮影には自らの挑戦があったことを明かしながら、今回が3作目となり、コンビを組むたびに新しいものを生み出していくピットへの信頼を口にした。
「彼は大スターだけど、この4〜5年になって自らの名声に対して自信をもってきているので、今回の心やすらぐような役を演じられる時期に入っていると思い、キャスティングしました。(完成した映画に)私はとても満足していますし、ピットの演技はすばらしいものでした。メイクのために何時間も椅子に座り続けた努力もすばらしい(笑)」
◆上映時間は長くても短くてもいい!?
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本作の上映時間は2時間47分。最近の映画では2時間をゆうに超える作品も多くなっているが、そのなかでもとくに長いほうだろう。フィンチャー監督の前作『ゾディアック』(2006年)は2時間37分とやはり長いほうだが、それ以前の彼の作品は2時間前後。近作での上映時間の長さに特別な意味があるのだろうか? そしてこの映画で伝えたいメッセージとは。
「(今回は)確かに『ゾディアック』よりも長いですね。でも、とくに上映時間にポリシーはなくて、長くても短くても表現するべきことをするだけです。基本的には、観客に何かメッセージを伝えたいと思っているわけではなくて、それを観た人がそれぞれ感じていただければと思っています。とくにこの映画は不思議な話ですので、いろいろな感じ方があるでしょう。映画や俳優への評価は、観客の皆さんが決めることだと思います」
これまでに同じようなタイプの作品は撮ってきていないフィンチャー監督。この先、取り上げるテーマが気になるところだが、残念ながらそれは「これから考える」という。
「その時の作品にベストを尽くしていたいという気持ちがあります。今回は7年くらいかかっていますので、今は終わってほっとしているところで、その先のことはまだ考えていません。日本に来て、こうしてインタビューに答えることに十分満足しています」
そして、最多13部門のノミネートが話題になっているアカデミー賞。『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』は、作品賞のほか、ピットが初の主演男優賞、フィンチャー自身も監督賞で初のノミネーションを果した。この話題をふられると、よろこびをみせながらも答えはクール。
「キャスト、スタッフの皆を誇りに思っています。ただ、そもそも映画を比較すること自体が奇妙なこと。ノミネートされただけで十分うれしいです」
受賞して一番うれしいのは「もちろん作品賞」と控えめな笑顔で答えた。
2009/02/05