4年ぶりにフジテレビのお祭りが帰ってくる。千鳥（大悟、ノブ）、かまいたち（山内健司、濱家隆一）、ダイアン（ユースケ、津田篤宏）の3組が総合司会を務める、超大型特番『FNS27時間テレビ』が、22日午後6時30分から23日午後9時54分まで放送される。スタートから終わりまで、これでもかと魅力が凝縮しているが、それもそのはず。今回はフジテレビのバラエティーに携わる全社員が、何らかの形で全員参加しているという。そんな同特番の総合演出・プロデュースを担当し、『千鳥の鬼レンチャン』を手がける武田誠司氏に話を聞いた。

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■千鳥＆かまいたち“部室感”のすごさ　真剣勝負の中から「人間の業が出てきます」

　『ホンマでっか!?TV』『ペケ×ポン』『芸能界特技王決定戦　TEPPEN』『さんまの東大方程式』など、名だたる番組を立ち上げてきた武田氏だが、昨年5月にレギュラー放送がスタートしたのが『鬼レンチャン』。1年が経ったタイミングで、その時がやってきた。「2〜3年くらい前に、上司から『次、27時間あったら頼むな』と言われていて…。僕自身、もともと、フジテレビっぽくない番組を作ってきて、生放送の経験もそんなになかったですし、ちょっと荷が重いなという気持ちは正直ありました。ただ、ずっとお世話になってきた港（浩一）さんが社長に就任されて、心のどこかで覚悟はしてました。その港さんから直々に27時間をやってほしいと言われ、その場で一度は断ったのですが（笑）、港社長から『でも、やるんだ！』と押してもらいました」。

　自分が『FNS 27時間テレビ』をやるなら『鬼レンチャン』をベースにするということは、最初から決まっていた。「千鳥さん、かまいたちさん、ダイアンさん…baseよしもとからやってきている、旧知の仲である彼らしか生み出せない部室感というか、部室の中でのトークというか、それがすごく面白かったので『鬼レンチャン』をベースにやりたいということはすぐに伝えました」。『鬼レンチャン』では、楽曲のサビを10曲連続で音程を外さず歌うことができると100万円を獲得できる人気企画「サビだけカラオケ」があるが、挑戦者たちが歌っているVTRを見ている千鳥、かまいたちが“ガヤ”を入れ、そこから新たな笑い、物語が生まれていく。

　「演出の千葉（悠矢）と一緒にVTRを作る中で、何度も映像を見返して、3回目くらいでようやく『ここだ』と気づくポイントが見つかるのですが、千鳥さん、かまいたちさんがすごいのは、VTRを見た瞬間にそのイジりどころを発見するんですよね。あだ名を勝手につけたりしてストーリーを即興で作り上げていくスピード感が本当にすごくて、千鳥さんとかまいたちさんが歌手の方をプロデュースしているような感じです。木山裕策さんが『細魚』に改名された流れがまさにそれですね。カツラを取ったシャチホコさんを見るや、大悟さんが『もっと木山』と名付けて。そこから木山さんとシャチホコさんの『もっと木山対決』が生まれて、木山さんがどんどん木山の名前を剥奪されていく…という流れは、制作陣が予め計算していたものではなく千鳥さんかまいたちさんの発言の流れに乗っかってるだけです。シャチホコさんと細魚さんも番組に乗っかって、『木山と木山』というアルバムを出されて。シンプルな真剣チャレンジからいろんなものが生まれていくのはうれしい限りです」

　『鬼レンチャン』を見ていると、「サビだけカラオケ」で原曲のキーを下げるという“グレーゾーン”に手を出してまで成功を収めようとするほいけんた、1周走る度に1人が脱落していく「400mサバイバルレンチャン」で、周囲をけしかけながら、あらゆる手段で生き残りに執念を燃やす森脇健児など、周りから見ると思わず笑ってしまうような、出演者たちの“熱意”や“人柄”が垣間見える瞬間がある。武田氏は、今回のラインナップを決めていく上で自身の中に設けたテーマとして「真剣勝負の先に笑いがある」があると明かす。

「やっぱり真剣勝負では人間の業が出てきますよね。僕は人間を映すことが好きで、それが映された時、VTRを見ている千鳥さん、かまいたちさん、そして視聴者には熱量が伝わると感じています。なので、出てくださる方は『爪痕残したい！』という思いが伝えられる仁（にん）が必要ではないかと考えています。こちらが『こうしてください』と伝えても、その人の素性や性格は変えられなくて、絶対に表情に出ますので」

■100キロサバイバルマラソンの賞金は破格の1000万円　耐久フィナーレ漫才は「最後のドキュメント」

　この言葉を通して、改めてタイムテーブルを眺めると、どのコーナーにも「この人でなければならない」と感じさせるものがある。そんな中でも大きな柱となるのが「FNS企画」「100キロサバイバルマラソン」「耐久フィナーレ漫才」だ。「FNS企画は、27局それぞれでスゴ技の達人を見つけてきていただき、それを中継先から瞬間芸を披露してもらうもので、27レンチャンを目指します。最後の挑戦者はダイアン津田さんです。系列局の皆様とシミュレーションを何度も行っていますが、27レンチャンできるかどうか、本番にならないとわからないです」

　2つ目の「サバイバルマラソン」は、「100キロの道のりを、必要以上に休憩時間を取らずに走った場合、フィナーレではなくいったいいつゴールできるのか？」を検証すべく、脚力に自信のある約20人の有名人ランナーが一堂に集い、生放送中、一斉に100キロマラソンに挑戦するというもの。『鬼レンチャン』での「400mサバイバルレンチャン」に着想を得たものだが、賞金は破格の1000万円だ。

「『またマラソン？』『パクリ？』と思われる方も多いと思いますが、全く違う競技です。新たなガチンコスポーツ大会と思っていただければ。安全上、10キロに1度休憩を取りますし、先導車（ペースメーカー）に導かれながら集団で走ってもらいます。その集団に付いて行けなくなったランナーは脱落というルールです。最後の3キロは先導車が外れて本当のガチ競争になりますので、かなり見応えがあると思います。一体いつゴールするのか？そもそもゴールする人はいるのか？ラスト3キロはどうなるのか？我々制作陣も読めない部分が多いので不安もかなりありますが、おそらくテレビ企画で初の試みなので楽しみです。ゴールシーンで大悟さんがある仕掛けを用意してますのでご期待ください」

　「耐久フィナーレ漫才」での大団円は、ラインナップを決めていく中で生まれたものだという。「FNS27時間テレビは、総合司会のみなさんによるドキュメントだと思っているのですが、どういう終わり方をしたらいいのかと考えた時に、baseよしもとからやってきた6人、3組の漫才師なので、やっぱり漫才で終わるのがいいのかなと。その思いを6人にお伝えしたら、快諾いただきました。番組冒頭はどんなに元気でも、翌日には眠たくなるでしょうし、声も枯れるし。その中で最後の耐久フィナーレ漫才（予定では１時間）をなんとか乗り切ってくれたら…という気持ちです。果たして声は出るのか、いつものテンポで漫才ができるのか、直前の大縄跳びで体力を使いきってるダイアン津田さんは舞台に立てるのか。当日の“その時”にならないとわからないことばかりですが、どんな状況になろうとも、千鳥さんかまいたちさんダイアンさんは独自の形で面白くしてくださると信じてます。本当の最後のドキュメントとしてご覧いただければと」。

　そのほかにも、27時間テレビ恒例となっている新人アナによる“提供読み”も復活し、休止期間である2020年から22年に入社したアナウンサーも含めたメンバーで行う（渡邊渚アナは体調不良で参加見合わせ）。総合司会3組はもちろん、フジテレビにとっても大きなチャレンジになる。武田氏も言葉に力を込める。

「今回は、バラエティーに携わる社員は全員参加するという、おそらく初の試みになります。フジテレビのバラエティセンターには社員が多くもいるので、番組が違うと同じフロアにいても普段は挨拶する程度でして。顔と名前が一致しない後輩もいます。そんななか、全員参加の27時間テレビによって交流が生まれているのは確かです。ただ、後輩ディレクターと意見をぶつけ合うのは新鮮で楽しい時間なんですけど、普段は総合演出やってるDばかりなのでまとめるのが大変です。

『ドッキリGP』の中川なんか全然言うこと聞かないですから。僕が何か言うとすぐに口を尖らせてます。だからこそ、普段面白い番組を作れるんだと思いますが。彼が演出する『真夜中のお笑いレンチャン』『ドッキリGP』は注目です。中川の話はさておき、みんな自身のレギュラー番組を抱えているなか手伝ってくれているので本当に感謝しています。今活躍している演出・ディレクター・ADが集まって『27時間テレビ』をやることで一体感も生まれて、これは今後の会社にとって確実にプラスになるだろうなと思います」

　笑いにまみれた27時間から、フジテレビの新たな波が到来しそうだ。

【武田誠司】
1977年生まれ、福岡県出身。2001年にフジテレビ入社。これまで立ち上げた番組は『ホンマでっか!?TV』『ペケ×ポン』『千鳥の鬼レンチャン』『芸能界特技王決定戦　TEPPEN』『さんまの東大方程式』『さんま＆くりぃむの芸能界（秘）個人情報グランプリ』『有吉ダマせたら10万円』『イタズラジャーニー』など。現在は『千鳥の鬼レンチャン』の総合演出・プロデュース、『ホンマでっか!?TV』CPなどを務めている。

■『FNS27時間テレビ』タイムテーブル

7月22日
18:30頃：通し企画「100kmサバイバルマラソン」スタート
出演：井上咲楽、ハリー杉山、山本賢太（フジテレビアナウンサー）、やまと（コムドット）、ゆうた（コムドット）ほか

19:00頃:「千鳥の鬼レンチャン〜サビだけカラオケ タッグモード大会〜」
出場候補：濱田崇裕＆神山智洋（ジャニーズWEST）、齊籐京子＆富田鈴花（日向坂46）、華原朋美＆丘みどり、島谷ひとみ＆荒牧陽子、ほいけんた＆ほい航大（松浦航大）、細魚（木山裕策）＆Mr.シャチホコ、徳永ゆうき＆彩青、矢口真里＆保田圭、misono＆マルシア

22:00頃：ほぼごっつチームVS鬼レンチャンチーム「チームDEファイト」
出演：松本人志、今田耕司、東野幸治、板尾創路、ほんこん、木村祐一

23:00頃：NHK『Venue101 Special−27時間テレビにお邪魔しちゃいます−』コラボ生放送
出演：生田絵梨花ほか

23:30頃:「明石家さんまのラブメイト10」
出演：明石家さんま、火薬田ドンほか

26:00頃:「真夜中のお笑いレンチャン」
進行＆お笑いレフェリー：川島明（麒麟）

＜千鳥軍＞
キャプテン：千鳥、副キャプテン：吉村崇（平成ノブシコブシ）
アキナ、井上裕介（NON STYLE）、ウエストランド、おいでやす小田、尾形貴弘（パンサー）、ギャロップ、田中卓志（アンガールズ）、なすなかにし、和田まんじゅう（ネルソンズ）

＜かまいたち軍＞
キャプテン：かまいたち、副キャプテン：長田庄平（チョコレートプラネット）
稲田直樹（アインシュタイン）、カンニング竹山、ジャングルポケット、鈴木もぐら（空気階段）、関太（タイムマシーン3号）、ダイアン、とにかく明るい安村、マヂカルラブリー、松尾駿（チョコレートプラネット）

7月23日（日）
5:00頃:「めざましテレビ」
出演：三宅正治、軽部真一、生田竜聖、井上清華、林佑香ほか

6:30頃:「イタズラジャーニー」
出演：チョコレートプラネット（長田庄平、松尾駿）、渋谷凪咲（NMB48）ほか

7:30頃:「FNS逃走中」
出演
＜北海道文化放送＞金川紗耶（乃木坂46）
＜岩手めんこいテレビ＞橋本良亮（A.B.C-Z）
＜秋田テレビ＞金谷鞠杏（GENIC）
＜NST新潟総合テレビ＞おばたのお兄さん
＜仙台放送＞尾形貴弘（パンサー）
＜さくらんぼテレビジョン＞JP
＜福島テレビ＞平子祐希（アルコ＆ピース）
＜フジテレビ＞澤部佑（ハライチ）
＜テレビ静岡＞ギャル曽根
＜東海テレビ放送＞村上佳菜子
＜長野放送＞坂井良多（鬼越トマホーク）
＜富山テレビ放送＞長谷川俊輔（クマムシ）
＜石川テレビ放送＞新田さちか
＜福井テレビジョン放送＞高橋愛
＜関西テレビ放送＞盛山晋太郎（見取り図）
＜岡山放送＞たける（東京ホテイソン）
＜山陰中央テレビジョン放送＞ネゴシックス
＜テレビ新広島＞槙野智章
＜テレビ愛媛＞高岸宏行（ティモンディ）
＜高知さんさんテレビ＞桑原みずき
＜テレビ西日本＞矢吹奈子
＜サガテレビ＞酒井一圭（純烈）
＜テレビ長崎＞クロちゃん（安田大サーカス）
＜テレビ熊本＞河合郁人（A.B.C-Z）
＜テレビ宮崎＞イワクラ（蛙亭）
＜鹿児島テレビ放送＞乾き亭げそ太郎
＜沖縄テレビ放送＞ゆっきー（キャン×キャン）

10:30頃:「FNS鬼レンチャン歌謡祭」
出演：濱田崇裕＆神山智洋（ジャニーズWEST）、AKB48、倖田來未、酒井法子、DA PUMP、TRF、T-BOLAN、松平健、南こうせつ、モーニング娘。'23、ももいろクローバーZ、森高千里、T.M.Revolution×ほいけんた　ほか

13:30頃:「ナゾトレ川柳」
出演：くりぃむしちゅー（上田晋也、有田哲平）、タカアンドトシ（タカ、トシ）、柳原可奈子、宇治原史規（ロザン）、阿部亮平（Snow Man）、伊集院光、フワちゃん　ほか

15:00頃:「有吉ダマせたら10万円」
出演：有吉弘行、バカリズムほか

16:30頃:「芸能人が本気で考えた！ドッキリGP」
出演：東野幸治、小池栄子、恵俊彰、向井康二（Snow Man）ほか

18:00頃:「千鳥の鬼レンチャン〜400m走生サバイバルレンチャン 前半戦〜」
出演：石橋遼大（四千頭身）、エリック・ワイナイナ、大久保嘉人、おばたのお兄さん、駒野友一、嶋崎斗亜（※崎＝たつさき　Lilかんさい／ジャニーズJr.）、坪井慶介、鳥谷敬、みなみかわ、森脇健児、山田勝己ほか

18:30頃:「サザエさん」
千鳥、かまいたち、ダイアンの3組が、ゲスト声優としてアフレコに挑戦

19:00頃:「千鳥の鬼レンチャン〜400m走生サバイバルレンチャン 後半戦〜」

19:45頃:「千鳥の鬼レンチャン〜大縄跳び〜」
出演：調整中

20:45頃:MC3組（千鳥・かまいたち・ダイアン）による耐久フィナーレ漫才

21:45頃:グランドフィナーレ