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『インクレディブル・ファミリー』35億円超のヒット、ピクサーで働く日本人クリエイターに聞く〜原島朋幸さん

 8月1日より公開中のディズニー/ピクサー映画『インクレディブル・ファミリー』は、全米で、『アナと雪の女王』(2013年)や『ファインディング・ドリー』(16年)を超え、全米歴代アニメーション作品興行収入歴代No.1を記録。実写映画を含む歴代興収は『美女と野獣』を抜きTOP10入りする快挙を成し遂げた中、日本でもインクレ旋風が巻き起こっている。

ピクサー・アニメーション・スタジオで働く日本人クリエイターの原島朋幸さん(アニメーター)(C)KaoriSuzuki

ピクサー・アニメーション・スタジオで働く日本人クリエイターの原島朋幸さん(アニメーター)(C)KaoriSuzuki

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 公開3週目の週末(8月18日・19日)は、土日2日間で観客動員22万4023人、興収は2億8360万5300円を上げ、映画ランキング3位をキープしている。公開から19日間の累計動員は283万9752人、興収は33億8926万5400円、8月21日の時点で35億円を突破している。

 同作は、『トイ・ストーリー』や『モンスターズ・インク』のピクサー・アニメーション・スタジオが制作する長編アニメーション20作目という記念すべき作品でもある。ヒット作を毎回世に送り出し続けるピクサー・アニメーション・スタジオについて、『インクレディブル・ファミリー』の制作に携わった日本人スタッフの原島朋幸さん(アニメーター)に話を聞いた。

 原島さんは、『ジュラシック・パーク』(1993年)を観て、CGによって映画制作に関わることができると知り、それをきっかけにCGを始める。ショート・フィルムを作るうちに、キャラクターを動かすことの楽しさに気づき、アニメーターを志す。ドリームワークスで8年半ほど仕事をした後、3年前にピクサー・アニメーション・スタジオに入社。『アーロと少年』(15年)、『ファインディング・ドリー』(16年)、『カーズ/クロスロード』(17年)、『リメンバー・ミー』(17年)、『インクレディブル・ファミリー』の5作品を手掛けている。

■みんなピクサーが好きで、すごく誇りに思っている

――ピクサーに移ってきて、社風のカルチャーショック等はありましたか?

【原島】なんとなくほかの会社とはちょっと違った“ピクサーカルチャー”みたいなものがあるな、と思いましたね。クリエイティブを大事する、そこに対するこだわりといいますか…、そこが一番特徴的なんじゃないかな。ピクサーは歴史がある会社で、長く勤めている人がすごく多いんです。ピクサーが好きで、すごく誇りに思っている。だからここで働いている、という人が多いと思います。作品のロゴなどが入ったクルージャケットやクルーTシャツを着ている人も多い(笑)。ピクサーの作品が好きじゃないとなかなか外では着られないですよね。多くの人が作品のことを知ってくれているからTシャツを見て、「その作品、見たよ」「よかったよ」って言ってくれたりする。そういうのってやっぱりうれしいですしね(笑)。

――これまでに携わった5作品は、全てタイプが違った作品ですが、それぞれに違うチャレンジがありましたか?

【原島】ありました(笑)。最初は恐竜で、それから魚になって、車になって、人間だけどスケルトンになって、スーパーヒーローになって…、次は『トイ・ストーリー4』です。

――『インクレディブル・ファミリー』ではどのキャラクターやシーンを担当されましたか?

【原島】いろんなキャラクター・シーンを担当したんですけど、ボブたち一家が新しい家に入ってくるシーン。入ってきて階段を下りていくあたりと、前作(2004年公開『Mr.インクレディブル』)の頃からフロゾンが氷の上をスケーティングするシーンをやりたかったので、そこを少しやらせてもらったのと、後はネタバレになってしまうので言えないシーンも担当しています(笑)。メインのキャラクターとウィンストン・ディヴァー(新キャラの通信会社デブテックを率いる実業家)が登場するシーンですね。エドナ・モード(ヒーロースーツを手がけるカリスマデザイナー)のパートはやってないです。

――ピクサーの仕事で一番やりがいを感じたことは?

【原島】アメリカに来て、CGアニメーターになるため、まずはサンフランシスコのアートスクールに通ったんですが、それが2004年。「ピクサークラス」と呼ばれている、ピクサーのアニメーターが講師を務めるクラスを取っていたんです。ちょうど『Mr.インクレディブル』を手掛けたアニメーターからいろいろ教えてもらって、その後、ピクサーで働くことになって、続編の『インクレディブル・ファミリー』に関われたことは、すごく感慨深いですね。

 『ファインディング・ドリー』の共同監督のアンガス・マクレーンは、私にとって最初の先生の一人だったんですけど、彼は『Mr.インクレディブル』でアニー賞を取ったんですね、アニメーターとして。もう一人の先生、スコット・クラークは、『トイ・ストーリー4』のスーパーバイザーなんですけど、とにかく私がCGアニメーションを学びはじめた時の先生が当時、携わっていたのが『Mr.インクレディブル』だったんです。

■ピクサーはクリエイティブに対する姿勢と自信が特別

――1周まわって運命がまわってきた。ピクサーの作品づくりに長く携わっているクリエイターが教え、教えられて、ヒット作を生み出すレガシーが引き継がれているんですね。ほかに、ピクサーが独特だなと感じるところはありますか?

【原島】ドリームワークスでは、完成前の作品を何度か一般の人に見てもらって(パブリックスクリーニング)、アンケートを取って、そこでの意見を受けてストーリーが変わることもまあまああったりしたんですが、ピクサーはスクリーニングをやったとしても1回で、一切やらないこともあるんです。アンケートに対するアプローチも真逆で、自分たちがやっていることの正しさを確認するためのもの。アンケートが気づきになって、修正することもありますが、自分たちが作りたいものというのは揺るぎなくて、自分たちがやるべきことをきちんとわかっているし、自分たちがやっていることを信じている。クリエイティブに対する姿勢と自信が違うな、と思いました。

――ブラッド・バード監督との仕事はどうでしたか?

【原島】アニメーター出身の監督なので、アニメーター目線の細かい指摘が入る時と、ストーリー目線から指摘が入る時と2パターンあったんですが、すごくはっきりしていました。このフレームとこのフレームはいらない、といった1フレーム単位で指摘してくることがあって、ピンとこない方もいらっしゃると思いますが、それは本当にすごいことなんです。
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  • ピクサー・アニメーション・スタジオ (C)ORICON NewS inc.
  • 『インクレディブル・ファミリー』(8月1日より公開中)(C))2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

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