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SKY-HI、BE:FIRSTに説いた「カッコつけることはカッコいい」の教え 黒田貴泰氏と語る新曲MVの“裏設定”

 SKY-HIが主催したオーディションを経て、昨年11月にデビューしたBE:FIRST。デビュー半年ながら、ワンマンライブや全国5都市でのファンミーティングを成功させるなど、快進撃を続けている。今回は、5月18日に発売されたばかりのセカンドシングル「Bye-Good-Bye」に収録されている「Betrayal Game」のミュージックビデオ(MV)へのこだわりについて、BMSGのCEOでありBE:FIRSTのプロデューサーであるSKY-HI氏と、stuの黒田貴泰氏に聞いた。

「Betrayal Game」対談 SKY-HI×黒田貴泰氏(stu)/撮影・MitsuruYamazaki (C)ORICON NewS inc.

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■リアルから遠ざけることで生み出すリアリティー「裏設定が、いい作用を生みだした」

――まずは、4月にリリースされた『Betrayal Game』のMVを一緒に手掛けることになったきっかけを伺えますか? SKY-HIさんから黒田さんにオファーをしたそうですね。

【SKY-HI】最初はちょっと探ってみたんです(笑)。「ダンスMVでグローバルクオリティを目指したいんですよね」っていうような、雑談から入って。

【黒田貴泰(以下黒田)】それで、元々stuで2月に予定していた大規模な5G関連の実証実験の場で、クリエイティブの実証実験的な的なこともやらせてもらったんです。LINE CUBE SHIBUYAにアリーナライブ規模のステージ機材を入れて、丸々3日間使いました。

【SKY-HI】よく考えたら、贅沢な実証実験でしたよね。BE:FIRSTのメンバーも参加して、すごい映像が完成したのに、世には出てないという(笑)。

【黒田】本当はやった方がいいけれど、時間や予算がなくてできていないことって実は多くて。やっぱり具体的な出口を定めず挑戦すると得られるものが多いなって思えた実験でしたね。

――壮大な実証実験を経て撮影された今回のMVでこだわったのは、どんな部分ですか?

【SKY-HI】どうしてもお願いしたかったことは「ダンスパフォーマンスを生かすこと」です。あとは、現代のMVは視覚的に楽しめるものでいけないとも思っていて。

【黒田】凝った仕掛けを作っていこうみたいなお話もしました。

【SKY-HI】打ち合わせで、裏設定を考えたのもすごく楽しかったですよね。みんなでそれぞれの人物のイメージを出して。「実は実家がお金持ちなんだけど、できのいい兄に劣等感を覚えている」とか(笑)。

【黒田】そうそう、一人ひとり裏設定があるんですよね(笑)。

【SKY-HI】ささやかな着こなしやメイク、カメラワークにも出ますしね。でも公開されるストーリーではないから、観る側の余白もあって。

■MV撮影はメンバーにとっても成長するきっかけ「プレイヤーは孤独。魅力を伝えて伸ばしたい」

SKY-HI/撮影・MitsuruYamazaki (C)ORICON NewS inc.

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【黒田】今回監督を担当した古屋監督は、イギリスの大学の演劇学科を卒業しているのですが、演技的な手法としては、極力演じる側や表現する側に想像の余地を残さないという理論体系があるらしくて。世界観としては、統一された世界観を全員が同じように理解しているほうがまとまりやすいですよね。

――伝える側がブレてしまうと、それこそ作品が破綻してしまう場合もありますもんね。

【SKY-HI】コレオグラファーを務めたs**t kingzNOPPOが実際の撮影現場に来てくれていたので、ここはダンスを魅せたいという箇所に関しても、最後まで追求できました。最初から、こう使おうと思って撮ったインサートをその通り使えたのもよかったです。

――撮影にはプログラミングカメラを用いて、カメラにも振付をしたと伺ったのですが。

【黒田】パフォーマンスディレクターとしてNOPPOさんには、カメラワークに対してもディレクションしてもらいました。振付のおいしいところは、振付師が一番理解しているので。今回は、撮影日前日にスタンドインのダンサーたちと一緒にリハもしていて。そのおかげで本番の収録がスムーズで、なんと撮影香盤が2、3時間前倒しで進行したんです。そのおかげで、想定通りのスケジュールだったらあきらめざるを得なかったカットを差し込むことができて本当によかった。結果、そのシーンのプログラミングに5時間かかってしまったので最終的に撮影終了時刻を3時間後ろ倒してしまったのですが(笑)

【SKY-HI】そうそう(笑)。あのシーンは、作品としてすごく効果的でしたもんね。

――ちなみにそれはどこの部分ですか?

【SKY-HI】冒頭の部分ですね。メンバーが歌いながら入れ替わるシーン。ダンスだけで贅沢に使うのもいいけど、冒頭で人格が切り替わる感じは、ひとつの人格をみんなが共有しているようにも見えるし、いろいろな解釈ができるから。プレイヤーって思っている以上に孤独なんですよ。

【黒田】SKY-HIさんがプレイヤーでもあるからこそ、そういった意見が出ると思うので、貴重ですよね。

【SKY-HI】一方で、飛び降りたらSHUNTOに代わるのは、絶対に似合うからやって欲しいと、主体的な意見のみでお願いしました。こういうのが似合うと思うと言われて、自分でも納得できるものができたら、その撮影をきっかけに伸びるから。MVの撮影は、成長のすごくいいきっかけになるんです。

■共同生活で喜怒哀楽をともにして得た信頼関係「僕が彼らに対してどのくらいの想いでいるのかが伝わっている」

「Betrayal Game」対談 SKY-HI×黒田貴泰氏(stu)/撮影・MitsuruYamazaki (C)ORICON NewS inc.

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――オーディション、共同生活を経てデビューしたメンバーの皆さんとSKY-HIさんの間には、今も強い信頼関係を感じます。

【SKY-HI】デビュー前の共同生活(オーディション時の合宿)で喜怒哀楽を全部一緒に過ごせたことは大きいと思います。短くない期間でしたもん。これはお互いにとってかけがえのない財産だなと。仕事って変な話、もっとドライに、感情の機微を共有しなくてもできることかもしれない。でも、僕が彼らに対してどういった想いでいるのかが伝わっているのは、BE:FIRSTにとってポジティブな材料だと思います。

――先程のMVのお話でもありましたが、客観的に見たメンバーそれぞれの良さは、日頃から伝えるよう意識しているのでしょうか?

【SKY-HI】客観的というより、主観に近いかもしれないですが、思ったことはきちんと伝えています。絶対にこうなってほしいとか、これがすごく似合うよとか。たとえば子どもでもパートナーでもいいんですけど、お店で見かけて「絶対似合う」って思ったものは買ってしまったりするじゃないですか。そういうことの延長のような感覚です。

――今回の撮影を通して感じたBE:FIRSTの魅力は、どんな部分ですか?

【黒田】シンプルに、ビックリですよ。パフォーマンスはもちろんなんですけど、お願いしたことへの対応力に関してもデビューして半年な感じが全然なかったです。言わずともやってくれて、そういう表情の作り方はどこで覚えたんだろうと。どこで覚えたんですか?(笑)

【SKY-HI】早い段階で、本気でやることがカッコいいと思ってもらえたことが大きいように思います。デビュー前から相当なプレッシャーの中での疑似的な本番が繰り返しあって。共同生活をしながらみんなでパフォーマンスを完成させるだけではなく、一緒にお風呂に入ったり、布団に入ってからも、ああしよう、こうしようっていろいろ話す環境が1ヶ月あったことは、準備期間としてはすごくよかったですね。素人感が残ってしまうのって、パフォーマンスや表情に照れくささがあったりして、堂に入らない感じじゃないですか。

【黒田】たしかに、デビューしたての時に見え隠れする「気後れ」、「迷い」、「緊張」っていう3つの初々しい要素が、ない感じがします(笑)。

【SKY-HI】あとは、僕が彼らくらいの年代のころ、本気でカッコつけるとよく「フゥ〜」みたいな感じでいじられてて、それがすごくイヤで。それをしない空気をちゃんと作るのは大事だし、そうすると成長しますよ。

――カッコつけるのが特に上手なメンバーはいますか?

【SKY-HI】みんな個性があって美しいですよ。そういえば、RYUHEIには最近、「僕イケメンじゃないんで」禁止令を出したんですよ。ほっとくと1週間に1回くらい言っているので、かっこいいんだからそれ言っちゃダメって。

――それぞれの曲ごとに、メンバーのさまざまな一面が活きている感じですよね。

【SKY-HI】今回の「Betrayal Game」では他にもRYOKIがいつもの良さに加えて新しい一面を出す事に成功しました。「Bye-Good-Bye」はJUNONの高音が生きているし、LEOの歌い出しと歌締めもとても効果的に響いていますよね。「Gifted.」はMANATOのカッコいい部分がとても良く見せられました。SOTAはどの曲をやっても、「はい、ここ!」っていうのをすぐに出せる。今回も、2番のサビ前に出ている印象的な手の動きはわざとじゃないらしいです。ついやっちゃったって。

【黒田】かっこいいですよね。撮れてしまったから、どうやって料理して活かすかすごく編集の段階でもめちゃめちゃ悩んでいて楽しかったらしいです(笑)。今回、丸一日カメリハをすることで使われていない撮影カットはないと言えるぐらい計算外の要素をなるべく削ったけど、その中で生まれてきた偶発的要素はプラスアルファの加点要素でしかないから、作り手としてもおもしろいんですよね。

――では最後に、今のBE:FIRSTに点数をつけるなら?

【SKY-HI】人間には点数はつけられません(笑)。デビュー半年としてはかなり高い点数をあげたいですけど、まだまだやるべきことはたくさんあると感じています。今年の後半にツアーをやることを公言していますけど、ビジネスマターでやりたくないんですよね。メンバーにはファンを第一に考えてほしいけれど、僕が一番に考えるべきはグループやメンバーたち。彼らが素晴らしいグループになることを第一に考えたい。だから、彼らの成長のため、5年後を見据えて、大きなグループになれるよう、動いていきたいと思っています。

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