「第76回カンヌ国際映画祭」で、脚本賞(坂元裕二)と独立部門「クィア・パルム賞」の2冠を獲得した是枝裕和監督の映画 『怪物』(6月2日公開)より、担任教師(永山瑛太)に暴力を振るわれたと疑った児童の母親(安藤サクラ)が、校長室で説明を求めるも、教員一同心ここにあらず(!?)、衝撃の棒読み謝罪シーンの本編映像が解禁となった。坂元裕二節の効いた独特の会話劇を楽しめるシーンだ。
本作の脚本を務めた坂元は、『東京ラブストーリー』(1991年)でトレンディドラマの旗手として脚光を浴び、その後は作風を変化させながら、『Mother』(2010年)、『anone』(18年)といった社会派ヒューマンドラマや、『最高の離婚』(13年)、『カルテット』(17年)といった笑って泣ける大人のラブコメなど、一つのジャンルに収まらない唯一無二の世界観を生み出し、ドラマファンからの絶大な人気を誇る脚本家。2021年に大ヒットした映画『花束みたいな恋をした』も手がけている。
カンヌで脚本賞を受賞し、初めてタッグを組んだ是枝監督の演出でつづられる今作の物語にも注目が集まっているが、その独特な会話劇や数々の名せりふ、細部に遊び心のあるやりとりを言葉巧みに描く“坂元裕二らしさ”は本作でも輝きを放っている。
解禁されたシーンは、息子の湊(黒川想矢)が担任教師の保利(永山)から暴力を受けていることを疑ったシングルマザーの早織(安藤)が、学校へ説明を求めるシーン。校長室に案内された早織の前にぞろぞろと教員たちが入室。校長の伏見(田中裕子)が担任教師の保利から謝罪をすると切り出し、保利が座ったままか細い声で「え〜…」と話し始めると、隣に座っていた教頭の正田(角田晃広)がすかさず「立って」と指摘する。
保利は立ち上がりボソボソとしたぎこちない口調かつ、釈然としない態度で謝罪を述べ始め、早織に頭を下げる。すると周りの教員たちもタイミングを見計らったかのように立ち上がり、保利とともに頭を下げて謝罪。あまりにもその場しのぎの様子が見て取れる学校側の対応に早織は不信感を露わにするも、校長は「指導が適切に伝わらなかったものと考えております」と、返す。
早織は校長との対話をあきらめ、当事者の保利を問い詰めるが、目を見て真摯(しんし)に問いかける早織に対し、保利はうつむいたままティッシュを取り出し鼻をかみ始める。さらに、校長はまるで心がこもっていない弁明を繰り返すのであった。シリアスな場面でありながら、役者陣の不自然な言動やしぐさが滑稽(こっけい)にさえ感じられる坂元らしいエッセンスが散りばめられた一幕だ。
坂元の脚本の執筆と登場人物のキャスティングは並行して行われたという。配役が決定することによって、坂元による脚本のキャラクターが膨らみ、物語がますますクリアになっていく過程を目の当たりにした是枝監督は、「こうやって坂元さんは本を固めていくんだな」と感心したという。
また自身でも脚本を書いてきた是枝監督は、坂元による今回の脚本について「今回は構造も含めて、非常にしっかりとした物語ですよね。僕が普段書くものは“スライス・オブ・ライフ”なんです。日常を切り取り、描写して、その前後を想像させるようなものが多いから、それはたぶん物語ではない。今回も描写の力で持たせているシーンは多少あるけど、基本的に言えば劇映画だと思います。物語のラインが非常に強くて、太いんじゃないでしょうか」と、見解を述べている。
本作の脚本を務めた坂元は、『東京ラブストーリー』(1991年)でトレンディドラマの旗手として脚光を浴び、その後は作風を変化させながら、『Mother』(2010年)、『anone』(18年)といった社会派ヒューマンドラマや、『最高の離婚』(13年)、『カルテット』(17年)といった笑って泣ける大人のラブコメなど、一つのジャンルに収まらない唯一無二の世界観を生み出し、ドラマファンからの絶大な人気を誇る脚本家。2021年に大ヒットした映画『花束みたいな恋をした』も手がけている。
解禁されたシーンは、息子の湊(黒川想矢)が担任教師の保利(永山)から暴力を受けていることを疑ったシングルマザーの早織(安藤)が、学校へ説明を求めるシーン。校長室に案内された早織の前にぞろぞろと教員たちが入室。校長の伏見(田中裕子)が担任教師の保利から謝罪をすると切り出し、保利が座ったままか細い声で「え〜…」と話し始めると、隣に座っていた教頭の正田(角田晃広)がすかさず「立って」と指摘する。
保利は立ち上がりボソボソとしたぎこちない口調かつ、釈然としない態度で謝罪を述べ始め、早織に頭を下げる。すると周りの教員たちもタイミングを見計らったかのように立ち上がり、保利とともに頭を下げて謝罪。あまりにもその場しのぎの様子が見て取れる学校側の対応に早織は不信感を露わにするも、校長は「指導が適切に伝わらなかったものと考えております」と、返す。
早織は校長との対話をあきらめ、当事者の保利を問い詰めるが、目を見て真摯(しんし)に問いかける早織に対し、保利はうつむいたままティッシュを取り出し鼻をかみ始める。さらに、校長はまるで心がこもっていない弁明を繰り返すのであった。シリアスな場面でありながら、役者陣の不自然な言動やしぐさが滑稽(こっけい)にさえ感じられる坂元らしいエッセンスが散りばめられた一幕だ。
坂元の脚本の執筆と登場人物のキャスティングは並行して行われたという。配役が決定することによって、坂元による脚本のキャラクターが膨らみ、物語がますますクリアになっていく過程を目の当たりにした是枝監督は、「こうやって坂元さんは本を固めていくんだな」と感心したという。
また自身でも脚本を書いてきた是枝監督は、坂元による今回の脚本について「今回は構造も含めて、非常にしっかりとした物語ですよね。僕が普段書くものは“スライス・オブ・ライフ”なんです。日常を切り取り、描写して、その前後を想像させるようなものが多いから、それはたぶん物語ではない。今回も描写の力で持たせているシーンは多少あるけど、基本的に言えば劇映画だと思います。物語のラインが非常に強くて、太いんじゃないでしょうか」と、見解を述べている。
2023/06/01