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【いだてん】来年の大河はオリンピックがテーマ 作者・宮藤官九郎が経緯を明かす

 今年1月からNHKで放送された大河ドラマ第57作『西郷どん』が16日、最終回を迎えた。来年1月6日からは第58作『いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜』(毎週日曜 後8:00 総合ほか)が放送開始される。新しい主人公は、“日本で初めてオリンピックに参加した男”金栗四三(中村勘九郎)と“日本にオリンピックを呼んだ男”田畑政治(阿部サダヲ)。2020年の東京オリンピックを前にして、初参加から1964年の東京五輪までを振り返る、近代日本スポーツの創世記となる。作者は宮藤官九郎。連続テレビ小説『あまちゃん』の脚本家で、作詞作曲も手がけるロックバンドのギタリスト、映画監督でもあり、役者でもある多才な男は、なぜこの2人を主人公にしたのか。

■主人公を金栗四三と田端政治にした理由は?

【宮藤】オリンピックに関するドラマを作りましょう」ということになって、日本が初めてオリンピックに関わった時から始めたいな、と思った時に、僕が一番シンパシーを感じたのが金栗四三さんでした。日本が初めてオリンピックに参加したストックホルム大会のマラソンに出場した方なんですが、期待されて参加したのに大惨敗してしまった。知名度は低いけれど、金栗さんの本番に弱かったところに人間味を感じました。歴史に名を残した人や、上りつめていく人よりも、頑張ったけどダメだった…みたいな人に親近感を抱いてしまうんです。

 金栗は、オリンピックに計3回、ストックホルムの後、アントワープ大会(ベルギー)、パリ大会(フランス)に出場。1度もメダルをとることなく終わっている。一方で、箱根駅伝を始めたり、女子スポーツ教育振興に取り組くんだり、後進の育成に尽力し、それらの功績が認められ、昭和30年(1955年)には、スポーツマンとしては初の紫綬褒章を受賞している。昭和58年(1983年)92歳で大往生しており、昭和39年(1964年)の東京オリンピックの時も健在だった。

【宮藤】ただ、金栗さんは64年の東京オリンピックにはほとんど関与していなくて。東京開催の実現化の功労者の中で気になったのが田畑政治さん。オリンピック招致の中心にいたはずなのに、東京オリンピックの関係者として名前が残っていない。実は、口が災いして、本番直前に大事なポストから降ろされてしまったらしいんですよ。これも面白い、と思って。金栗さんからバトンを渡すような形で後半は田畑さんを主人公にしました。

 田畑政治は、特に水泳競技の発展に尽力した人物でもある。競泳は、2020年の東京オリンピックでメダル量産が期待されている競技でもあり、日本人女性がオリンピックで初めて金メダルを獲得したのも競泳(ベルリンオリンピック平泳ぎ200メートルで前畑秀子が金メダル。NHKアナウンサーによる「前畑、ガンバレ」の絶叫でも知られる)。いろいろなエピソードが期待できそうだ。

【宮藤】金栗さんについては、資料が残っていないことも多く、実話に基づきながらもフィクションでふくらませられるんだけど、田畑さんの頃になると、大概、資料が残っていて、昭和7年(1932年)のロサンゼルスオリンピックとか、その日何を食べたかまで記録が残っている。なんでこんなに資料があるんだろうっていうくらい。うそがつけなくなる、というのが書き手としては難しいところです(笑)」

■古今亭志ん生を描く理由

 資料がありすぎて困るというのは、これまでの大河ドラマの中でも稀有な悩みだ。また、物語の語り手として、古今亭志ん生(ビートたけし)の落語を取り入れ、志ん生自身の半生も並行して描いていく。若き日の志ん生・美濃部孝蔵を森山未來、志ん生の弟子・五(ご)りんを神木隆之介が演じる。

【宮藤】オリンピックに関するドラマを作ろうとまとまる前に、戦前戦後を生きた人を主人公に、僕なりに『戦争』を描けないか、という話をしていて、その時、古今亭志ん生さんがいいんじゃないか、と言いました。1890年生まれで、金栗さんとも一つ違い。志ん生さんがオリンピックに関わっていた史実はまったくないので、そこは創作になります。オリンピックをちょっと斜に見ているストーリーテラーが一年間、オリンピックの噺をするスタイル。志ん生の高座を軸に、時間や空間を飛ばすのはどうだろう、と提案しました。

 マラソンがテーマといっても、走っている映像をずっと見せるわけにはいかないし、落語をはさむことで時間を飛ばしたり、その時、あの人は、と場面転換もしやすくなると考えました。そもそも歴史を動かすような将軍とか殿様の話よりも庶民の話がやりたかったので、庶民の娯楽として定着、発展した落語が合うと思いましたし、実際、執筆しながら重宝しています。

■いままでにない大河ドラマになる

【宮藤】先に面白いことやりましょう、というのがあって、これで大河になりますかね? 今までの大河ドラマにこんなのないですよね、というところから始めたんですが、当初思っていたよりは大河ドラマっぽくなっているんじゃないか、と。だいたい、大河ドラマの作者って、怒られるじゃないですか(笑)。史実と違うとか、この時代にこれはないとか。1年間、視聴者に怒られずにやり過ごせることを願うのみです。道を踏み外さないように頑張ります。

 ちなみに、『西郷どん』の主人公、西郷隆盛が明治維新を成し遂げた後、西南戦争で亡くなったのが明治10年(1877年)9月24日。『いだてん』の主人公の一人、金栗四三は、明治24年(1891年)8月20日に、西南戦争の激戦地・田原坂からも程近い熊本県玉名郡春富村(現・和水町)で誕生している。西南戦争では熊本でも薩軍と政府軍の激しい戦いが繰り広げられた。西南戦争は日本史上最後の内戦となったけれど、その後、1964年の東京オリンピックを迎えるまでの日本は、断続的に外国と戦争をすることになる。『いだてん』はそんな時代の物語。



関連写真

  • 大河ドラマ『いだてん』(2019年1月6日スタート)作者の宮藤官九郎(C)NHK
  • 主人公は“日本で初めてオリンピックに参加した男”金栗四三(中村勘九郎)(C)NHK
  • もう一人の主人公は“日本にオリンピックを呼んだ男”田畑政治(阿部サダヲ)(C)NHK

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