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フランス人を魅了した倍賞千恵子の「凛とした美しさ」 映画『PLAN 75』起用理由

 「第75回カンヌ国際映画祭」でカメラドール(新人監督賞)に準じるスペシャルメンション(特別表彰)を受けた早川千絵監督(45)の長編デビュー作『PLAN75』(6月17日公開)。75歳以上の高齢者に死を選ぶ権利を認め、支援する制度、通称<プラン75>が施行された近い将来の日本を舞台に、その制度に翻ろうされる人々を描いた物語。主人公・角谷(かくたに)ミチを演じたのは、映画『男はつらいよ』シリーズの渥美清演じる主人公・車寅次郎の妹・さくら役で知られる倍賞千恵子(80)だ。

映画『PLAN 75』(6月17日公開)(C)2022『PLAN 75』製作委員会/Urban Factory/Fusee

映画『PLAN 75』(6月17日公開)(C)2022『PLAN 75』製作委員会/Urban Factory/Fusee

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 倍賞は1961年に映画デビュー、俳優としてのキャリアは60年を超え、80歳を迎えた今も精力的に活動中。これまで数多くの作品でその存在感を遺憾なく発揮してきた。特に、寅さんの妹・さくら役は、気立てがよく、困っている人を見かけると、すぐに手を差し伸べる優しさと愛情深さを備えたまさにハマり役だった。

 市井の人を演じたら右に出る者なしの倍賞は今回、勤勉に慎ましく生きてきたが、失職をきっかけに社会での居場所さえも失いかけ、<プラン75>の申請を検討し始めるという役どころを繊細に表現。それでもなお、自分で立っていたいと自身を追い込んでいく姿は、公に助けを求めにくい現代社会を投影しているかのようだ。

 早川監督は、倍賞の起用理由を「観た人がかわいそうだと思うような主人公ではなく、観た人が自然と好きになり、感情移入してしまうような主人公にしたかった。そのためにも、凛とした美しさや人間としての魅力を備えた方に演じてもらいたかったんです。それで真っ先に倍賞さんを思い浮かべました」と、語っている。

 オファーを受けた倍賞も脚本を読み、「最初は“酷い話”だと思ったのですが、物語の終盤でミチがある選択をする姿が描かれており、そこにものすごく心打たれ、ひかれて…それだけで出演を即決しました」と、コメント。

 倍賞が主人公ミチを演じていなかったら、カンヌの観客の反応も違ったものになっていたかもしれない。早川監督は「お芝居は、手の先から足の先までで完璧でした。フランスの編集スタッフやサウンドエンジニアも、“なんてエレガントなんだ”と。まさに誰もがミチを好きになっていました。同時に人間的にも素晴らしい方です。倍賞さんはスタッフの名前を、アシスタントの名前まで全部覚えていらっしゃるんですよ。人間としても倍賞さんから多くを学ばせてもらいました」と、リスペクトを込めて撮影を振り返っている。

 そんな倍賞の魅力を良く知る一人でもある、スタジオジブリのプロデューサー・鈴木敏夫氏のメッセージも公開された。

 「倍賞千恵子さん、ご無沙汰しています。お元気そうですね。映画を見てそう思いました。倍賞さんというと、『寅さん』の妹のさくらさん。でも、ジブリにとっては、『ハウルの動く城』のソフィーです。75歳を超えると、死を選択できる。この配役は、倍賞さんを置いて、他に考えられない。最後まで、倍賞さんの一挙手一投足を見守りました。この映画のヒットを願っています。」

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