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医師たちの日常描く『コード・ブルー』 担当Pに聞く映画化のこだわり

 ドクターヘリに携わる医療関係者の葛藤と奮闘を描いた『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』劇場版が7月27日に公開する。シリーズを通して描かれたのは目の前の命と向き合う医師・看護師たちの日常だ。2008年に連ドラとしてスタートした1st Seasonから携わっている増本淳プロデューサーがドラマ版から大切にしているこだわりを語ってくれた。

『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(C)2018「劇場版コード・ブルー ?ドクターヘリ緊急救命-」製作委員会

『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(C)2018「劇場版コード・ブルー ?ドクターヘリ緊急救命-」製作委員会

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 第一作では同じフライトドクター候補生だった藍沢耕作(山下智久)、白石恵(新垣結衣)、緋山美帆子(戸田恵梨香)、藤川一男(浅利陽介)、そしてフライトナースの冴島はるか(比嘉愛未)。昨年7年ぶりに復活した3rd Seasonでは、かつての彼らのように未熟なフライトドクターたちの後輩も加わりながら5人ぞれぞれが自らのキャリアを歩み始めた。明確なテーマは決めずにあくまで「どちらかといえばあの5人の生活の一部分をのぞき見するような日記のような番組」として制作されてきた。

 その延長の世界で描かれる劇場版。「映画化にあたって、大きなテーマを設けてそれを『みたな』と思わせるのが一番手っ取り早いし、見やすいけれど、そうすると『コード・ブルー』っぽくなくなってしまう…という点は実はハードルになっている。病院を揺るがす大事件とか日本の危機を5人が救うみたいな話にしてしまうと日常を丁寧に描いてきた番組の本質からそれていってしまう。強いテーマは設けずに彼らの生活の断片を大きな舞台でみせたいというのが気を遣ったポイントです」。

 ドラマ版でも描かれてきた大規模事故や災害のスケールは大きくしながらも、あくまで「日常を描く」という軸はそのまま残した。連ドラ版との違いでいえば、「ドラマは観終わった後に、僕らが伝えたいと、物語の裏側に隠したテーマをじっくり考えてもらうようなつくりにしていた。映画ではデートや家族で観る人もいると思うので大事な誰かと観て、大事な誰かを大切にしたい、一緒にいられることの幸せを感じられるような、観終わった後に優しい気持ちになるエピソードを『コード・ブルー』としては珍しく挑戦してみたという感じですね」。

 撮影前にはメインキャスト5人とトータル7、8時間に及ぶ話し合いを行った。その際は「例えば大長編『ドラえもん』のように、ジャイアンも含め、みんながヒーローとして一致団結…みたいなことをやるかどうか」という映画ならではの設定の改変も話題にのぼったという。だが「やっぱり『コード・ブルー』は『コード・ブルー』。アイツらはいつもどおりの距離感、近づきすぎず、必要以上の反目もなく、いわゆる“悪”という存在もでてこないし全員が自分たちの正しい道を生きている。その結果、もちろん対立もあるし摩擦も起きるけどそれぞれ頑張っているという構造は捨てないほうがいいんじゃないか」という結論にたどり着いた。

 「あくまで5人の物語、レギュラーを入れれば11人ですが、たった11人の力では世界は救うことはできない。日本の医療を変えることはできない。しょせん、目の前にいる数人しか救えない。その数人すら半分くらいは死んでしまうこともある」とあくまでリアリティーある世界で生きる医療関係者の日々を紡ぐ物語。世の中に数多ある医療モノの作品ではもちろん“スーパードクター”のようなヒーローもいる。だが、そういった点では『コード・ブルー』の世界では「救えない命」もあり、それを目の当たりにしたことで生まれるドラマもある。

 もともと、増本氏は『救命病棟24時』シリーズや『Dr.コトー診療所2006』(2006年)などを担当。「みんなの理想の医師を具現化したファンタジックなスーパードクターものをやってきたので、そこへのカウンター。アンチテーゼとして始めたのがこの『コード・ブルー』。1stを始めたとき、この人たちが来れば絶対助かるみたいな、ドクターヘリが飛んだら全部丸く収まるみたいなものにするのは違うかなと思った」と同作だからこそ指針をなぞった。

 緊迫した医療現場のリアルを映しつつ、5人ならではの絶妙な距離感から生まれるせりふがときに笑いを起こし、ときにぐっと心をつかむ。物語の終盤にはこの作品の“集大成”も用意され、それがこの10年間を経た5人を表すひとつの答えになっている。10年かけ劇場版までたどり着いた人気シリーズのキャラクターを演じてきた山下や新垣5人にも彼らならではの独特なバランスを保っている。

 「この5人だからやれた。登場人物のキャラクターはこちらでコントロールできるけど、演じる人たちがバランスをとれるかは運命に左右される。偶然の産物ですね。10年経って思うのは最初会ったときからあの5人が嫌な空気になったことがない。常にみんな良きライバルでへんにベタベタもしないし、全員がいい形で互いを刺激しあって尊敬もしあっている。この物語をつくってこれたのはあの5人だったから。それが10年やってみてわかったことですね」。

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  • 『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(C)2018「劇場版コード・ブルー ?ドクターヘリ緊急救命-」製作委員会
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