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【麒麟がくる】桶狭間の戦い、殺陣・ワイヤー・VFX総動員の合戦シーン舞台裏

 NHKで放送中の大河ドラマ『麒麟がくる』(毎週日曜 後8:00 総合ほか)は、放送一時休止前、最後となる第21回「決戦!桶狭間」が7日に放送された。織田信長(染谷将太)が、今川義元(片岡愛之助)を討ち果たした「桶狭間の戦い」を描き、「これぞ大河」と喝采を博した今回の演出を担当した一色隆司氏が、記者たちの問い合わせに答えた。

大河ドラマ『麒麟がくる』第21回「決戦!桶狭間」より。織田軍の毛利新介に討ち取られる今川義元(片岡愛之助) (C)NHK

大河ドラマ『麒麟がくる』第21回「決戦!桶狭間」より。織田軍の毛利新介に討ち取られる今川義元(片岡愛之助) (C)NHK

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 駿河の今川義元は、自ら2万5千の軍勢を率いて尾張に侵攻。一方、織田信長の軍勢は3千余り。数でいったら圧倒的に不利な信長(染谷将太)だったが、父・信秀の教えを思い出し、今川が本当に噂されるような2万もの大軍でないことに賭けることに。局地戦を展開して義元自ら率いる本隊から徐々に兵を引き離す作戦を決行する。そして暴風雨の中、数の減った今川本隊は桶狭間山での立ち往生を余儀なくされる。そこに織田の軍勢が襲いかかった。

■あらゆるテクニックを総動員した

――桶狭間の戦いの見せ方で特にこだわったことや注目してほしい点を教えてください。

【一色】内容的には、道三・高政・光秀の長良川の戦いとは違って、登場人物の心情劇として進める話ではなく、巨人・今川義元に数でも圧倒的に劣ると言われていた織田信長が戦いを挑むという、文字通り「合戦」なので、単なる戦闘シーンにならないために、いかに話を作って行くのかという所には、かなりこだわりました。

 一つは、数の話。そして、もう一つは、元康が寝返るのか、返らないのか…という所。この二つの要素をクライマックスに向けて組み立てていくことをとても意識しました。また、毛利新介(今井翼)、服部小平太(池田努)という新キャラも登場するのですが、彼らは重臣ではないので軍議にもおらず、突然出てくるのです。台本上は、ラストの義元が討たれるシーンで初めてその名が出てくるのですが、合戦シークエンスの頭から出てもらうことによって彼らのストーリーも作りました。

 見せ場としては、鉄砲や矢のVFXやセット空間を拡張するマット画、大型扇風機を使った暴風雨の特殊効果や、各キャラクターの殺陣、ワイヤーアクションなどあらゆるテクニックを総動員してダイナミックな映像となるようにした所でしょうか。さらには、音楽や効果音などもその臨場感を高めるのに一役かってくれています。

 苦労したところは、今川義元と織田信長が直接会って戦うシーンがないのです。なので、いろんな要素を見せつつ、あたかも直接対決して信長が勝った…という風に視聴者の皆さんに感じてもらえるように作らなければならないところです。成功しているかどうかは、視聴者の皆さんの判断にゆだねるところですが…。

――そのほかに戦シーンでこだわった点は?

【一色】カメラについては、いかにダイナミックな絵作りをするのか…というところで、「GoPro」という俗に言うアクションカメラなどを使ってローアングルを撮っています。戦のシーンでは、殺陣チームや殺陣ができる役者さんたちに集まっていただいております。なので、大人数で戦うようなシーンでも皆さん自主的に動けるので迫力あるアクションシーンをお届けできています。どのような合戦シーンでも対応できるようにクランクインする前から準備しておくのが、大河スタイルというか、大河ならでは、であります。

■義元の最期はワイヤーアクションで

――義元が討ち取られるシーンでワイヤーアクションを取り入れた演出の狙いは?

【一色】毛利新介が今川義元を討つのが桶狭間の戦いシークエンスのクライマックスです。なので、どのように義元が討たれるのかは、台本を読んだときからずっと考えておりまして、普通の殺陣では、物足りなくなってしまうのでは…と考え、毛利が空中に飛び上がり義元を討つという場面を考えました。鎧甲を着けていると20キロ近くあるので、普通に飛ぶのも難しく、ワイヤーアクションで表現することにしました。自分の死が目に映ってやってくる…義元の目に映る毛利の姿をVFXで表現しました。

 実際には2メートルぐらいは空中に上がってもらったかと思います。大変だったのは、義元の見た目で飛んでくる毛利のショットでして、格好良くダイナミックな動きにしたかったので、何度も何度もやり直しました。飛ぶときの体勢、空中での身のこなし、そして、芝居やワイヤーチームとの連携が本当に難しく、かなり時間がかかりました。

 愛之助さんは、実際に毛利が飛んでくるところが見えているわけではないので(後で合成しています)、それをイメージして演じていただきました。そこに至るまでの殺陣、最期まで諦めない戦国武士の力強さ、そして、自分の死との対峙。それを見えていない毛利の姿を想像しながら演じるというのは、とても大変だったと思いますが、その辺りの思いを色々と話しながら撮影しました。

 今井さんは、ワイヤーと芝居のタイミングや、空中での身のこなしなどがなかなかピタッと合わず何度も撮り直しをしたのですが、嫌な顔を全く見せず、最後まであきらめずに取り組んで下さいました。次がダメならキープしていたショットを使おうかと思っていた所、最後の最後にピタッと全てを完璧にこなして下さいました。本当にその瞬間の集中力はすごかったです。

――ワイヤーアクションがあるのを前提に今井さんをオファーしたのでしょうか?

【一色】翼さんだからもちろんワイヤーでしょ!と言いたいところですが、オファーとワイヤーは関係していません。また、ワイヤーがあるということを前面に出して出演をお願いしたわけでもなく…期待外れですみません。

 ただ、ワイヤーアクションがあるとお伝えしたのは、衣裳合わせか何かで初めてお会いした時なのですが、ものすごく喜んで下さいました。現場でも帝劇を思い出されていたようですが…(笑)。印象に残っているのは、ワイヤーアクションを本当に楽しんでいる様子で取り組んで下さっていた時の笑顔ですね。

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