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新海誠監督『天気の子』トロント映画祭で上映 RADWIMPSとの今後にも言及

 今夏、興行収入120億円を突破する大ヒットを飛ばしているアニメーション映画『天気の子』が、『第44回トロント国際映画祭』のスペシャル・プレゼンテーション部門に出品され、現地時間8日に行われた公式上映に新海誠監督が出席した。

『第44回トロント国際映画祭』に参加した新海誠監督

『第44回トロント国際映画祭』に参加した新海誠監督

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 公開前から140の国と地域での配給が決定するなど、世界中から大きな注目と期待を集めている本作。米アカデミー賞の日本代表にも選出され、超異例のインド公開も10月11日に控えている。

 トロント国際映画祭(9月5日〜9月15日)は、1976年より開催され、世界最大級の映画市場である北米にとって欠かせない映画祭。例年300本以上の作品が上映され、ベルリン国際映画祭、カンヌ国際映画祭に次ぐ、来場者数32万人を集める、北米最大規模を誇る。日本映画でトロント国際映画祭にアニメーション作品が選出されるのはジブリ作品以来となり、直近の出品作品は宮崎駿監督の『風立ちぬ』(2013年)。今年は『天気の子』のほか、是枝裕和監督の『真実』が日本映画で同部門作品に出品されている。

 トロント国際映画祭に初参加となった新海監督は、現地時間8日の公式上映にあわせて現地入り。トロントの印象について「路面電車が走っていて、きれいな街。(先月1ヶ月が国内キャンペーン期間だったこともあり、同じように路面電車が走る)北陸や、広島、熊本など、日本で見てきた地方都市と重なって、のどかで素敵な街だと思いました」とコメント。また、上映を前にして「海外の方がどうのように受け止めてくださるのかとても興味深いです」と期待を膨らませていた。

 プレミア上映会場となったのは、例年トロント国際映画祭の主要会場となる「スコシアバンクシアタートロント」(552席)。現地時間午後6時からの上映のチケットは即日完売。当日券にも長蛇の列ができ、100人以上が入手できずにあきらめる状況という、現地での期待値の高さが伺えた。

 20〜30代を中心に幅広い層の、熱狂的な新海誠ファン、アニメーション映画ファンが劇場を埋め尽くし、場内満席の大盛況の中、上映前の舞台あいさつに登壇した新海監督は、大喝采と歓迎の拍手で迎えられた。

 「カナダに来るのは初めてなのですが、僕の作品を見たことある方いますか?」と、観客へ逆質問。そして「トロント国際映画祭に出品が決まった時は驚きました。なぜならば『天気の子』は5年10年と残るものというよりは、2019年のこの夏に、日本の若者に見てほしいと意識して作った作品です。この数年間、天気や気候といったものが変わってきていると実感しており、その今起こりつつある変化を、今みんなに見てもらえる映画として作りました。どのように感じてくださるのか楽しみにしています」と、語った。

 上映中は、随所に笑いと感嘆の声があがり、クライマックスではすすり泣く声も。本編上映後は、拍手と大歓声が上がり、余韻に浸りつつ上映後のティーチインに突入。海外の観客ならでは質問なども飛び出した。

 その一つが、音楽を担当したRADWIMPSに関するもの。「宮崎駿監督と久石譲さんのように、新海監督とRADWIMPSはセットのように思えますが、次も一緒にやりますか?」と、ダイレクトに質問。

 新海監督は「今日は歌の歌詞に字幕がついていなかったので、残念でした。歌詞がわかればより作品に込めたメッセージを感じていただけて、作品がより魅力的に見えたのではと思います。次はまだ決めていません。一緒にやりたい気もしますし、違うチャレンジをしたくもあります」と、絶妙に答えていた。

 また、観客から「今までSFと日本の神道をモチーフにしてきたものが多いですが、それについての背景と、“晴れ女”のことについて教えてください」という質問が寄せられ、「晴れ女とか雨男だよとか、日本ではよく言うのですがカナダではないのですか? 天気の子という映画では日本に住んでいる自分たちの足元を深く掘ることをしたいと思いました。例えば鳥居を通るときは手を合わせるとか、自分たちに染みついている習慣をこの映画の仕掛けにしたいと思いました」と、話していた。

 イベント終了後、新海監督は「映画ファンとアニメーションファン、僕の作品の昔からのファンが多く集まってくれた。映画を鑑賞中の反応も、随所に笑い声や泣き声を上げてくれてとてもビビッド。とても幸せなフェスティバルだなと感じました」と、手応えに顔をほころばせていた。

■現地の観客の感想

【20歳男性】
 本当に楽しませていただきました。普段アニメを観ない私でも本当に素晴らしいなと思ったし、日本の文化とか地理というのを組み込んでいるのもすごくいいなと思います。私はトロントに住んでいるので、東京を題材にした違う文化に触れるのもすごくいいなと思いました。本当に新海監督のアニメは、私が観てきたほかの作品と全く違うなと思いました。

【20代男性】
 新海監督のスタイルとかデザインが本当に素晴らしいなと思って好きになりました。ハリウッドではアニメはあまり特化していないけれど、雨まであんなふうに美しくアニメにできるのは本当に心を打たれました。『君の名は。』よりも、もっともっと美しくなったなと思いました。

【20代女性】
 トロント映画祭で上映してくれてありがとう。『天気の子』が米国アカデミー賞で国際長編映画賞部門の日本代表に選出されていますよね。その賞を受賞することを祈ってます。

【30代男性】
 好きな女性にもう一度会いたいと、主人公が葛藤する部分は多くの人が共感できるし、僕にとって一番感動しました。

【30代男性】
 新海監督、トロントに来て映画を観せてくれてありがとう! 『君の名は。』も『天気の子』も大好きです。次の作品も観ます!

【20代男性】
 この映画と共にトロントに来て下さりうれしいです。あなたの作品を観たことのない私でさえ次も絶対観たいと思いました。

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