NHKで放送中の大河ドラマ『おんな城主 直虎』(毎週日曜 後8:00 総合ほか)は、戦国時代の静岡県浜松市(奥浜名湖地域)が舞台。ご当地では、主人公の井伊直虎ゆかりの地や観光名所を巡る観光客で賑わっている。今回、1泊2日の日程で、『直虎』の聖地を巡る旅を敢行した。インスタジェニック(インスタ映えする)なポイントも紹介する。
■龍潭寺に「亀」と「鶴」がいた!
1日目。午前9時すぎに新幹線で浜松駅に到着。JR浜松駅構内にある「直虎インフォメーション」に立ち寄って、常駐スタッフから情報収集。直虎ゆかりの地、井伊谷(現在の浜松市北区引佐町井伊谷)までバスで小1時間かかると聞き、レンタカーを借りることに。
最初に向かったのは、【龍潭寺】。直虎の曽祖父・井伊直平が建立した井伊家の菩提寺。直虎が出家し「次郎法師」として修行を積んだ寺だ。直虎の位牌、文書などが保管されているほか、井伊家歴代墓所があり、直虎も直親と隣同士に並んで祀られている。国指定名勝の庭園もあり、これは江戸時代初期に井伊直孝(井伊直政の次男)が小堀遠州に依頼して造らせたと伝わる。
縁側に座って庭を眺めていると、のんびりと良い気分だ。音声ガイドに耳を傾けると、心字池の中にあるひとつの石が蓬莱の島、その石に向かって右側に大亀が海に向かっていく姿を数多くの石組みで表した亀出島、その反対側の築山全体が大空を飛ぶ鶴の姿を表しているという。こんなところに「亀」と「鶴」がいるなんて。
さらにこの庭園は、向かって右側に多くの石が置かれ、中央から左に向かってまばらになっていく。そのため、右端から写真を撮ると遠近法の効果により肉眼で見るより、庭が広く、井伊家霊屋がはるか遠くに映る。写真を撮るなら右端からがおすすめ。
龍潭寺の山門を出て案内表示に従って進むと、民家の先に広がる田んぼの中にこつ然と現れる白壁で囲まれたところに、直虎の先祖・井伊氏初代の共保公が生まれたとされる井戸がある。今頃は、水田の稲は伸び盛り。季節が移って、稲が実って穂が黄色く色づく頃もさぞかしきれいな風景が見られることだろう。
■インスタ映え間違いなし、直虎なりきり体験
龍潭寺から県道320号を南下し、10分足らずで「気賀」に到着。東海道の脇街道(本坂通)沿いの町で、川から湖、さらに海へとむかう交易拠点として栄えた様子がドラマでも描かれている。ここには、【大河ドラマ館】【気賀の関所】【田空(でんくう)ショップ】があり、都田川にかかる【気賀直虎桟橋】からはガイド付きの遊覧船も運航中。
大河ドラマ館は、その名の通り、大河ドラマの世界を体感できる施設で、撮影に使われた衣装や小道具などが展示され、ドラマの内容に合わせて展示替えも行われている。
気賀の関所は、1601年に徳川家康によって創設されたといわれている関所。現在あるのは、ふるさと創生事業により1990年に再建されたもので、大河ドラマ館オープン期間中(来年1月14日まで)は入所無料で見学できる。ここで人気なのは、着替え体験。女の子は「おとわ」、大人の女性は「次郎法師」や「直虎」になりきって記念撮影が楽しめる。男の子には甲冑(かっちゅう)がおすすめ。ほかにも姫や若殿、町娘、侍、旅姿、忍者などの衣装が用意されている。インスタジェニックな写真が撮れること間違いなしだ。
■現代に受け継がれる“直虎”イズム
隣接する田空ショップでは、食事ができるほか、直虎グッズをはじめ、地元の名産品がずらり。ここで目にとまったのは、「うなぎいも」関連の品。『直虎』に小野政次役で出演する俳優の高橋一生を取材した際、浜松で食べた「うなぎいも」なるサツマイモが「すごくおいしかった」と話していたのだが、ここへ来て、ようやく「うなぎいも」が何かを知った。
それは、ウナギを提供する飲食店やうなぎ加工会社で捨ててしまっていたウナギの骨や頭などを肥料に栽培したサツマイモ。浜松、浜名湖といえばウナギの産地として有名だが、実はサツマイモも古くから栽培されていた郷土食材の一つだった。この2つを掛け合わせ、「うなぎいも」と名付けてブランド化し、浜松の新しい名物にしようと2011年にプロジェクトがスタート。13年に生産者によるうなぎいも協同組合が設立された。生産者=収穫量も増えているといい、地元の食品メーカーとも連携して、生プリンやタルト、どら焼きなど、30種類以上の商品が開発・販売されている。
井伊家の財政を立て直すための新たな産業として、綿布や材木の商いをはじめる直虎の進取の精神と勇気、心意気が現代にも受け継がれているのを感じた。
※記事初出時、「うなぎいも」が「うなぎいいも」となっておりました。訂正してお詫びします。
■龍潭寺に「亀」と「鶴」がいた!
1日目。午前9時すぎに新幹線で浜松駅に到着。JR浜松駅構内にある「直虎インフォメーション」に立ち寄って、常駐スタッフから情報収集。直虎ゆかりの地、井伊谷(現在の浜松市北区引佐町井伊谷)までバスで小1時間かかると聞き、レンタカーを借りることに。
最初に向かったのは、【龍潭寺】。直虎の曽祖父・井伊直平が建立した井伊家の菩提寺。直虎が出家し「次郎法師」として修行を積んだ寺だ。直虎の位牌、文書などが保管されているほか、井伊家歴代墓所があり、直虎も直親と隣同士に並んで祀られている。国指定名勝の庭園もあり、これは江戸時代初期に井伊直孝(井伊直政の次男)が小堀遠州に依頼して造らせたと伝わる。
縁側に座って庭を眺めていると、のんびりと良い気分だ。音声ガイドに耳を傾けると、心字池の中にあるひとつの石が蓬莱の島、その石に向かって右側に大亀が海に向かっていく姿を数多くの石組みで表した亀出島、その反対側の築山全体が大空を飛ぶ鶴の姿を表しているという。こんなところに「亀」と「鶴」がいるなんて。
さらにこの庭園は、向かって右側に多くの石が置かれ、中央から左に向かってまばらになっていく。そのため、右端から写真を撮ると遠近法の効果により肉眼で見るより、庭が広く、井伊家霊屋がはるか遠くに映る。写真を撮るなら右端からがおすすめ。
龍潭寺の山門を出て案内表示に従って進むと、民家の先に広がる田んぼの中にこつ然と現れる白壁で囲まれたところに、直虎の先祖・井伊氏初代の共保公が生まれたとされる井戸がある。今頃は、水田の稲は伸び盛り。季節が移って、稲が実って穂が黄色く色づく頃もさぞかしきれいな風景が見られることだろう。
■インスタ映え間違いなし、直虎なりきり体験
龍潭寺から県道320号を南下し、10分足らずで「気賀」に到着。東海道の脇街道(本坂通)沿いの町で、川から湖、さらに海へとむかう交易拠点として栄えた様子がドラマでも描かれている。ここには、【大河ドラマ館】【気賀の関所】【田空(でんくう)ショップ】があり、都田川にかかる【気賀直虎桟橋】からはガイド付きの遊覧船も運航中。
大河ドラマ館は、その名の通り、大河ドラマの世界を体感できる施設で、撮影に使われた衣装や小道具などが展示され、ドラマの内容に合わせて展示替えも行われている。
気賀の関所は、1601年に徳川家康によって創設されたといわれている関所。現在あるのは、ふるさと創生事業により1990年に再建されたもので、大河ドラマ館オープン期間中(来年1月14日まで)は入所無料で見学できる。ここで人気なのは、着替え体験。女の子は「おとわ」、大人の女性は「次郎法師」や「直虎」になりきって記念撮影が楽しめる。男の子には甲冑(かっちゅう)がおすすめ。ほかにも姫や若殿、町娘、侍、旅姿、忍者などの衣装が用意されている。インスタジェニックな写真が撮れること間違いなしだ。
■現代に受け継がれる“直虎”イズム
隣接する田空ショップでは、食事ができるほか、直虎グッズをはじめ、地元の名産品がずらり。ここで目にとまったのは、「うなぎいも」関連の品。『直虎』に小野政次役で出演する俳優の高橋一生を取材した際、浜松で食べた「うなぎいも」なるサツマイモが「すごくおいしかった」と話していたのだが、ここへ来て、ようやく「うなぎいも」が何かを知った。
それは、ウナギを提供する飲食店やうなぎ加工会社で捨ててしまっていたウナギの骨や頭などを肥料に栽培したサツマイモ。浜松、浜名湖といえばウナギの産地として有名だが、実はサツマイモも古くから栽培されていた郷土食材の一つだった。この2つを掛け合わせ、「うなぎいも」と名付けてブランド化し、浜松の新しい名物にしようと2011年にプロジェクトがスタート。13年に生産者によるうなぎいも協同組合が設立された。生産者=収穫量も増えているといい、地元の食品メーカーとも連携して、生プリンやタルト、どら焼きなど、30種類以上の商品が開発・販売されている。
井伊家の財政を立て直すための新たな産業として、綿布や材木の商いをはじめる直虎の進取の精神と勇気、心意気が現代にも受け継がれているのを感じた。
※記事初出時、「うなぎいも」が「うなぎいいも」となっておりました。訂正してお詫びします。
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2017/06/27