俳優の役所広司が「第76回カンヌ国際映画祭」で最優秀男優賞を受賞した映画『PERFECT DAYS』が本日(22日)より劇場公開された。また、現地時間21日、米国の映画科学芸術アカデミーが発表した「第96回アカデミー賞」国際長編映画賞のショートリストに同作が選出されたことが明らかになった。来年1月に発表されるノミネーションへの期待がつながった。
本作は、東京・渋谷の公共トイレ清掃員の日々を描いた物語。『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』など、数々の傑作を世に送り出し続けてきたドイツ出身のヴィム・ヴェンダースが監督を務め、役所が演じる主人公の清掃員・平山という男の日々の小さな揺らぎを丁寧に追う。
劇場で販売されるパンフレットでは、本作の奇跡のような成り立ちから、わずか16日間の撮影で何が起きたのか、巨匠ヴィム・ヴェンダースはなぜ日本で映画をつくったのか、さまざまな角度から作品を掘り下げた、充実のコンテンツが収録されている。世界的写真家・森山大道が役所を、そして写真界のレジェンド、操上和美がヴェンダースを収めた貴重な写真も見どころ。特別コラムでは作家の川上未映子と製作の柳井康治の特別対談や、出演者のひとり、田中泯の直筆コラムなども楽しめる。
【 主な特集 】
<フォトセッション>
森山大道×役所広司
操上和美×ヴィム・ヴェンダース
【特別コラム】
そして、川上未映子×柳井康治特別対談
新井敏記(雑誌SWICH編集長)によるヴェンダース、鎌倉インタビュー
柴田元幸(翻訳家)の特別寄稿「PERFECT DAYSと翻訳」
田中泯(ダンサー)の直筆コラム「えんぴつが歩く」
■ストーリー
東京渋谷の公衆トイレの清掃員、平山は押上の古いアパートで一人暮らしている。その日々はきわめて規則正しく、同じことの繰り返しのなかに身を置いているように見えた。ルーティンは孤独を遠ざけるものかもしれない。けれど男のそれはどこか違ってみえた。夜が明ける前に近所の老女が掃除する竹ぼうきの音が響く。それが聞こえると男はすっと目をあける。少しのあいだ天井をみつめる。おもむろに起きあがると薄い布団を畳み、歯を磨き、髭を整え、清掃のユニフォームに身をつつむ。車のキーと小銭とガラケーをいつものようにポケットにしまい部屋をでる。
ドアをあけて空をみる。スカイツリーをみているのか。光を見ているのかはわからない。コーヒーを買うと手作りの掃除道具をぎっしり積んだ青い軽にのって仕事へむかう。いつもの角でカセットテープを押し込む。カーステレオから流れてくるのはThe Animals “The House of Rising Sun”.
いくつもの風変わりなトイレを掃除してまわる。その日はひょっとすると声をひとつも出していないかもしれない。掃除を終えると夕方にはあのアパートに戻る。自転車に乗り換えて銭湯へゆき、いつもの地下の居酒屋でいつものメニューを頼み、そして寝落ちするまで本を読む。そしてまた竹ぼうきの音で目をさます。男の人生は木のようだった。いつも同じ場所にいて動かない。
同僚のタカシのいい加減さをどうして憎めないのか。いつものホームレスの男が気になる。清掃のあいまに見つける木漏れ日が好きだ。フィルムを現像してくれるこの店はいつまであるだろうか。銭湯で出会う老人が愛おしい。古本屋の女性の的確な書評を聞くのも悪くない。日曜だけ通う居酒屋のママの呟きが気になる。今日はあいにくの雨だ。それでも予定は変えない。そんな彼の日々に思いがけない出来事が起きる。そしてそれは彼の今を小さく揺らした。
本作は、東京・渋谷の公共トイレ清掃員の日々を描いた物語。『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』など、数々の傑作を世に送り出し続けてきたドイツ出身のヴィム・ヴェンダースが監督を務め、役所が演じる主人公の清掃員・平山という男の日々の小さな揺らぎを丁寧に追う。
劇場で販売されるパンフレットでは、本作の奇跡のような成り立ちから、わずか16日間の撮影で何が起きたのか、巨匠ヴィム・ヴェンダースはなぜ日本で映画をつくったのか、さまざまな角度から作品を掘り下げた、充実のコンテンツが収録されている。世界的写真家・森山大道が役所を、そして写真界のレジェンド、操上和美がヴェンダースを収めた貴重な写真も見どころ。特別コラムでは作家の川上未映子と製作の柳井康治の特別対談や、出演者のひとり、田中泯の直筆コラムなども楽しめる。
【 主な特集 】
<フォトセッション>
森山大道×役所広司
操上和美×ヴィム・ヴェンダース
【特別コラム】
そして、川上未映子×柳井康治特別対談
新井敏記(雑誌SWICH編集長)によるヴェンダース、鎌倉インタビュー
柴田元幸(翻訳家)の特別寄稿「PERFECT DAYSと翻訳」
田中泯(ダンサー)の直筆コラム「えんぴつが歩く」
■ストーリー
東京渋谷の公衆トイレの清掃員、平山は押上の古いアパートで一人暮らしている。その日々はきわめて規則正しく、同じことの繰り返しのなかに身を置いているように見えた。ルーティンは孤独を遠ざけるものかもしれない。けれど男のそれはどこか違ってみえた。夜が明ける前に近所の老女が掃除する竹ぼうきの音が響く。それが聞こえると男はすっと目をあける。少しのあいだ天井をみつめる。おもむろに起きあがると薄い布団を畳み、歯を磨き、髭を整え、清掃のユニフォームに身をつつむ。車のキーと小銭とガラケーをいつものようにポケットにしまい部屋をでる。
ドアをあけて空をみる。スカイツリーをみているのか。光を見ているのかはわからない。コーヒーを買うと手作りの掃除道具をぎっしり積んだ青い軽にのって仕事へむかう。いつもの角でカセットテープを押し込む。カーステレオから流れてくるのはThe Animals “The House of Rising Sun”.
いくつもの風変わりなトイレを掃除してまわる。その日はひょっとすると声をひとつも出していないかもしれない。掃除を終えると夕方にはあのアパートに戻る。自転車に乗り換えて銭湯へゆき、いつもの地下の居酒屋でいつものメニューを頼み、そして寝落ちするまで本を読む。そしてまた竹ぼうきの音で目をさます。男の人生は木のようだった。いつも同じ場所にいて動かない。
同僚のタカシのいい加減さをどうして憎めないのか。いつものホームレスの男が気になる。清掃のあいまに見つける木漏れ日が好きだ。フィルムを現像してくれるこの店はいつまであるだろうか。銭湯で出会う老人が愛おしい。古本屋の女性の的確な書評を聞くのも悪くない。日曜だけ通う居酒屋のママの呟きが気になる。今日はあいにくの雨だ。それでも予定は変えない。そんな彼の日々に思いがけない出来事が起きる。そしてそれは彼の今を小さく揺らした。
このニュースの流れをチェック
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- 2. 「カンヌ国際映画祭」田中泯が演じたホームレスが話題に ヴィム・ヴェンダース監督『PERFECT DAYS』
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- 4. 役所広司、カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞受賞「この賞に恥じないように頑張る」
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2023/12/22