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自分の弱さをさらけ出すエモコアでブレイクへ!?

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 ASIAN KUNG-FU GENERATION、ELLEGARDENに続いてブレイクを果した本格派ライブバンド、ストレイテナー。そのヒットの軌跡を辿る第2弾(Vol.1はこちら)。

 1月にリリースされたシングル「SIX DAY WONDER」を聴いた人は、繊細なピアノのフレーズと感傷的なボーカルが耳に残っていることだろう。抑えめのバンド演奏のスキ間からはシンセサイザーのあたたかい音色も聴こえてくる。

 ストレイテナーのセンチな部分がよく出た歌だ。この歌詞は日本語と英語がじつに自然に混ざったもの。一方、2月に出た「TRAIN」は、激しいギター・サウンドとたたみかけるようなビートが終始鳴り響くアッパーな曲。すでにライブの場ではオーディエンスを興奮に誘う役目を果しており、今年のこのバンドの勢いを象徴する作品と言える。そしてこちらは全編が日本語詞である。

 アルバム『リニア』に先駆けて発売されたこの2曲は、ストレイテナーの音楽の振り幅をよく示している。荒々しさと繊細さ。ロックなビートと歌ものとしての美しさ。ライブ・バンドとしての肉体性とスタジオで作り上げる音の構築感。これらのひとつずつのどれもがこのバンドに息づく重要な要素である。そして忘れてはいけないのがホリエアツシのメロディ・センスの高さ。ギターを弾きながら作られた「TRAIN」は、当初はスローテンポのバラード的な曲だったそうで、なるほど、あえてメロディだけ追って聴くと、かなりセンシティヴな印象がある。

 ストレイテナーが海外バンドのフロント・アクトや洋楽系フェスといったステージに数多く出演してきた背景には、音楽に洋楽ロックの感覚が深く根ざしていることが大きい。彼らが親しんできたのはグリーン・デイに代表される90年代以降のパンク、あるいはレディオヘッドなどの翳りのあるUKロック。
 これに力強いバンド・サウンドと自分の弱さまでさらけ出して唄うエモコア(<エモ>と略されるケースが多い)の要素もうかがえる。ジャンルとしてはやや曖昧なものと認識されているエモだが、このゼロ年代中盤から後半にかけてのロック・シーンにおいては、ひとつのキーになっているように思う。

 さらに『リニア』ではエレクトロニカ、アンダーグラウンド・ヒップホップなど、かなりの洋楽マニアでないと到達しないレベルの音楽が入り込んでいる。ポップ性、親しみやすさという点ではむしろ前作の『Dear Deadman』(06年)に軍配が上がるが、それでも『リニア』がセールスを伸ばしたのは、バンド側の音楽に対する真摯なスタンスがリスナーにしっかりと伝わったことの証明だと思う。

 ストレイテナーの歌を楽しんだファンは、その先にある音楽との新たな出会いも経験していくことだろう。音楽文化にとっても、それはきっと幸福なことだ。
(青木 優)


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