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訪日外国人が直面する「困りごと」とは? Wi-Fi・ゴミ箱・喫煙所…『地球の歩き方』運営サイトが提言「トラブルを未然に防ぐ対応を」

 コロナ禍が一旦は落ち着き、多くの訪日外国人が戻ってきた現在。インバウンド需要回復が歓迎される一方で、オーバーツーリズムや外国人ならではの諸問題も散見されている。そんななか、『地球の歩き方』が運営するサイト『GOOD LUCK TRIP』は、「訪日中に外国人旅行者が不便に思うこと」を調査。言語問題はもちろん、ゴミ箱や喫煙所の少なさなど、日本人が改めて気付かされる回答も。外国人旅行者の受け入れをネガティブにとらえる前に、双方がWIN-WINになるためには何が必要か。同サイトの山崎宏之さんに聞いた。

増加する外国人旅行客、日本での困りごとTOP10は?

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■オーバーツーリズムに人手不足も…受け入れ対応に課題、右往左往する訪日外国人

 日本政府観光局によると、5月の訪日外国人数は189万8900人。コロナ禍前の2019年5月と比べて、68.5%の水準にまで回復。これに伴い、インバウンド需要も向上しているが、その一方でオーバーツーリズムや人手不足が問題視されている。さらに、コロナ禍前から観光立国を目指しながら、いまだハード面やコミュニケーションの面で訪日外国人への対応が追いついていない状況が、今回の調査で明らかになった。

 『地球の歩き方』が運営する訪日外国人向け多言語旅行情報サイト『GOOD LUCK TRIP』が実施した、海外在住10〜60代以上の男女891人を対象とした調査によると、「日本旅行中、あなたが困ったことをすべて教えてください」の問いに対し、1位が「Wi-Fi環境」でダントツ。続く2位が「施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない」、3位「多言語表示の少なさ・わかりにくさ(観光案内板・地図等)」、4位「ゴミ箱の少なさ」、同立4位「公共交通の利用」、6位「その他決済手段(モバイルペイメント等)」、7位「クレジット/デビッドカードの利用」、8位「喫煙できる場所(喫煙所、分煙施設、飲食店、カフェなど)の少なさ・わかりにくさ」、9位「両替」、10位「困ったことはなかった」と続いている。

 実に31.5%を占める1位のWi-Fi問題については、「海外主要都市と比べると、公衆Wi-Fiの絶対数が少ない。ホテルなど完備された場所を出ると拾いにくい、どこにWi-Fiが飛んでいるのか明示されていない、といったことが言われます」と山崎さんは語る(以下同)。

『GOOD LUCK TRIP』山崎宏之さん

『GOOD LUCK TRIP』山崎宏之さん

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 2位、3位はまさに言語の壁による問題で、「外国語対応スタッフが配置されていたり、ノウハウを積んでいた店や施設でも、コロナ禍によるリストラ、ノウハウがリセットされてしまい、それが回復していない状態」だと言う。また外国語での情報発信については、“日本人らしさ”がアダになっていることもあるそうだ。

 「外国人向けに自動翻訳機能をつけたWEBサイトは、一見とても親切なように見えます。でも、自動翻訳には限界があり、検索でヒットしにくく、求めている情報に辿り着きにくい。また、日本人は完璧主義なところがあるせいか、『あれもこれも』と取捨選択なしにすべての情報を翻訳して伝えようとしてしまうんです。必要なのは、数日だけ滞在する外国人が欲しい情報をピンポイントで提供すること。いらない情報まで一緒くたになったページは、逆に訪日外国人にとっては“不親切”な印象を与えています」

 このように、訪日外国人にとっての「不便」が多発した結果、今度は外国語対応をきちんとしている店・施設に外国人客が集中してしまうこともあるという。ほかにも、言葉が通じないので電話予約ができず、直接訪れたせいで結局店に入れない…といった問題も。これでは、せっかく多くの訪日観光客が訪れても、満足度を高めることは難しいのではないか。

■外国人も苦労する喫煙所の少なさ、自治体によってバラバラなルールや曖昧さで混乱

 ただ、このような言語の違いによるハードルは、なにも日本だけにあるものでもない。日本人が海外に出れば、同じような出来事に直面することも多いだろう。一方で、日本ならではの問題と言えるのが、8位の「喫煙できる場所(喫煙所、分煙施設、飲食店、カフェなど)の少なさ・わかりにくさ」だ。とくに、たばこを吸う習慣がある回答者(n=237)に絞ると、44.3%で最も多い回答割合に。同回答者に「日本の喫煙できる場所(喫煙所、分煙施設、飲食店、カフェなど)は十分あると思いますか?」と問うと、51.9%が「喫煙できる場所は少ないと思う」と回答している。

 喫煙に関しては世界各国でルールが違い、ヨーロッパのように屋内は禁煙だが屋外だとOKという国、よりルールが厳しい国、明確でない国など様々ある。だが多くは、「ルールは厳しいが、喫煙できる場所が明確で、喫煙所もしっかりある」。これが日本では、喫煙・禁煙ルールは自治体によってバラバラであり、喫煙可能なのかどうかが曖昧。この曖昧さが、訪日外国人に大きな混乱を招く結果となっている。

 日本人向けには喫煙所マップアプリもあるが、外国語版はなく、訪日外国人にしてみればお手上げだ。飲食店でも喫煙OKの店、分煙の店、電子タバコならOKの店…など、日本人ですら探すのは困難。いわんや訪日外国人をや、である。

 「海外でも喫煙に厳しい国はありますが、その分ルールや喫煙所がわかりやすいところが多いのです。日本でも、たとえば駅前など『ここに行けば必ず喫煙所がある』という目星がつく場所があればわかりやすいですが、現在では撤去されているところも多いですよね」

訪日外国人向け多言語旅行情報サイト『GOOD LUCK TRIP』による調査

訪日外国人向け多言語旅行情報サイト『GOOD LUCK TRIP』による調査

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 海外でも日本の喫煙所事情は一部拡散されているそうで、渋谷の狭い喫煙所の周りであぶれた喫煙者がたばこを吸い、それを注意する動画などが広まっている。「日本に住む日本人でもそうなのか」と、海外の喫煙者たちは戦々恐々としているようだ。

 「皆さんも同じだと思うのですが、知らない土地で移動を続け、言語や文化の違う海外旅行はストレスが多くかかるもの。喫煙者の場合、喫煙所が見つからないことでさらにストレスを感じているでしょう。もちろん彼らとて、異国の地で法に反することはしたくないし、トラブルを避けたいと考えています。だからこそ喫煙OKな場所を探すのに見つけられない、これは大きな障害だと思います」

 ちなみに同調査では、「日本の観光地で探しても喫煙所がない場合、あなたが取りそうな行動を教えてください」との質問も。これには「それでも我慢する」が73%と大半を占めるが、「(そんな状況であれば、当然我慢したいが)もしかしたらこっそり吸ってしまうかも」が27%という結果に。好ましくない結果に見えるが、日本人ならば後者がもっと増えてしまうのではないかと思われる。

■不便さが誘引するマナーの悪化、「外国人だから」のバイアス生まない対策が必要

 喫煙所同様、5位にはゴミ箱の少なさもランクイン。ゴミ箱にしても喫煙所にしても、このような不便が、日本人の間でもポイ捨てなどのマナー悪化を招いているのは事実。それは訪日外国人も同じであるが、外国人ゆえにさらに目につきやすく、問題が“全体化”されてしまい、訪日外国人全般にネガティブなイメージがつく可能性がある。

 「オーバーツーリズムに関してもそうですが、とかく外国人に関してはネガティブに報道されるケースが多いように思います。外国人だからこそ、日本人と同じことをしていても目立ってしまうし、それがバイアスを生みます。『これだから外国人は…』『〇〇人はこうだから困る…』などと言われることもありますが、外国人でもマナーのいい人も悪い人もいるのは、日本人と一緒です。彼らも不要なトラブルは避けたいはず。迎える側としても、トラブルを未然に防ぐ対応を柔軟に考える必要があるのではないでしょうか」

 これを解決するには、訪日外国人が情報を得やすく、利用しやすくすることが大前提。ゴミ箱も喫煙所もわかりやすくあるべきだし、そこにたどり着く手段が必要ではないか。東京五輪誘致で有名になった「おもてなし」は世界的に評価される日本の文化だが、今回の調査では、その前提すらも不十分であることが浮き彫りになった。

 日本側がどう外国人観光客を迎えるかによって、「日本が旅行先に選ばれるかどうか」にも大きく影響してくる。山崎さんは「インバウンドほど市場成長が見込めるものは少ない。今後ますます増加していく訪日外国人の受け入れ準備は重要な問題」と警鐘を鳴らす。

 現在、日本の人口は減少に転じ、少子高齢化が進むなか、交流人口も縮小している。そんななか、観光は交流人口の拡大に大きく貢献するとともに、観光客を呼び込むための地域づくり活動、産業の活発化、それによる新たな消費や雇用の創生、投資なども生まれる。今一度、自分たちの足元に目を向け、我々がこれまで気づかなかった日本の不便さ、利便性の向上を考えるときではなかろうか。

(文:衣輪晋一)

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