『映画クレヨンしんちゃん』シリーズで大人たちを泣かせ、世界35以上の映画賞に輝く原恵一監督の最新アニメーション映画『バースデー・ワンダーランド』が、4月26日に公開された。監督自らが「自信作です」と語る本作。アニメーション作品の国際映画祭として最も権威のある『2019アヌシー国際アニメーション映画祭』にも正式ノミネートされている。
「いつも子ども、若者、大人、なるべく幅広い層のお客さんに楽しんでもらえる作品にしようというのは一番に考えていること。個人的には作品ごとに新しい挑戦をしたいと思っていて、今回はファンタジーに挑戦したことで型にはまらない映画ができました。自信作です」
本作は、“誕生日”という誰にでもある大切な日に起こる冒険ファンタジー。主人公のアカネは小学校6年生。自分に自信がなく、思ったことを言えない内気な性格の女の子だ。誕生日の前日、骨董店の地下室から現れたヒポクラテスと名乗る謎の男とその弟子の小人ピポに請われ、叔母のチィと<幸せ色のワンダーランド>へ冒険に出かけることに。「できっこない」ことばかりの日常から切り離されたところで、現実では叶えられないことを成し遂げる、ファンタジーの醍醐味が詰まった作品だ。
「大人から見ると大したことないように見えるけど、12歳くらいの女の子にとっては大問題だったり、学校などでの友達との関りが複雑になってきたり。でも、アカネはワンダーランドを冒険したことで、少しだけ変わることができた。観客の皆さんもアカネやチィたちと一緒に旅をしているような気持ちになって、冒険を楽しんでもらえたらいいですね」
本作で特筆すべきは、映像の色の美しさだ。キャラクターデザインは、インスタグラムのフォロワー160万人以上、ロシア出身、日本在住のイラストレーター、イリヤ・クブシノブ氏が担当している。
「今回、クブシノブ氏にお願いしたのは、○○○風、ナニナニみたい、と言われるようなものにしたくない、という思いがありました。観客に新鮮な気持ちでこの映画の世界に入り込んでもらうために、いままで見たことがないようなキャラクター、世界観が感じ取れるものにしたかった」
その思いにクブシノブ氏は見事に応えた。これまでの原監督作品とは一線を画するルックスのキャラクターたちが、まん丸でモフモフの羊たちがいる「ケイトウの村」や巨大蓮が浮かぶ湖など、色鮮やかなワンダーランドの中で躍動する。
「色にはすごく気を配りました。素敵な物語を美しい映像で楽しんでほしい。ワンダーランドにはエリアごとに異なる色の世界があって、同じ景色を見ていても、アカネは訪れる先々で不安になり、好奇心旺盛なチィは何を見ても楽しいという対比も面白く描けたと思う」
華やかな画面の中にもキャラクターが生きている温かみが表現されている点は、原監督の真骨頂といえる。
「監督として、個々のキャラクターのことを理解しておくというのはとても大事なこと。主要なキャラクターのスピンオフならいくらでも作れるくらい、彼女たちのことをわかっているつもり。でも、説明的な描写やせりふは極力削りました。自分の目で、頭で解釈してほしかったから。だからといって、難解な映画にしてしまっては“幅広い層のお客さんに楽しんでもらう”という目的は果たせない。そのバランスはうまくいったと思います。観客が『あれはどういう意味だったんだろう?』と、想像力を刺激したいと思っていました。物語の細部や続きが気になる映画って、すごく素敵じゃないかと思っているんですよね」
ちなみに、原監督が小学6年生の頃は「よく妄想していましたね(笑)。映画やテレビを見たり、本を読んだりして、刺激を受けてはいろんな妄想をしていました。特にゴジラが大好きだったので、いつもあそこにゴジラがいたらどうする? どうなる? みたいなことを考えてばかりいました(笑)」。
その妄想力が、原監督の発想の源になっているのだろう。妄想の中ではなんでもできる。
「日常でそんなに面白いことはそうそう起きない。そんなこと、みんなわかっていると思いますが、この映画を観ている間くらいはそういうつまらない観念から離れて、不思議な世界を楽しんでもらえたらいいですね」
この映画の登場人物たちと一緒に旅をしながら、日常が少しでも豊かになるような妄想する力を磨きたい。
「いつも子ども、若者、大人、なるべく幅広い層のお客さんに楽しんでもらえる作品にしようというのは一番に考えていること。個人的には作品ごとに新しい挑戦をしたいと思っていて、今回はファンタジーに挑戦したことで型にはまらない映画ができました。自信作です」
本作は、“誕生日”という誰にでもある大切な日に起こる冒険ファンタジー。主人公のアカネは小学校6年生。自分に自信がなく、思ったことを言えない内気な性格の女の子だ。誕生日の前日、骨董店の地下室から現れたヒポクラテスと名乗る謎の男とその弟子の小人ピポに請われ、叔母のチィと<幸せ色のワンダーランド>へ冒険に出かけることに。「できっこない」ことばかりの日常から切り離されたところで、現実では叶えられないことを成し遂げる、ファンタジーの醍醐味が詰まった作品だ。
「大人から見ると大したことないように見えるけど、12歳くらいの女の子にとっては大問題だったり、学校などでの友達との関りが複雑になってきたり。でも、アカネはワンダーランドを冒険したことで、少しだけ変わることができた。観客の皆さんもアカネやチィたちと一緒に旅をしているような気持ちになって、冒険を楽しんでもらえたらいいですね」
本作で特筆すべきは、映像の色の美しさだ。キャラクターデザインは、インスタグラムのフォロワー160万人以上、ロシア出身、日本在住のイラストレーター、イリヤ・クブシノブ氏が担当している。
「今回、クブシノブ氏にお願いしたのは、○○○風、ナニナニみたい、と言われるようなものにしたくない、という思いがありました。観客に新鮮な気持ちでこの映画の世界に入り込んでもらうために、いままで見たことがないようなキャラクター、世界観が感じ取れるものにしたかった」
その思いにクブシノブ氏は見事に応えた。これまでの原監督作品とは一線を画するルックスのキャラクターたちが、まん丸でモフモフの羊たちがいる「ケイトウの村」や巨大蓮が浮かぶ湖など、色鮮やかなワンダーランドの中で躍動する。
「色にはすごく気を配りました。素敵な物語を美しい映像で楽しんでほしい。ワンダーランドにはエリアごとに異なる色の世界があって、同じ景色を見ていても、アカネは訪れる先々で不安になり、好奇心旺盛なチィは何を見ても楽しいという対比も面白く描けたと思う」
華やかな画面の中にもキャラクターが生きている温かみが表現されている点は、原監督の真骨頂といえる。
「監督として、個々のキャラクターのことを理解しておくというのはとても大事なこと。主要なキャラクターのスピンオフならいくらでも作れるくらい、彼女たちのことをわかっているつもり。でも、説明的な描写やせりふは極力削りました。自分の目で、頭で解釈してほしかったから。だからといって、難解な映画にしてしまっては“幅広い層のお客さんに楽しんでもらう”という目的は果たせない。そのバランスはうまくいったと思います。観客が『あれはどういう意味だったんだろう?』と、想像力を刺激したいと思っていました。物語の細部や続きが気になる映画って、すごく素敵じゃないかと思っているんですよね」
ちなみに、原監督が小学6年生の頃は「よく妄想していましたね(笑)。映画やテレビを見たり、本を読んだりして、刺激を受けてはいろんな妄想をしていました。特にゴジラが大好きだったので、いつもあそこにゴジラがいたらどうする? どうなる? みたいなことを考えてばかりいました(笑)」。
その妄想力が、原監督の発想の源になっているのだろう。妄想の中ではなんでもできる。
「日常でそんなに面白いことはそうそう起きない。そんなこと、みんなわかっていると思いますが、この映画を観ている間くらいはそういうつまらない観念から離れて、不思議な世界を楽しんでもらえたらいいですね」
この映画の登場人物たちと一緒に旅をしながら、日常が少しでも豊かになるような妄想する力を磨きたい。
コメントする・見る
2019/05/02