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“冬ソナ”主題歌カバーでデビューしたSeptemberが 20周年を迎え、ベストアルバムをリリース

 日本における韓流ブームの火付け役となったドラマ『冬のソナタ』。その主題歌の日本語カバー曲でデビューした、ボーカルのRie(歌心りえ)、ピアノ&ボーカルのQoonie、チェロのmomoによるユニットSeptemberのベストアルアムが9月18日にリリースされた。デビューから20周年を迎えた彼女たちの、“最初から今まで”の足跡を辿るような作品が完成した。

ボーカル、ピアノ、チェロの女性3人ユニット September

ボーカル、ピアノ、チェロの女性3人ユニット September

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■”冬ソナ“主題歌のカバー曲でデビューして20年 再び韓国と縁がつながり注目を集めるトリオ

Qoonie:Septemberは今から20年前に放送されていた韓国ドラマ『冬のソナタ』がきっかけで結成しました。当時、私もRieさんもそれぞれソロで音楽活動をしていたのですが、ふたりとも“冬ソナ”に見事にハマっていて(笑)。ドラマもおもしろいけれど、主題歌の『最初から今まで』もいい曲だよねとRieさんと話すうちに、グループを組んで『最初から今まで』をカバーしようかと盛り上がったんです。その後、事務所のスタッフに相談したら、デュオではなくもうひとつ楽器をプラスして3人組にしたらどうかとアドバイスされました。そこで、チェロのmomoちゃんに加わってもらったんです。チェロは私も中学高校と弾いていて、音色が大好きだったんですよね。こうして3人が集まって、“冬ソナ”の主題歌のカバー曲でデビューしました。

 September結成のいきさつを語るのは、ユニットのリーダーで、ピアノとボーカルを担当するQoonie。ソロのシンガーソングライターとしても活動しながらSeptemberの大黒柱としてグループを支えている。

Qoonie:Septemberというと、Earth, Wind & Fireや竹内まりやさんの楽曲が想起され、どちらもどこか懐かしさを感じさせるナンバーという印象がありました。私たちもいろいろな曲を制作していくにあたり、懐かしさを感じていただけるような音楽をお届けしたいと考え、Septemberというグループ名にしたんです。

Rie:季節的にも、Septemberは実りの秋。私たちも種をまいて、音楽の花が開いて、葉っぱが色づくように、どんどん変化して、実りの音楽をたくさん作っていければいいなという思いもグループ名に込めました。

 こう補足したのは、メインボーカルを担当するRie。今春、韓国で日韓の歌手が1980〜90年代の懐メロを歌い合う『韓日(日韓)歌王戦』という番組が放送され、歌心りえ名義で同番組に出演し大ブレイクを果たした、いま注目のシンガーだ。

momo:『歌王戦』の前哨戦となった『トロット・ガールズ・ジャパン』というオーディション番組にRieさんが挑戦することを聞いて、1回戦から応援して、もちろん毎日投票していました。Rieさんの実力はよく知っていましたから、必ず本選に進むと確信していました。

 こう言って笑うmomoは、チェリストとしてポップスやクラシックなど、あらゆる音楽ジャンルで演奏活動をしている。

Qoonie:実はRieさんとmomoちゃん、そして私というオリジナルメンバーによるSeptemberの活動は、デビューした2004年から1年と少しだけだったんです。その後、2代目チェリストのMayumiさんが加わって活動をしていたのですが、12年12月から2ヶ月間、NHKの『みんなのうた』で流れた「あのね〜青色の傘〜」をRie&Qoonie名義でリリースした後、いったんSeptemberとしての活動は休止して、ソロ活動を行っていました。再始動したのは22年です。私のソロコンサートで、momoちゃんにチェリストとしてサポートしていただいたときに、Rieさんも見にきてくれていて、久しぶりに3人が揃ったんです。そのときにmomoちゃんが「もう一度3人でSeptemberやりましょう!」と言ってくれて。

momo:Qoonieさんのソロコンサートに呼んでもらってうれしくて「やりましょう!」って言っちゃいました。

Rie:私もQoonieも優柔不断で、決めきれない性格なんですよね。momoちゃんが言い出さなかったら、Septemberの再始動はなかったと思います。momoちゃんは普段あまり前に出るタイプではないのですが、ここぞというときの決断力があるんです。

Qoonie:そして、Septemberを再始動したら、2024年が結成20周年だということに気づいたんです。それならば20周年は少し大きな会場でお祝いの記念ライブをしたいねという話になって、それまで頑張って活動をしようと誓い合いました。

 その矢先、うれしい誤算があった。歌心りえ名義で『歌王戦』に出場したRieが注目を集めたのだ。その後、今年7月に渋谷の「JZ Brat Sound of Tokyo」で行われたSeptemberの20周年記念ライブは、もともと昼公演のみの予定だったが、Rieのブレイクの後押しもあり、夜公演を追加。昼も夜もソールドアウトとなった。

Qoonie:『歌王戦』でRieさんを知って、初めてSeptemberのライブにお越しくださったお客様も大勢いらっしゃったので、セットリストは、Septemberが初めましての方には自己紹介をきちんとできるように、そしてデビュー以来応援してくれている方には、これまでライブで一度もやっていなかった曲で楽しんでいただけるような内容にしました。

Rie:メインとなったのは、“冬ソナ”の「最初から今まで」や韓国映画『私の頭の中の消しゴム』のオフィシャル日本語テーマ曲となった「A moment to remember」など、ベストアルバムに収められているナンバーです。

momo:「最初から今まで」も「My Memory」も、韓国の作曲家の方が書いてくださった曲です。韓国ドラマを見ていると、とてもドラマティックで、「こんな展開になるんだ」といつも驚かされるのですが、韓国の作曲家の方が書く曲も抑揚が強くて、舞台となった場所の景色が見えるような印象があります。

Qoonie:ライブでは、Septemberの曲に加えて、ソロの曲もそれぞれお届けしました。私は中江有里さんに楽曲提供した「名前のない海」や、18年にリリースしたオリジナルアルバムの中から歌いました。

momo:私はインスト曲の「星」を。

Rie:韓国からのお客さまもいらっしゃったので、私は『歌王戦』で披露した中島美嘉さんの「雪の華」と、さだまさしさんの「道化師のソネット」も歌いました。

(左から)momo、Qoonie、Rie(歌心りえ)

(左から)momo、Qoonie、Rie(歌心りえ)

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■ベストアルバムには、さだまさしをはじめ日本が誇る音楽家の楽曲を収録

 Septemberはこれまで、小椋佳来生たかお松井五郎など錚々たる音楽家から楽曲を提供されてきた。08年にリリースした「明日咲く花」も、さだまさしが書き下ろした楽曲だ。

Qoonie:さださんが平和祈念イベント『2007 夏 広島から さだまさし』を長崎原爆の日の8月9日に広島市民球場で行ったときに、Septemberも出演しました。そのときに「曲を書いてください」とさださんにお願いして、できたのが「明日咲く花」です。

Rie:さださんに楽曲提供を依頼したとき、「僕の曲に“October”っていうのがあるけどどう?」っておっしゃったのですが、「Septemberが“October”を歌うってわけがわからなくなっちゃいますから!」と、書き下ろしの曲をお願いしたんです(笑)。

momo:さださんも「明日咲く花」をセルフカバーされていて、昨年行われた50周年記念コンサートで歌っていらっしゃいました。とてもお気に入りの曲だとうかがっています。

 そんなさだの名曲「道化師のソネット」を、Rieは『歌王戦』で歌った。

Rie:あのときは必死でした。会場のお客様や出演者の方が涙して聴いてくださっていることには全く気がつきませんでした。

 今回のベストアルバムには、これまでSeptemberがシングルとしてリリースした楽曲が中心に収められ、「道化師のソネット」とオリジナルの「あのね〜青色の傘〜2024」、そして新曲「幸せのゆくえ」の3曲が新録された。

Rie:実は「道化師のソネット」は、以前Septemberでカバーしようという話があって、デモテープも録っていました。そんな「道化師のソネット」を『歌王戦』で歌ったら好評だったので、今回3人で改めて収録したんです。『歌王戦』で「道化師のソネット」を歌えて良かったなと思いますし、Septemberとしてもベストアルバムに収録することができて、うれしい限りです。改めて愛情深い歌だなと実感しています。

Qoonie:「あのね〜」は私が作詞作曲した歌で、ここ最近、ライブで披露するときは2番を私が歌っているので、ベストアルバムでもそのバージョンで新録しました。新曲の「幸せのゆくえ」も私が作詞作曲しました。ちょうど私たちは50歳前後で、この先どうやって生きていこうかと考えたり、昔のことを懐かしく思ったりする複雑な年齢なんですよね。夢だけを追いかけていけるような年齢ではないのだけれど、一方でRieさんが『歌王戦』に出場して楽しい夢を見せてくれましたし…。いろいろ迷いはあるけれど、今の自分を信じて前を進んでいきたいという思いを込めつつ、皆さんの応援歌になれたらいいなと思って作った歌です。

「道化師のソネット」と「幸せのゆくえ」は、momoが弦楽器のアレンジを手掛けた。

momo:初めて弦楽器カルテットのアレンジに挑戦したんです。演奏は、仕事でご一緒して以来、仲良くしてくださっている先輩や同級生にお願いしました。初めてのアレンジだったので、おかしな譜面を書いたら怒られるんじゃないかとヒヤヒヤしながらレコーディングして、穏やかにつつがなく終わってホッとしています(笑)。意外なことに、「道化師のソネット」は名曲中の名曲なのでプレッシャーを感じるかなと思いきや、アレンジの作業はとても楽しかったです。さらに研鑽を積んで、また機会があれば、もう少し冒険するような編曲や大編成のアレンジにも挑戦したいと考えています。

 今後は、ツアーを回りたいと意気込む3人。韓国でのコンサート開催も目標のひとつだ。

Qoonie:「冬のソナタ〜最初から今まで〜」でデビューした当時、”冬ソナ“のロケ地をめぐるDVDの音楽もSeptemberが担当したので、これは韓国に行けるチャンスだと期待したのですが、肩透かしを食らった感じで、結局韓国には行けずじまいでした。

Rie:”冬ソナ“から20年が経って『歌王戦』に挑戦することになって、まさかまた韓国とご縁がつながるとは思いもしませんでした。『歌王戦』のときはひとりで渡韓したので、近い将来3人で韓国でライブをしたいと思っています。秋には私を密着取材したドキュメンタリー番組が韓国で放送される予定ですし、『歌王戦』でご一緒した韓国のトロット歌手(懐メロ歌手)の皆さんもSeptemberの活動を知ってくださって、ぜひ3人のセッションを聴きたいから韓国に来てほしいとおっしゃっているんですよ。

momo:私がSeptemberのメンバーだと知っている韓国在住の友人から、「Rieさんがすごいことになっているね!」というメールをもらって、ぜひ3人で来てほしいと言われているんです。ぜひ韓国でもライブをしたいですし、日本でも全国ツアーができればいいな、と期待しています。

Rie:ファンの方からSNSにコメントをいただいたり、お手紙を頂戴したりするようになりまして、「歳をとった父親が歌を聴きたいと言っているのだけど遠出ができないので地方にも来てほしいと」いうお声もいただきました。ぜひ全国各地にうかがって、応援してくださる皆さんに感謝の気持ちを伝えたいですね。

Qoonie:多くの方に3人の演奏を聴いていただいて、心に寄り添えるような音楽をお届けできたらうれしいです!

 Septemberが20年前にまいた種は、徐々に花を咲かせ、ようやく実りの秋を迎えた。心地よい秋風のような音色を響かせる彼女たちが、この先どんな音楽を紡いでいくのか。国内外での3人の活躍に、期待は高まるばかりだ。

全国ツアーを開催したいと語るSeptemberの3人

全国ツアーを開催したいと語るSeptemberの3人

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文・森中要子

<リリース情報>
■September『September BEST』
品番:FRCA-1324/3,300円(税込)
発売日:2024年9月18日

September『September BEST』

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<収録曲>
01. 冬のソナタ 〜最初から今まで〜
02. My Memory
03. A moment to remember
04. 時の綺羅
05. 赤い糸
06. みずいろの雨
07. 25時の沙羅
08. Thirties days
09. 咲きましょう
10. Silent Moon 〜ツキミソウ〜
11. All For Love
12. 明日咲く花
13. 手紙
14. あのね 〜青色の傘〜2024 *
15. 道化師のソネット *
16. 幸せのゆくえ *
*新規録音

<ライブ情報>
『20th Anniversary Live in OSAKA & HIROSHIMA』
大阪公演:2024/11/2 MUSIC SQUARE 1624 TENJIN
広島公演:2024/11/3 Live Juke

■September HP:http://www.u-canent.jp/september/

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