俳優の役所広司が米ニューヨーク現地時間11日、「第61回ニューヨーク映画祭」でプレミア上映された主演映画『PERFECT DAYS』(監督:ヴィム・ヴェンダース)のQ&Aに、高崎卓馬プロデューサーとともに登壇した。
『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』など、数々の傑作を世に送り出し続けてきたヴェンダース監督が、役所を主演に迎え、東京・渋谷の公共トイレ清掃員の日々を描いた『PERFECT DAYS』(12月22日公開)。清掃員の平山を演じた役所は、本作の演技で「第76回カンヌ国際映画祭」最優秀男優賞を受賞。以降、世界各地の映画祭に招待され、注目を集めている。
「ニューヨーク映画祭」での上映では、1086席規模の会場のチケットが即座にソールドアウトとなったそう。上映後、2階席で上映を見守っていた役所と高崎プロデューサーにスポットライトがあたると、会場は大歓声に包まれた。
役所のために書かれた平山という役を演じるにあたり準備したことを問われると、「こんなにもすばらしい役を高崎さんとヴィム・ヴェンダース監督が書いてくれて幸せです。役を演じるにあたって一番大切だったことはやはり、トイレの掃除をきちんとプロのようにみえるように練習することでした」と役所。
ヴェンダース監督と共同で脚本を担当した高崎プロデューサーは、「最初からヴィムとは、フィクションの存在をドキュメンタリーのように撮ろうと話していました。脚本については、ものすごくせりふが少ないので、僕の娘は“お父さんはあんまり仕事してないんじゃないか”と思っていると思うんですけど…(笑)。ヴィムも僕も心がけていたのは、書いていないものをちゃんと書く、スクリーンに映っていない部分がちゃんと出るように、ということです。そして脚本に書いていないものを映像にするというのはやっぱり役所さんじゃないとできなかったなと思います」と語り、役所の“平山”としての佇まいを絶賛した。
平山の行動や感情を、脚本からどのように捉えて演じたのか問われると、役所は「せりふは少ないけれどもとても美しい脚本で、そこから想像されるキャラクターに近づくために、毎日毎日トイレの掃除をしながら、サンドイッチを森の中で食べて、お風呂に入って、好きな本を読みながら満足して眠りにつく男というのは、どういう人だろうと思い浮かべながら撮影をしていました。本当にドキュメンタリーのように、ほとんどテストがなく、本番だけを繰り返して撮っていたので、まるでそこで本当に生活をしているような撮影でした。もう二度と訪れない、今のこの瞬間瞬間を大切に生きるという風に心がけて演じました」と、撮影時のことを思い返すように丁寧に語った。
印象的な音楽の使われ方、選曲について問われると、高崎プロデューサーが「みなさんご存じの通り、ヴィム・ヴェンダースという方は映画における音楽の使い方が世界最高のディレクターだと思います。彼と“平山は何を聴いているのか”と、一緒に選曲をしていきました。脚本の段階で音楽のリストはほとんど出ていたのですが、いちばん驚いたのは、平山が聴いている音楽以外使わないということをある段階で決めたことでした。感情を説明する音楽を入れるんじゃなくて、平山さんが聴いているもの、観ているものを僕たちは受け取るという、その線をきちんと引いたということが彼の素晴らしいディレクションだなと感じました」と説明。
最後に役所が、「平山さんは、財産といえるものは何も持っていないけれども最低限の生活で日々満足して眠りにつける人物。東京でもニューヨークでも、お金さえあればどんなものも手に入るけれど、手に入れても満足することがない生活をしている人が僕を含め多い中、平山さんは、コンクリートだらけの大都会の中でもひとりだけ、テレビもインターネットもなくて、彼に情報が入ってくるのは彼の耳と目で見るものだけ。森の中で心地よく住んでいるような感じがしました。都会の人たちが、そういえばこんな生き方もあるな、と思ってくれるといいなと感じました」と観客へのメッセージとともに、Q&Aを締めくくった。
同映画は、米国アカデミー賞国際長編映画賞に日本代表として選出されることも決定。今月23日から始まる第36回東京国際映画祭ではオープニング作品としてアジアプレミアを予定。すでに世界80の国・地域での配給が決定している。
『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』など、数々の傑作を世に送り出し続けてきたヴェンダース監督が、役所を主演に迎え、東京・渋谷の公共トイレ清掃員の日々を描いた『PERFECT DAYS』(12月22日公開)。清掃員の平山を演じた役所は、本作の演技で「第76回カンヌ国際映画祭」最優秀男優賞を受賞。以降、世界各地の映画祭に招待され、注目を集めている。
「ニューヨーク映画祭」での上映では、1086席規模の会場のチケットが即座にソールドアウトとなったそう。上映後、2階席で上映を見守っていた役所と高崎プロデューサーにスポットライトがあたると、会場は大歓声に包まれた。
役所のために書かれた平山という役を演じるにあたり準備したことを問われると、「こんなにもすばらしい役を高崎さんとヴィム・ヴェンダース監督が書いてくれて幸せです。役を演じるにあたって一番大切だったことはやはり、トイレの掃除をきちんとプロのようにみえるように練習することでした」と役所。
ヴェンダース監督と共同で脚本を担当した高崎プロデューサーは、「最初からヴィムとは、フィクションの存在をドキュメンタリーのように撮ろうと話していました。脚本については、ものすごくせりふが少ないので、僕の娘は“お父さんはあんまり仕事してないんじゃないか”と思っていると思うんですけど…(笑)。ヴィムも僕も心がけていたのは、書いていないものをちゃんと書く、スクリーンに映っていない部分がちゃんと出るように、ということです。そして脚本に書いていないものを映像にするというのはやっぱり役所さんじゃないとできなかったなと思います」と語り、役所の“平山”としての佇まいを絶賛した。
平山の行動や感情を、脚本からどのように捉えて演じたのか問われると、役所は「せりふは少ないけれどもとても美しい脚本で、そこから想像されるキャラクターに近づくために、毎日毎日トイレの掃除をしながら、サンドイッチを森の中で食べて、お風呂に入って、好きな本を読みながら満足して眠りにつく男というのは、どういう人だろうと思い浮かべながら撮影をしていました。本当にドキュメンタリーのように、ほとんどテストがなく、本番だけを繰り返して撮っていたので、まるでそこで本当に生活をしているような撮影でした。もう二度と訪れない、今のこの瞬間瞬間を大切に生きるという風に心がけて演じました」と、撮影時のことを思い返すように丁寧に語った。
印象的な音楽の使われ方、選曲について問われると、高崎プロデューサーが「みなさんご存じの通り、ヴィム・ヴェンダースという方は映画における音楽の使い方が世界最高のディレクターだと思います。彼と“平山は何を聴いているのか”と、一緒に選曲をしていきました。脚本の段階で音楽のリストはほとんど出ていたのですが、いちばん驚いたのは、平山が聴いている音楽以外使わないということをある段階で決めたことでした。感情を説明する音楽を入れるんじゃなくて、平山さんが聴いているもの、観ているものを僕たちは受け取るという、その線をきちんと引いたということが彼の素晴らしいディレクションだなと感じました」と説明。
最後に役所が、「平山さんは、財産といえるものは何も持っていないけれども最低限の生活で日々満足して眠りにつける人物。東京でもニューヨークでも、お金さえあればどんなものも手に入るけれど、手に入れても満足することがない生活をしている人が僕を含め多い中、平山さんは、コンクリートだらけの大都会の中でもひとりだけ、テレビもインターネットもなくて、彼に情報が入ってくるのは彼の耳と目で見るものだけ。森の中で心地よく住んでいるような感じがしました。都会の人たちが、そういえばこんな生き方もあるな、と思ってくれるといいなと感じました」と観客へのメッセージとともに、Q&Aを締めくくった。
同映画は、米国アカデミー賞国際長編映画賞に日本代表として選出されることも決定。今月23日から始まる第36回東京国際映画祭ではオープニング作品としてアジアプレミアを予定。すでに世界80の国・地域での配給が決定している。
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2023/10/16