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ヒット続くTBS金曜ドラマ新作プロデューサー、「この枠に最適な原作」で描く人間ドラマ

 TBS系金曜ドラマ枠で10月11日にスタートする『4分間のマリーゴールド』。切ない運命の純愛を繊細に描き、新聞各紙でも絶賛された原作コミックの実写化だ。前クールの『凪のお暇』など話題作が続く同枠を、数多くのヒットドラマを手がけてきた共同テレビの橋本芙美プロデューサーはどのように捉え、何を打ち出すのか。

金曜ドラマ『4分間のマリーゴールド』(C)TBS

金曜ドラマ『4分間のマリーゴールド』(C)TBS

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■生と死に真正面から向き合ったテーマを描く

『4分間のマリーゴールド』は、手を重ねた人の“死の運命“が視えてしまう特殊な能力を持った救急救命士と、悲しい運命を背負った血の繋がらない姉との切ない恋を描くラブストーリー。原作は小学館のコミック大賞(青年部門)で大賞を受賞した同名漫画だ。

「原作は絵柄が全体的にしっとりと優しく、1つひとつの場面が心にジワッとくる。それが最初の印象でした。しかし読み進めていくにつれて、生と死に真正面から向き合ったテーマにふと自分の子どもたちのことを思いました。朝、子どもを保育園に預けるとき、この笑顔が二度と見られなくなったらという一瞬の恐怖がよぎることがあり、それを振り切って仕事へ行くのですが、そういう気持ちや、あのときこうすればよかったという後悔を、形は違えどみんな抱えたことがあるんじゃないかなと思うんです。それに対する答えというか、「命」とは決してあたりまえではない、そしてさまざまな境遇から人はどうやって前を向いていくか、というテーマがこの原作の根底にありました。全体的には切ない愛の物語なのですが、それに留まらず、大切な人との繋がりや一瞬一瞬の時間を愛おしく感じさせてくれる。そんなエネルギーを原作から感じ、ドラマとして取り組んでみたいと思いました」

 そんな本作で主人公・花巻みことを演じるのは福士蒼汰
「原作のビジュアルや雰囲気、人物像から、福士さん以外は考えられないと真っ先にオファーしました。救急救命士としての緊張感、家族と過ごすくつろいだ時間、そして切ない恋愛と、本作の大事な要素をすべて担っていただくのですが、どの表情も心を鷲掴みにされます。また、福士さんご自身がとても優しいオーラを放っている方で、現場のみんなが癒されています(笑)。撮影が進むにつれて、改めて座長をお願いしてよかったと心から思います」

 一方、みことが密かに想いをよせる義姉・花巻沙羅には菜々緒。これまでさまざまな悪女を演じてきた彼女が、心優しく天真爛漫な女性を演じることも話題を呼んでいる。

「これまで多くの強い女性を演じてきた菜々緒さんですが、どの役を観てもどこか真っ直ぐで気持ちよくて、ご本人へのイメージは「陽」の印象でした。実際お会いしてみたらとても周囲を気遣う方で、沙羅の思いやり深い精神性と合致すると感じ、菜々緒さんの素敵さが最大限に発揮される役だと確信しました」

■入り口はエンタテインメントで内容は“人間ドラマ”を作りたい

 そのほか、みことや沙羅と同居する兄弟役に桐谷健太横浜流星。橋本氏は「原作からさらにホームドラマとしての要素もしっかり描きたい」と語っており、花巻4兄弟の関係性も見どころとなりそうだ。

「脚本を『マルモのおきて』(11年/CX系)でご一緒した櫻井剛さんにお願いしたのも、家族の間に流れる空気感や、素朴だけど思いもよらなかった“発明”に満ちたセリフがとても巧みな方だから。本作で言えば、お父さん的に兄弟を見守る廉(桐谷)、クールで繊細、それでいて末っ子の可愛らしさもある藍(横浜)、そしてみこと、沙羅とそれぞれの立場の細やかな心理からくるさりげないやり取りにハッとさせられる場面がとても多いんです」

 原作から脚本に起こすにあたっては、櫻井氏や原作者のキリエ氏とも相談しながら、原作に描かれなかった、登場人物のバックボーンを作成したという。

「読者が想像で補いながら世界が完成していくのが漫画という表現の特徴だと思うのですが、ドラマとなると生身の人間が演じ、具象の世界を見せなければならない。会話にしても行動にしても、過去と現在の繋がりや流れを決めておかないとリアルさに欠けてしまうことも。なので、私は表には出てこない登場人物の“年表”を作ることが多いんです。それを作成するにあたり、キリエ先生に確認したところ、実は先生も『漫画には描いていないけれど、亡くなったみことのお父さんは小学校の先生だった』などさまざまな設定を考えていらっしゃいました」

 これまでに多くのヒット作を手がけてきた橋本氏にとって、TBS系金曜ドラマ枠は『メゾン・ド・ポリス』(19年1月)に続いて2作目となる。
「ドラマのジャンルはバラエティに富んでいるけれど、いずれもしっかりと人間を描いている。そんな印象が金曜ドラマにはあり、この枠に最適な原作だと思いました。私自身、入り口はエンタテインメントだけど、なかをのぞくと実は人間ドラマだと感じていただける作品を手がけたいという思いが常にあるので、金曜ドラマへの思い入れを持って制作に取り組んでいます」
(文/児玉澄子)

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  • 金曜ドラマ『4分間のマリーゴールド』(C)TBS
  • 金曜ドラマ『4分間のマリーゴールド』(C)TBS
  • 橋本芙美氏/共同テレビジョン 制作センター 第1制作部 プロデューサー

提供元:CONFIDENCE

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