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米インディペンデント映画の女王ケリー・ライカート監督の傑作を特集上映

 ケリー・ライカート監督のキャリア初期の傑作4本を一挙公開する特集上映「ケリー・ライカートの映画たち 漂流のアメリカ」のシアター・イメージフォーラム(東京)での公開日が7月17日に決定した。以降、全国で順次開催される。

特集上映「ケリー・ライカートの映画たち 漂流のアメリカ」シアター・イメージフォーラム(東京)での公開日が7月17日に決定

特集上映「ケリー・ライカートの映画たち 漂流のアメリカ」シアター・イメージフォーラム(東京)での公開日が7月17日に決定

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 また、フライヤー ビジュアルとともに、上映される4作品『リバー・オブ・グラス』 (1994年)、『オールド・ジョイ』 (2006年)、『ウェンディ &ルーシー』(08年)、『ミークス・カットオフ』(10年)のUSオリジナル予告編も一挙解禁された。『ウェンディ &ルーシー』の予告編は、日本初公開となる。

 ケリー・ライカート監督は、1994年に初長編『リバー・オブ・グラス』でデビューして以来、新作を発表するたび、各国映画祭・メディアで激賞されながらも、ファイナルカット権(最終的な編集権)を保持するため大手スタジオとは距離を保ち、インディペンデントな制作体制とスタイルを貫き続け ている、現代アメ リカ
映画を代表する女性映画監督。

 故郷の南フロリダで撮影した1作目の『リバー・オブ・グラス』は、撮影許可料が支払えず、警察に機材の没収や俳優・スタッフの複数にわたる逮捕未遂といった圧力の中、ゲリラ撮影を敢行したという逸話も。今回は、16ミリフィルムで撮影されたオリジナルを、UCLA映画アーカイブ、サンダンス・インスティチュート、オシロスコープ社のサポートで修復し、2015年トロント映画祭でプレミア上映された2Kレストア版を上映する。

 その『リバー・オブ・グラス』から12年、貯めた資金をもとに、ウィル・オールダム、ヨ・ラ・テンゴといった友人のミュージシャンらのボランティンアによって完成に至った2作目の『オールド・ジョイ』で、ライカートの評価は一躍高まることになる。

 その後は、予算集めの苦労も減り、コンスタントに作品を発表、作品を撮るごとに予算も増え、出演者もミシェル・ウィリアムズポール・ダノ、ゾーイ・カザン、ブルース・グリーンウッド、クリステン・スチュアート(本特集では上映されない2016年公開の『ライフ・ゴーズ・オン』に出演)など、名のある俳優に。それでも、作風・制作スタイル は一貫し、自身の表現を追求し続ける姿勢は、「ジョン・カサヴェテスの真の継承者」「アメリカ・インディペンデント映画の女王」「現代アメリカの最重要作家」などと、賞賛を集めて いる。

 各国映画祭を席巻している『First Cow』、『ウェンディ&ルーシー』『ミークス・カット オフ』でもタッグを組んだミシェル・ウィリアムズが主演する現在撮影中の『Showing Up』は、映画制作・配給会社「A24」(『ムーンライト』や『レディ・バード』、『ミッドサマー』など) のもと公開を控えている。

■特集上映「ケリー・ライカートの映画たち 漂流のアメリカ」

(1)『リバー・オブ・グラス 2Kレストア版』
 楽園リゾート都市マイアミのほど近く、何もない郊外の湿地で鬱々と暮らす30歳の主婦コージーは、いつか、新しい人生を始めることを夢見ている……。20代最後の年、故郷に戻ったライカートが、逃避行に憧れ、アバンチュールに憧れ、アウトローに憧れた、かつての思春期の自身に捧げた「ロードの無いロード・ムービー、愛の無いラブ・ストーリー、犯罪の無い犯罪映画」。

(2)『オールド・ジョイ』
 もうすぐ父親になるマークは、ヒッピー的な生活を続ける旧友カートから久しぶりに電話を受ける。キャンプの誘い。 “戦時大統領 ”J・ W・ブッシュは再選し、カーラジオからはリベラルの自己満足と無力を憂う声が聞こえる。ゴーストタウンのような町を出て、2人は、ポートランドの外れ、どこかに温泉があるという山へ向かうが ……。

(3)『ウェンディ &ルーシー』
 『オールド・ジョイ』に惚れ込み、ライカートに自らアプローチしたミシェル・ウィリアムズを主演に迎えた、一人と一匹の異色のバディが織りなす彷徨譚。ほぼ無一文のウェンディは、愛犬ルーシーと共に新しい生活を始めるため、仕事を求めてアラスカへと向かっている。しかし、途中オレゴンのスモールタウンで車が故障。さらに警察に連行されてしまい、ルーシーは行方不明に…。ライカート自身「これは私の物語でもある」と語る、世界の悲惨と個人の尊厳を描き切った代表作。

(4)『ミークス・カットオフ』
 アメリカのアイデンティティの根源たる西部開拓神話が、ライカートのオルタナティブな視点とスタイルによって見事に解体された歴史的一作。1845年のオレゴン。広大な砂漠を西部へと向かう白人の三家族は、近道を知っているという先住民・ミークを雇うが、長い 1日が何度繰り返されど、目的地に近づく様子はない。道に迷った彼らを襲うのは、飢え、互いへの不信感だった…。実在の人物と史実をベース に、当時の女性たちの日記を丹念に読み込み、現代の寓話として生々しく再構築した意欲作。


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  • 特集上映「ケリー・ライカートの映画たち 漂流のアメリカ」シアター・イメージフォーラム(東京)での公開日が7月17日に決定
  • ケリー・ライカート監督
  • 『リバー・オブ・グラス 2Kレストア版』 (1994年)(C)1995 COZY PRODUCTIONS
  • 『オールド・ジョイ』 (2006年) (C)2005,Lucy is My Darling,LLC.
  • 『ウェンディ &ルーシー』(2008年) (C)2008 Field Guide Films LLC
  • 『ミークス・カットオフ』(2010年) (C)2010 by Thunderegg,LLC.

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