俳優の吉岡秀隆（52）が26日、映画『Dr.コトー診療所』（12月16日公開）の製作報告会見に登壇した。20年前にスタートした人気ドラマシリーズの16年ぶり新作で、東京から僻地の離島に赴任してきた外科医“Dr.コトー”こと五島健助を再び演じる吉岡は、「またやろう」という気持ちがあったか問われると「ありません」とキッパリ。「監督に会うたびに、五島健助の火を消してくれなくて。『今どうしてるだろうね』とか。監督の中で消えてなかったその火を、僕にまた焚き付けてくれた」と感謝した。

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　コトーと、島の人々との交流を通して命の尊さを描いた山田貴敏氏の同名漫画をもとに、2003年と06年に連続ドラマ、04年にスペシャルドラマが放送。いずれも大ヒットを記録し、今なお国民的ドラマとして語り継がれている『Dr.コトー診療所』。新作映画はドラマシリーズから16年の時を経て変わらない診療所スタッフ、島民に、新顔も加わって、志木那島の“今”が描かれる。

　この日は共演者の柴咲コウ（41）、大塚寧々（54）、高橋海人（King ＆ Prince／23）、生田絵梨花（25）、泉谷しげる（74）、筧利夫（60）、小林薫（71）、そして中江功監督（59）も登壇。

　“未完成”報告会見ということで、中江監督は「ドラマが終わってから何度も映画やSPの話が出ては消え、3年前くらいにいよいよやろうという動きがあって。吉岡さんと会ってできた話です。思い返すと20年前、ドラマを最初にやろうといったときから、ちょこちょこいろんな話をしたことが結集した作品になっているのでは。20年の思いが形になればいいな、と思います」と“集大成”を強調。

　「見どころは20年も、同じメンバーで、変なことで泉谷さんが捕まることもなく、みんな元気で全員がそろうことが奇跡。これが見どころだと思います」とジョークを交えつつ笑いを誘った。

　再びコトーを演じる吉岡は「もう僕も頭も真っ白になってしまって（笑）。ずいぶん時間が経ってもう一度戻れるんだろうか、と自問自答の日々と、同じキャスト・スタッフ、新しいスタッフ・キャストのみんなと。勝手知ったる同じ汗と涙を流した日々を過ごした人たちが常にいてくれたので。またコトー先生に戻してもらった」と噛み締めた。

　また、柴咲演じる島の看護師・彩佳は、今作でコトーと結婚。「不思議とコトーの世界って、再放送とかで自分で観ることもありましたが、もはや自分が出ているのに自分ではなく、フィクションではなく、島も、生きる人々もいるんだろうな、って気分だった。話をいただいたときに不安はなく、あるところに自分の霊が入っていくんだろうな、と。自分自身としては久しぶりだけど、彩佳さんはずっと暮らしていて自然な流れで一緒になったんだろうな、と」としみじみ語った。

　続けて「コトーは本当にこれが集大成。すべてを描ききることで映画化になっていると思うので。すべての魂を込めて作り上げている。でも、みなさんが観ている機会がなくなっても、そこに集う人たちは永遠に続いていく感じがします」と登場人物たちに思いをはせていた。