公開中の映画『免許返納!?』で2度目の共演を果たした舘ひろしと黒川想矢。作品ではスター俳優・南条弘と、彼との出会いをきっかけに人生が変わっていく少年・来宮亮を演じているが、現実の2人にもどこか重なる関係性がある。
舘は、『西部警察』(1979年)で共演した故・渡哲也さんに憧れ、「渡さんの近くにいたい」と石原プロ入りを決意。一方の渡さんも舘の将来を見込み、自ら会社側と掛け合い、舘を特別な立場で迎え入れるよう後押ししたという。また、初めて渡さんと会った時には、渡さんのほうから立ち上がって握手を求めてくれたことが強く印象に残っていると回想。渡さんから学んだ礼節や人との接し方は、現在の舘の立ち居振る舞いにも確かに受け継がれている。
黒川は、2021年のBS時代劇『剣樹抄〜光圀公と俺〜』(NHK)で舘と共演したことをきっかけに、舘と同じ事務所に入りたいと自ら申し出て、舘プロへ所属することになった。
今回が所属後初の映画共演となったわけだが、舘は今回のキャスティングについて「この役は想矢じゃないと成立しなかった」と振り返る。
「学業もあり、スケジュールの問題もあったんです。でも僕はどうしても想矢でやりたかった。亮という役は想矢にしかできないと思ったんです」
なぜそこまで黒川にこだわったのか。
「想矢は気持ちで芝居をするんです。小手先で芝居をこなさない」
それは、舘自身が石原プロ時代に叩き込まれたものでもあった。
「石原プロで僕は『芝居はするな』と教わりました。想矢はまさにその教えを自然に実践しているように見えるんです。役を演じているというより、その人物として生きている。天才です」
■役と自分を切り離したことはない
舘に絶賛された黒川は「天才じゃないですから」と恐縮しきり。「僕、自分というものは幻想だと思っているんです」と切り出した黒川は、役と自分の関係について独自の考えを語った。
「役として現場に入って、そこで感じたことから出てくるものは全部自分だと思っているんです。だから役と自分を切り離して考える感覚があまりない。役は入り口みたいなもので、自分はその先にあるスピーカーみたいな存在なのかもしれません。流れてくる音は毎回違うけれど、それを感じて外に出しているのは自分なんです」
そして、こう続けた。
「だから役を演じながら『これは自分じゃない』と思ったことは一度もないです。逆に演じようとすると違和感が出てくるんです。かゆくなるというか。だから“芝居をしない”というのは、自分に合っているのかもしれません」
自分の中にある感覚を、言葉を選びながら丁寧に語る黒川。これを聞いて、舘は「偉いでしょ」と満面の笑み。まさに我が意を得たりといった表情だった。
1976年に俳優デビューしてから50年になる舘。若き後輩・黒川に助言を送るとしたら――。そんな問いに、舘は「アドバイスすることは全くないですね」と即答した。
「むしろそんなに考えすぎるなと言いたいですね。想矢は本当に素晴らしいものを持っているんです。その原石みたいなものが変な形になってほしくない。無理やり光らせようとしなくても、彼は放っておいたって光ると思うんですよ」
さらに舘は、俳優としてだけでなく、一人の人間としての成長を願った。
「俳優としてどうあるかより、人としてどうあるかが大事だと思うんです。僕も石原裕次郎さんや渡さんから、俳優としてというより、人間としてどうなんだということはよく言われました。石原さんも渡さんも芝居について一切何も言うことはなかった。俳優としてどう見せるかより、人としてどうあるかを大事にしていたんだと思います」
■50年の俳優人生を振り返る
「あぶない刑事」シリーズの鷹山敏樹役では言わずと知れたダンディーな魅力を放ち、「ゴールデンカムイ」シリーズの土方歳三役では“渋カッコいい”存在感で多くのファンを魅了してきた舘。長年語られてきた“舘ひろしのかっこよさ”について話が及ぶと、意外な自己分析が飛び出した。
「僕は薄っぺらなかっこよさに人生をかけちゃったと思うんですよ」
予想外の言葉に、隣で話を聞いていた黒川も思わず「どういうことですか?」と聞き返した。舘は笑みを浮かべながら続ける。
「僕の場合は、洋服を着こなしたり、食事の席でスマートに振る舞えたり、そういう“見える部分のかっこよさ”なんです。本当にかっこいい人って、例えば雨の中で誰かを守っていたり、目立たないところで誰かを支えていたりする人だと思う。それに、本当のかっこよさは、一つのことを長く貫き続ける中でにじみ出てくるものなんじゃないかと思うんです」
自身は“見える部分のかっこよさ”だと謙遜する舘だが、俳優を50年続けてきたことは紛れもない事実。その俳優人生を振り返ると、いくつかの大きな転機があった。
「まずは『西部警察』ですね。渡(哲也)さんと出会えたことは僕にとってものすごく大きな転機だったと思う。作品としては『あぶない刑事』(1986年)がブレイクのきっかけになった。もう一つ、挑戦的な転機となったのは、ドラマ『パパとムスメの7日間』(2007年)ですね。僕にとっては非常にリスキーな作品でした。でもあれに挑戦する勇気があったことは良かったと思っています。あれをやったから今の自分があるのかもしれません」
『パパとムスメの7日間』は、舘が女子高生の娘(新垣結衣)と人格が入れ替わった中年サラリーマンを演じた異色作。ダンディーなイメージを覆すコミカルな演技に挑み、新境地を開いた作品だ。
そんな舘が、久々に本格コメディーに挑んだのが最新作『免許返納!?』。演じるのは、芸術作品への出演オファーよりも「まだまだアクションがやりたい」と願う70歳の現役映画スター・南条弘。とともに一時代を築いた俳優仲間・尾崎誠(宇崎竜童)が起こしたバイク事故へのコメントをきっかけに、世間から「で、南条さんはいつ“免許返納”するんですか?」と追及され、世論の渦に巻き込まれていくスターの姿をユーモアたっぷりに描き出す。
舘が渡さんから受け取ったものは、黒川へと受け継がれていく。
「俳優としてどうあるかより、人としてどうあるか」。
その言葉は、黒川へのエールであると同時に、50年にわたり俳優という仕事と向き合ってきた自身の信念でもあるように聞こえた。
舘は、『西部警察』(1979年)で共演した故・渡哲也さんに憧れ、「渡さんの近くにいたい」と石原プロ入りを決意。一方の渡さんも舘の将来を見込み、自ら会社側と掛け合い、舘を特別な立場で迎え入れるよう後押ししたという。また、初めて渡さんと会った時には、渡さんのほうから立ち上がって握手を求めてくれたことが強く印象に残っていると回想。渡さんから学んだ礼節や人との接し方は、現在の舘の立ち居振る舞いにも確かに受け継がれている。
黒川は、2021年のBS時代劇『剣樹抄〜光圀公と俺〜』(NHK)で舘と共演したことをきっかけに、舘と同じ事務所に入りたいと自ら申し出て、舘プロへ所属することになった。
今回が所属後初の映画共演となったわけだが、舘は今回のキャスティングについて「この役は想矢じゃないと成立しなかった」と振り返る。
「学業もあり、スケジュールの問題もあったんです。でも僕はどうしても想矢でやりたかった。亮という役は想矢にしかできないと思ったんです」
「想矢は気持ちで芝居をするんです。小手先で芝居をこなさない」
それは、舘自身が石原プロ時代に叩き込まれたものでもあった。
「石原プロで僕は『芝居はするな』と教わりました。想矢はまさにその教えを自然に実践しているように見えるんです。役を演じているというより、その人物として生きている。天才です」
■役と自分を切り離したことはない
舘に絶賛された黒川は「天才じゃないですから」と恐縮しきり。「僕、自分というものは幻想だと思っているんです」と切り出した黒川は、役と自分の関係について独自の考えを語った。
「役として現場に入って、そこで感じたことから出てくるものは全部自分だと思っているんです。だから役と自分を切り離して考える感覚があまりない。役は入り口みたいなもので、自分はその先にあるスピーカーみたいな存在なのかもしれません。流れてくる音は毎回違うけれど、それを感じて外に出しているのは自分なんです」
そして、こう続けた。
「だから役を演じながら『これは自分じゃない』と思ったことは一度もないです。逆に演じようとすると違和感が出てくるんです。かゆくなるというか。だから“芝居をしない”というのは、自分に合っているのかもしれません」
自分の中にある感覚を、言葉を選びながら丁寧に語る黒川。これを聞いて、舘は「偉いでしょ」と満面の笑み。まさに我が意を得たりといった表情だった。
1976年に俳優デビューしてから50年になる舘。若き後輩・黒川に助言を送るとしたら――。そんな問いに、舘は「アドバイスすることは全くないですね」と即答した。
「むしろそんなに考えすぎるなと言いたいですね。想矢は本当に素晴らしいものを持っているんです。その原石みたいなものが変な形になってほしくない。無理やり光らせようとしなくても、彼は放っておいたって光ると思うんですよ」
さらに舘は、俳優としてだけでなく、一人の人間としての成長を願った。
「俳優としてどうあるかより、人としてどうあるかが大事だと思うんです。僕も石原裕次郎さんや渡さんから、俳優としてというより、人間としてどうなんだということはよく言われました。石原さんも渡さんも芝居について一切何も言うことはなかった。俳優としてどう見せるかより、人としてどうあるかを大事にしていたんだと思います」
■50年の俳優人生を振り返る
「あぶない刑事」シリーズの鷹山敏樹役では言わずと知れたダンディーな魅力を放ち、「ゴールデンカムイ」シリーズの土方歳三役では“渋カッコいい”存在感で多くのファンを魅了してきた舘。長年語られてきた“舘ひろしのかっこよさ”について話が及ぶと、意外な自己分析が飛び出した。
「僕は薄っぺらなかっこよさに人生をかけちゃったと思うんですよ」
予想外の言葉に、隣で話を聞いていた黒川も思わず「どういうことですか?」と聞き返した。舘は笑みを浮かべながら続ける。
「僕の場合は、洋服を着こなしたり、食事の席でスマートに振る舞えたり、そういう“見える部分のかっこよさ”なんです。本当にかっこいい人って、例えば雨の中で誰かを守っていたり、目立たないところで誰かを支えていたりする人だと思う。それに、本当のかっこよさは、一つのことを長く貫き続ける中でにじみ出てくるものなんじゃないかと思うんです」
自身は“見える部分のかっこよさ”だと謙遜する舘だが、俳優を50年続けてきたことは紛れもない事実。その俳優人生を振り返ると、いくつかの大きな転機があった。
「まずは『西部警察』ですね。渡(哲也)さんと出会えたことは僕にとってものすごく大きな転機だったと思う。作品としては『あぶない刑事』(1986年)がブレイクのきっかけになった。もう一つ、挑戦的な転機となったのは、ドラマ『パパとムスメの7日間』(2007年)ですね。僕にとっては非常にリスキーな作品でした。でもあれに挑戦する勇気があったことは良かったと思っています。あれをやったから今の自分があるのかもしれません」
『パパとムスメの7日間』は、舘が女子高生の娘(新垣結衣)と人格が入れ替わった中年サラリーマンを演じた異色作。ダンディーなイメージを覆すコミカルな演技に挑み、新境地を開いた作品だ。
そんな舘が、久々に本格コメディーに挑んだのが最新作『免許返納!?』。演じるのは、芸術作品への出演オファーよりも「まだまだアクションがやりたい」と願う70歳の現役映画スター・南条弘。とともに一時代を築いた俳優仲間・尾崎誠(宇崎竜童)が起こしたバイク事故へのコメントをきっかけに、世間から「で、南条さんはいつ“免許返納”するんですか?」と追及され、世論の渦に巻き込まれていくスターの姿をユーモアたっぷりに描き出す。
舘が渡さんから受け取ったものは、黒川へと受け継がれていく。
「俳優としてどうあるかより、人としてどうあるか」。
その言葉は、黒川へのエールであると同時に、50年にわたり俳優という仕事と向き合ってきた自身の信念でもあるように聞こえた。
このニュースの流れをチェック
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2026/06/25