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山戸結希監督、10代女子へのメッセージを発信し続ける理由

■「Film makers(映画と人 これまで、そして、これから)」第8回 山戸結希監督
 「映画の力を信じている」と強い眼差しで語った山戸結希監督。作品を通して、10代の女子に向けて「なんにでもなれる」という一貫したメッセージを発信し続けている彼女が見る映画というメディアの可能性と魅力とは――。

映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』山戸結希監督 (C)ORICON NewS inc.

映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』山戸結希監督 (C)ORICON NewS inc.

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乃木坂46堀未央奈の魅力

 大学在学中に撮影した『あの娘が海辺で踊ってる』は各所で反響を呼び、自主配給で劇場公開。その後、『おとぎ話みたい』がテアトル新宿で公開されると、連日満席状態が続き、13年ぶりに動員記録を更新。その名を映画界にとどろかせた。さらに2016年には『溺れるナイフ』、2019年には『21世紀の女の子』を世に送り出し、その才能は高く評価された。

 最新作『ホットギミック ガールミーツボーイ』(6月28日公開)でも、主演に乃木坂46の堀未央奈を迎え、思春期の少女の複雑な思いを綴りながら、力強いメッセージを作品に込めた。「東映さん配給で全国の女の子に届けられるティーンムービーの企画をいただいたとき、120分の物語のなかで、性愛のモチーフで終わらせるだけではなく、自己実現の問題を芯に入れたいと考えました。その性愛を外部的にインストールする意味で、相原実貴先生の原作は、未成年の欲望が戯画化されて描かれており、素晴らしいと感じました」。
 
 山戸監督の言葉通り、本作には男女の恋愛という要素以外に、一人の少女の成長の過程が瑞々しく描かれている。ヒロイン・成田初を演じているのが乃木坂46の堀未央奈だ。『ハルジオンが咲く頃』のミュージックビデオ(MV)を山戸監督が担当したとき、堀と出会った。「MVの撮影のとき、すごく真摯な方だなと感銘を受け、いつかなんらかの形で彼女を撮れたならというひらめきを持ちました」。
 
 堀にとっては、本作が映画初出演にして初主演となる。「私にとって、若い方にとっての演技経験というのは、あまり関係はないという思想を持っていて、技術的な部分よりも、存在としてのその人そのものを観ている気がします」と自身のスタンスを述べると「堀さんは演じる上でのフレッシュさがあり、一回一回のテイクが必ず良くなる。撮影の1ヶ月間『こんなにも人は変わるんだ』というぐらい大きく変貌していく姿は、撮る側としては大きな喜びでした」と魅力を語る。■10代の子に映画と出会ってほしい

 劇中「私が私の足で立ち上がれば、きっと幸せになれる」というセリフがある。これまでの山戸監督作品に共通する、10代の女子に向けたメッセージのように感じる。「基本的に10代はなんにでもなれる、なにを目指してもいいし、なにも諦める必要がない時間。『なにがあっても負けたり折れたりする必要はないんだよ』ということを、劇中の初と同じく、声を大にして届けたいと思っていました」。

 こうした思いは、山戸監督の10代の経験から来ているという。「10代のころ、何もやることがなくて、全く面白くないなと思っていたのですが、映画に携わってからは、すべてが輝いて感じられるようになってきたんです」。映画製作との出会いによって、山戸監督の未来は開けた。だからこそ、一人でも多くの人に映画の魅力を知ってほしいという思いが強くなった。

 山戸監督は願っているだけではなく、行動にうつす。それが、山戸監督が企画・プロデュースした『21世紀の女の子』だ。本企画では山戸監督を含め15人の女性監督がメガホンをとり、未来の女の子たちのためのオムニバス短篇集を作った。「21世紀に生きる女の子たちが、どんどん映画の楽しさに目覚めて、映画を撮り始めてくれれば、映画界だけではなく、人生も面白くなっていくのではないかという期待があるんです」。

■山戸結希監督のこだわり、そして魅力的な俳優とは――

 山戸監督の作品には、予定調和的ではない妙な生々しさがある。特に目や口など寄りに寄ったアップのシーンが目まぐるしくシーンに割り込んでくる編集は、スクリーンを通しても体温を感じる。

 「撮影現場も生き物だと思っていて、同じ場所でも今日撮影するのと、明日撮影する場合で、カメラのベストポジションは絶対的に異なると思います。私は生きている作品を撮りたいと思っているので、一回性を大切にしています。演劇の一回性、お芝居の一回性、その純度を損なわずに再現するためには、撮影にも一回性が求められるんだと思います。そのたった一回しかできないものが、映画という複製芸術の最大の面白さだと思うんです」。

 そんな山戸監督にとっての魅力的な俳優とは――。

「心から尊敬できる人を、敬意を持ってラストシーンまで撮りたい。贅沢ですが切実な願いです。特殊技能を持つ必要はないんです。真摯にカメラの前に立ち続けてくれる方は、その事実だけで尊敬に値しますし、こちら側はその人に捧げるような作品を一つひとつ丁寧に撮り上げていきたいです」。

 “真摯にカメラに立ち続ける人”の解釈を問うと「映画は複製芸術ですから、自分の予期せぬ姿が無数に複製されて、永遠に残るんです。そのプレッシャーに折れてしまったり、負けてしまったり、まっすぐに立ち向かうことを諦めてしまう気持ちこそ、よくわかります。むしろ普通の感覚では正しい反応と言えるかもしれません。それでも、“自分自身がこの役を演じなければいけないんだ”と信じる心を持つ方と一緒に映画を作っていきたいんです。“自分自身がこの映画を撮らなければいけない”という確信から逃げずにいるために」と説明してくれた。

 「映画の神様の存在を信じているんです」と語った山戸監督。少しでも人間的な努力を怠ったら、この道は閉ざされるという切迫感を常に持っているという。「自分に許された時間のなかで、できる限り表現する努力を続けたい」という山戸監督の映画に対する思いやこだわりが存分に詰まった『ホットギミック ガールミーツボーイ』。10代はもちろん、それ以外の年齢層でも“前に進む力”を感じさせてくれる作品だ。(取材・文・撮影:磯部正和)

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関連写真

  • 映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』山戸結希監督 (C)ORICON NewS inc.
  • 映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』より場面ショット(C)相原実貴・小学館/ 2019 「ホットギミク」製作委員会
  • 映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』メインショット(C)相原実貴・小学館/ 2019 「ホットギミク」製作委員会
  • 映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』より場面ショット(C)相原実貴・小学館/ 2019 「ホットギミク」製作委員会
  • 映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』より場面ショット(C)相原実貴・小学館/ 2019 「ホットギミク」製作委員会
  • 映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』より場面ショット(C)相原実貴・小学館/ 2019 「ホットギミク」製作委員会
  • 映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』より場面ショット(C)相原実貴・小学館/ 2019 「ホットギミク」製作委員会

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