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「アルファ世代」の子どもたちに必要なものは? “共感”と“主体性”を育むコミュニケーショントイの意義


 Z世代に続く新世代として、今、子育て・教育・ビジネスの現場で注目を集めているアルファ世代。“超デジタルネイティブ世代”とも呼ばれ、スマホやタブレットを当たり前のように使いこなす一方で、デバイスへの依存や対面でのコミュニケーション機会の少なさなどを不安視する親も少なくない。現場で子どもと向き合う企業は、この新世代をどう捉えているのか。長年「遊び」の最前線で子どもたちを見つめてきた玩具メーカー大手・タカラトミーに、アルファ世代の特徴と、同社が考える“アルファ世代向け玩具”について話を聞いた。

幼児期からスマホやタブレットを利用する「アルファ世代」。その特徴と玩具に求められるものとは――。 ※写真はイメージ

幼児期からスマホやタブレットを利用する「アルファ世代」。その特徴と玩具に求められるものとは――。 ※写真はイメージ

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■生まれながらにデジタルと共に育つ世代に「いかに驚きを届けるか」

 2010年以降に生まれた世代を指す“アルファ世代”。2010年といえば、iPadが発売され、Instagramのリリースが始まった年。“デジタルネイティブ”と呼ばれたZ世代よりも、生まれたときからはるかに多くのデジタル機器やデジタルサービスに囲まれ、小学校ではプログラミング教育も必修で受けるなど、テクノロジーが日常に組み込まれた環境で育っている。

 こうした背景から“超デジタルネイティブ”と呼ばれる世代を、創業101年を迎えた玩具メーカー大手・タカラトミーでは、どう捉えているのか。同社開発部の武田誠さんは、こう話す。

「これまでの子どもたちは、小学生・中学生へと成長するにつれゲーム機やデジタルデバイスに触れ、おもちゃから離れていくのが一般的でした。しかしアルファ世代は、物心ついた時からデジタル環境に囲まれて育っています。SNSとともに成長したZ世代よりも一歩先を行き、“慣れる”という段階をほとんど経ず、最初から使いこなしている世代です。そうした子どもたちに、どうすれば新鮮な驚きを届けられるのか。そこが大きなテーマになっています」(武田さん/以下同)

 同社がここ数年で手応えを得たアプローチが、「デジタルとアナログ・リアルを掛け合わせる」という発想だ。デジタルにリアルな体験性やアナログ特有のニュアンスを加えることで、アルファ世代にとって新しい楽しさを提供できるのではないか――。その考えのもとに開発された複数の玩具がヒットにつながった。

 例えば、従来は画面内で完結していた液晶お世話遊びに“直接触れる”感覚を取り入れた『ぷにるんず』は、2021年の初代発売以降シリーズ化し、今年は遊びの要素やデザインをフルリニューアルした最新版「ぷにるんず ぷにすたる」を発売。10月に登場したデジタルトイカメラ『FUNSHOT』は、 レトロ感のある画質のアナログ要素と、撮影通知やスマホへ画像を転送できるデジタルな要素の融合が話題を集めた。

 こうした試みを重ねる中で、タカラトミーが次の一手として送り出すのが、今月27日に発売される手のひらサイズのペットロボット「マイクロペット」だ。小さな体で多彩な表情や動きを見せ、お世話やコミュニケーションによって“成長”していく「マイクロペット」。同社はこの最新プロダクトに、アルファ世代へ向けたどんな提案を込めたのか。

12月27日に発売されるアルファ向け玩具「マイクロペット」(C) TOMY (C)2024 The Moose Group

12月27日に発売されるアルファ向け玩具「マイクロペット」(C) TOMY (C)2024 The Moose Group

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■画面で完結しない、“触れる”体験の価値

 今月27日に登場する「マイクロペット」は、2002年に初代が発売され、全世界で約1000万個を売り上げた大ヒット玩具の進化版だ。初代モデルは、体長5cmに満たない小さなボディながら呼びかけに反応して動き回り、同年には「世界一小さな、音声で動く電動玩具」としてギネス世界記録にも認定されるなど、注目を集めた。

2002年7月に発売された初代「マイクロペット」

2002年7月に発売された初代「マイクロペット」

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 その後、2009年には人工知能を搭載した「マイクロペット-i」が登場。物を追いかけたり障害物を避けながら散歩したり、歌を歌うなど、より“自分の意思”を感じさせる本物のペットのような愛らしさを備えた。そして今回の3代目は、オーストラリアの玩具メーカー・Moose Toysとの共同開発によって「今の時代のマイクロペット」として刷新。目指したのは、液晶お世話トイで人気の“コミュニケーション体験”をマイクロペットで再現することだ。

 タカラトミーではこれまで、液晶トイの画面の中だけで完結しがちな遊びを、実際に触れ合えるリアルなフォーマットに広げることで、新しい体験を提供してきた。今回登場する新・マイクロペットもその流れを汲む存在で、液晶お世話トイが持つ「相手とコミュニケーションを重ねながら育てる楽しさ」を動きや豊かな表情を通じて、手のひらの中でリアルに味わえるようにした。

 その根底にあるのは、デジタル機器に慣れ親しんだアルファ世代に“驚き”を届けるとともに、他者の気持ちに寄り添ったり、自分から関わろうとする“主体的な遊び”を育みたいという思いがある。

 令和版マイクロペットは、表情・音・リアクション・動きなど50種類以上の多彩な機能を搭載。頭部の星マークの色が、赤ならおしゃべり、青ならトイレなど、おねだりしてくれるので、それに応えていくと、レースやダンスといったできることが増え、新たな動きや表情も見せるように成長していく。

「初代のマイクロペットは、表情が変わらず、こちらの指示を解釈して動くだけでした。しかし、スマホやタブレットなどデジタルに慣れた今の子どもたちにとって、例えばAIだって身近な存在になりつつあります。だからこそ、気分や感情を返してくれる玩具を作りたいと考えました」

 喜んだ表情を見せるだけでなく、間違ったお世話をすれば不機嫌になる――つまり、“相手の気持ちを想像しながら関わる”リアルなコミュニケーションを体験できるのが大きな魅力だ。

■進化するAI玩具の中で、問われる“玩具メーカーの本懐”

マイクロペット(C) TOMY (C)2024 The Moose Group

マイクロペット(C) TOMY (C)2024 The Moose Group

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 さらに、コミュニケーションを重ねるほど関係が深まっていく点も特徴だ。犬や猫を飼っていると、鳴き声やしぐさから“言いたいこと”が読み取れるようになるが、マイクロペットも同じ。「TALKO」「POO POO」など英語のようにも聞こえる不思議な“マイクロペット語”。お世話を続けるうちに徐々に意味がわかってくるという。

 その体験を実感した一人が、マーケティング担当のZ世代・中山日菜乃さんだ。

「遊べば遊ぶほど表情が変わっていくので、どんどん愛着が湧くんです。何を言っているかも自然とわかってきます。私が子どもの頃のペットロボットは、ここまで“生きているっぽさ”がなく、感情もあまり感じられませんでした。今の技術だからこそ実現できているのだと思います。何より、これが2498円で買えることに自社ながら、本当に驚きました」(中山さん)

 中山さんが強調するように、“手に届きやすい価格”もまた、同製品の強みのひとつだ。近年はAIを搭載した数十万クラスの高価格帯ペットロボットも多いが、タカラトミーはあくまで「多くの人が手にできる価格」を重視した。

「高価格になるほど、触れられる子どもが限られてしまいます。子ども向け玩具として大切にしたかったのは、“欲しいと思った保護者や子ども自身が気軽に手に取れること”。そのうえで、この価格帯の中でどこまで表情や機能を再現できるかは相当苦労しました」と武田さんは笑う。

 最新AIを搭載すれば、より高度で“本物さながら”のペットトイをつくることは、もはや技術的には難しくない。タカラトミー自身も、多様な価格帯・機能の玩具を展開している。しかし一方で、どれほど技術が進んでも、子どもが日常的に触れ、繰り返し遊びながら愛着を育てていく、そうした“遊びの原点”をどう守るかは、メーカーにとって常に向き合うテーマでもある。

 今回の取り組みは、高性能化を追うだけでなく、「手に取れる価格で」「毎日そばに置きたくなる存在に」という視点から、デジタル技術とのほどよい距離感を探った試みだ。技術の進化が加速する中で、“遊び”と“テクノロジー”をどう調和させるか。そのひとつの答えが、この商品に込められている。

■“今の子どもたち”にフィットする遊びのかたち

「Roblox」内に「マイクロペット」のバーチャル空間が登場。カラフルなマップの中に隠れた「マイクロペット」を探して収集することができる。

「Roblox」内に「マイクロペット」のバーチャル空間が登場。カラフルなマップの中に隠れた「マイクロペット」を探して収集することができる。

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 商品づくりの背景にあるもう一つの発想が、 “デジタルKAWAII”というコンセプトだ。世界でも広く知られる“KAWAII”カルチャーに、未来的なガジェットデザインを掛け合わせる――そんな発想が新しい価値を生み出すと考えたという。

 デジタルとアナログ・リアル、ガジェットとKAWAII。異なる要素をあえて重ね合わせることで、これまでにない驚きや楽しさを届けようとするタカラトミー。近年、デジタル教育先進国のスウェーデンをはじめ北欧では、デジタル教材から紙の教材へ回帰する動きも見られるが、武田さんは「どちらが良い悪いという話ではありません」と語る。

「アルファ世代は、これまで以上に多様な価値観を持つ子どもたちです。デジタルにもアナログにも自然になじみ、どちらとうまく付き合う感覚を持っています。だからこそ、デジタルだけでは伝えきれない部分をアナログで補い、新しい価値につなげていきたいと思っています」

 27日の発売を前に、アルファ世代に人気の没入型プラットフォーム「Roblox」内にバーチャル空間を公開。さらにTikTokやInstagramではショート動画も展開するなど、デジタル領域での展開を強化している。アジア、北米、欧州、オセアニア、中東、アフリカへと広がる販売地域で、マイクロペットがどのような体験価値を届けるのか。世界中のアルファ世代から寄せられる反応にも注目が集まる。

(取材・文/河上いつ子)

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  • 幼児期からスマホやタブレットを利用する「アルファ世代」。その特徴と玩具に求められるものとは――。 ※写真はイメージ
  • 12月27日に発売されるアルファ向け玩具「マイクロペット」(C) TOMY (C)2024 The Moose Group
  • 2002年7月に発売された初代「マイクロペット」
  • 2009年7月に発売された「マイクロペット-i(アイ)」
  • マイクロペット(C) TOMY (C)2024 The Moose Group
  • トイレなどリクエストに応じたお世話で「レベルアップ」するマイクロペット。(C) TOMY (C)2024 The Moose Group
  • マイクロペット(C) TOMY (C)2024 The Moose Group
  • リクエストに応じたお世話で「レベルアップ」するマイクロペット。頭の星マークの色もレベルごとに変化。(C) TOMY (C)2024 The Moose Group
  • 「Roblox」内に「マイクロペット」のバーチャル空間が登場。カラフルなマップの中に隠れた「マイクロペット」を探して収集することができる。

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