動画配信サービス「Paravi(パラビ)」で独占配信中のオリジナルドラマ『ネット興亡記』に主演するお笑いコンビ・オリエンタルラジオの藤森慎吾(37)にインタビューを行った。取材時は緊急事態宣言下につき、テレビ会議システムを使っての実施となったが、「IT企業の知られざる実話に迫っていく『ネット興亡記』ならではだと思います」と、自身のスマートフォンで応じてくれた。
原作は、2018年から日経電子版で連載が始まった同名企画。日本経済新聞社の杉本貴司記者がIT起業家らを取材し、その興亡を記事にしたもの。ドラマ版では、杉本記者をモデルとした杉山(藤森)が語り部となり、IT起業家本人が当時を振り返るインタビューなどを交えながら、彼らの歴史を追う。
サイバーエージェントの藤田晋社長やUSEN-NEXT HOLDINGSの宇野康秀社長、日本初のインターネット接続事業を始めたIIJの鈴木幸一会長、メルカリの山田進太郎社長、LINEの出澤剛社長、舛田淳CSMOが出演している。
――役作りはどのようにされたんでしょうか?
【藤森】役づくりといった大それたことはしてないです。原作の杉本記者にはお会いしましたが、記者という仕事はある種の“変態”なのかな(?)という印象を持ちました。ここまで突き詰めて、掘り下げていく感覚を自分は持っていなかったので、すごく新鮮で、情熱とか熱意というよりは“変態的な執念”を感じました。なんでここまでできるんだろう、と疑問に思ったくらい。自分のためだったら、あそこまでできない。「他の人に広く伝えたい」という思いがそうさせる。その思いの強さに“狂気”という言葉さえ浮かびました。なのに、杉本記者自身は、柔和でほわんとした感じの方でした。そこから固すぎず、砕けすぎないイメージを持つことができ、役を作っていったところはあります。
――「チャラ男」は完全に封印されてますね。
【藤森】当たり前じゃないですか(笑)。監督にも、初顔合わせの時に「チャラ男要素はいらないです」と釘を刺されました(笑)。そりゃそうだろうって。チャラ男は僕が持っている表現の形の一つ。ドラマで役を演じる時まで、チャラ男をやるつもりはないので大丈夫です(笑)。安心してオファーしていただきたいですね。
――声と語りのうまさもドラマを引き立てていると思います。
【藤森】今回、主演も初めてでしたが、せりふがすべてモノローグ、誰かと会話するシーンがないドラマというのも初めて。最初、戸惑いを感じたんですが、監督から「かっこつけてください」と言われので、それなら得意だわ、と思って(笑)。普段のしゃべり声よりもワントーン下げ、はっきり滑舌よくしゃべることを意識しつつ、やたらかっこつけて収録していました。
■起業家たちから学んだこと「失敗しても腐らずにやっていくことが大事」
いまや私たちの生活になくてはならないインフラとなったインターネット。一般に普及しはじめたのは、1990年代。第2話に登場するIIJの創業は1992年。藤森は9歳。第1話のサイバーエージェント・藤田社長が起業した1998年は、藤森15歳。
【藤森】当時の僕は何も知らず、関心もなかったですからね。今回ドラマを通していろいろ知って、なんか恥ずかしくなりました。ボーッと生きていたなって。当時から起業家の方々が苦労されて、壮絶な戦いがあって、そのおかげで今があるんだなって。
この作品には、IT起業家の方々一人ひとりのアイデンティティや学生時代に何を思って起業したのか、ターニングポイントが描かれている。何者でもなかった大学生が“ある言葉”やある人との出会いで人生が180度変わっていくところが興味深いです。IT業界のビッグネームが次々と出てきて、意外な交流も知ることができる。各話それぞれに物語があるんですが、全体で観たらIT業界は全部が繋がっているんじゃないかというくらい、登場人物みんな知ってる人たちばかりで面白い。
――全5話ありますが、その中で影響を受けたエピソードはありましたか?
【藤森】みんな名言みたいなものを言うんですよね。重みのある言葉というか。でも「この方が言ってることは、あの方とは正反対だな」ということもあるんです。誰の名言を自分の“栄養”として取り入れていくかは人それぞれなのかなと思います。
僕の中で響いたのは第4話のLINEの回。敗者3人が手を取り合ってそこからの逆転劇…というのが、自分の芸人人生と重なって。最初は勢いよくデビューしたけど、実力が伴わなくてしぼんでいって、そこで一旦、負けを認めて人を信頼して、手を組んで復活するというストーリーに共感しました。なので第4話に出てくる言葉は刺さりましたね。人それぞれで歩んできた道、目指している場所によって、刺さる言葉は違うと思うんです。自分に刺さる人を見つけるのも面白いと思う。
全5話に共通しているのは、“負けてもあきらめない”ということ。失敗しても腐らずにやっていくことが大事だというのを学びました。この作品に登場するITの起業家たちはとにかくみんなすごくギラついている。僕もギラつかなきゃいけないなと思いました。まだ芸歴16年くらいなんですけど、それなりにレギュラー番組があって、お茶の間の方にも顔を知っていただいて、なんとなくこのままやっていけるかもしれない、とここ数年思っていたところがあった。でも、その考えは間違いだったな、と気付かされましたね。“歩みを止めた時点で下降は始まる”んですよ。同じところにいるのは安泰じゃないんだというのを思い知らされました。
――ちなみに藤森さんは何か起業したいと思いますか?
【藤森】この仕事をやっている時点で半ば起業家みたいなものかなと思ってるんです(笑)。何か保証があるわけではないし、全部自分の責任だし。規模は全然違いますけど、社長さんたちも少なからずこういう気持ちでやっていらっしゃったのかなと思います。ただ、僕には相方(中田敦彦)がいて、彼の方が大勝負を仕掛けて、飛び込んでいくタイプ。僕は、相方がやり始めて、うまくいきそうだと思ったら乗る、というセコイことをしてきた(笑)。相方を信頼しているし、一番影響を受けた“起業家”は相方だと思います。
――視聴者の方にメッセージをお願いします。
【藤森】元々「ネット興亡記」を好きで読まれていた方はもちろん、知らなかった方でも良く知られている企業の方が出てくるので楽しめると思います。時代的にも、就職しないで起業する人が増えているので、大学生や若い人にも興味を持って見ていただいて、いろんな起業家が出てきたらいいなと思います。
――最後に、俳優業への意欲は?
【藤森】めちゃくちゃあります。なんでもやれるのが芸人の良さ。オファーをいだけるならどんな役でもやっていきたいです。
■配信
動画配信サービス「Paravi」:第1話から第5話までを独占配信中
■地上波放送
テレビ東京、テレビ?阪:5?27?スタート、毎週水曜 深0:58〜1:28(全5回)
★YouTube公式チャンネル「ORICON NEWS」
原作は、2018年から日経電子版で連載が始まった同名企画。日本経済新聞社の杉本貴司記者がIT起業家らを取材し、その興亡を記事にしたもの。ドラマ版では、杉本記者をモデルとした杉山(藤森)が語り部となり、IT起業家本人が当時を振り返るインタビューなどを交えながら、彼らの歴史を追う。
サイバーエージェントの藤田晋社長やUSEN-NEXT HOLDINGSの宇野康秀社長、日本初のインターネット接続事業を始めたIIJの鈴木幸一会長、メルカリの山田進太郎社長、LINEの出澤剛社長、舛田淳CSMOが出演している。
――役作りはどのようにされたんでしょうか?
【藤森】役づくりといった大それたことはしてないです。原作の杉本記者にはお会いしましたが、記者という仕事はある種の“変態”なのかな(?)という印象を持ちました。ここまで突き詰めて、掘り下げていく感覚を自分は持っていなかったので、すごく新鮮で、情熱とか熱意というよりは“変態的な執念”を感じました。なんでここまでできるんだろう、と疑問に思ったくらい。自分のためだったら、あそこまでできない。「他の人に広く伝えたい」という思いがそうさせる。その思いの強さに“狂気”という言葉さえ浮かびました。なのに、杉本記者自身は、柔和でほわんとした感じの方でした。そこから固すぎず、砕けすぎないイメージを持つことができ、役を作っていったところはあります。
――「チャラ男」は完全に封印されてますね。
【藤森】当たり前じゃないですか(笑)。監督にも、初顔合わせの時に「チャラ男要素はいらないです」と釘を刺されました(笑)。そりゃそうだろうって。チャラ男は僕が持っている表現の形の一つ。ドラマで役を演じる時まで、チャラ男をやるつもりはないので大丈夫です(笑)。安心してオファーしていただきたいですね。
――声と語りのうまさもドラマを引き立てていると思います。
【藤森】今回、主演も初めてでしたが、せりふがすべてモノローグ、誰かと会話するシーンがないドラマというのも初めて。最初、戸惑いを感じたんですが、監督から「かっこつけてください」と言われので、それなら得意だわ、と思って(笑)。普段のしゃべり声よりもワントーン下げ、はっきり滑舌よくしゃべることを意識しつつ、やたらかっこつけて収録していました。
■起業家たちから学んだこと「失敗しても腐らずにやっていくことが大事」
いまや私たちの生活になくてはならないインフラとなったインターネット。一般に普及しはじめたのは、1990年代。第2話に登場するIIJの創業は1992年。藤森は9歳。第1話のサイバーエージェント・藤田社長が起業した1998年は、藤森15歳。
【藤森】当時の僕は何も知らず、関心もなかったですからね。今回ドラマを通していろいろ知って、なんか恥ずかしくなりました。ボーッと生きていたなって。当時から起業家の方々が苦労されて、壮絶な戦いがあって、そのおかげで今があるんだなって。
この作品には、IT起業家の方々一人ひとりのアイデンティティや学生時代に何を思って起業したのか、ターニングポイントが描かれている。何者でもなかった大学生が“ある言葉”やある人との出会いで人生が180度変わっていくところが興味深いです。IT業界のビッグネームが次々と出てきて、意外な交流も知ることができる。各話それぞれに物語があるんですが、全体で観たらIT業界は全部が繋がっているんじゃないかというくらい、登場人物みんな知ってる人たちばかりで面白い。
――全5話ありますが、その中で影響を受けたエピソードはありましたか?
【藤森】みんな名言みたいなものを言うんですよね。重みのある言葉というか。でも「この方が言ってることは、あの方とは正反対だな」ということもあるんです。誰の名言を自分の“栄養”として取り入れていくかは人それぞれなのかなと思います。
僕の中で響いたのは第4話のLINEの回。敗者3人が手を取り合ってそこからの逆転劇…というのが、自分の芸人人生と重なって。最初は勢いよくデビューしたけど、実力が伴わなくてしぼんでいって、そこで一旦、負けを認めて人を信頼して、手を組んで復活するというストーリーに共感しました。なので第4話に出てくる言葉は刺さりましたね。人それぞれで歩んできた道、目指している場所によって、刺さる言葉は違うと思うんです。自分に刺さる人を見つけるのも面白いと思う。
全5話に共通しているのは、“負けてもあきらめない”ということ。失敗しても腐らずにやっていくことが大事だというのを学びました。この作品に登場するITの起業家たちはとにかくみんなすごくギラついている。僕もギラつかなきゃいけないなと思いました。まだ芸歴16年くらいなんですけど、それなりにレギュラー番組があって、お茶の間の方にも顔を知っていただいて、なんとなくこのままやっていけるかもしれない、とここ数年思っていたところがあった。でも、その考えは間違いだったな、と気付かされましたね。“歩みを止めた時点で下降は始まる”んですよ。同じところにいるのは安泰じゃないんだというのを思い知らされました。
――ちなみに藤森さんは何か起業したいと思いますか?
【藤森】この仕事をやっている時点で半ば起業家みたいなものかなと思ってるんです(笑)。何か保証があるわけではないし、全部自分の責任だし。規模は全然違いますけど、社長さんたちも少なからずこういう気持ちでやっていらっしゃったのかなと思います。ただ、僕には相方(中田敦彦)がいて、彼の方が大勝負を仕掛けて、飛び込んでいくタイプ。僕は、相方がやり始めて、うまくいきそうだと思ったら乗る、というセコイことをしてきた(笑)。相方を信頼しているし、一番影響を受けた“起業家”は相方だと思います。
――視聴者の方にメッセージをお願いします。
【藤森】元々「ネット興亡記」を好きで読まれていた方はもちろん、知らなかった方でも良く知られている企業の方が出てくるので楽しめると思います。時代的にも、就職しないで起業する人が増えているので、大学生や若い人にも興味を持って見ていただいて、いろんな起業家が出てきたらいいなと思います。
――最後に、俳優業への意欲は?
【藤森】めちゃくちゃあります。なんでもやれるのが芸人の良さ。オファーをいだけるならどんな役でもやっていきたいです。
■配信
動画配信サービス「Paravi」:第1話から第5話までを独占配信中
■地上波放送
テレビ東京、テレビ?阪:5?27?スタート、毎週水曜 深0:58〜1:28(全5回)
★YouTube公式チャンネル「ORICON NEWS」
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2020/05/27