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映画『探検隊の栄光』は“やらせ”を楽しんでいた時代へのオマージュ

 全世界で記録更新中の米映画『ジュラシック・ワールド』。日本でも8月5日に公開されてからロングラン上映が続き、興行収入は90億円を突破した(10月15日現在)。世界中の人々と共有できる作品、世界共通言語としての映画を楽しむのもいいが、日本人だからこそ楽しめる映画もある。それが邦画の醍醐味だ。公開中の映画『探検隊の栄光』を楽しめるのはおそらく日本人だけ、それも1970年代から80年代にかけて一大ブームを巻き起こしたテレビ番組“探検隊シリーズ”を知る人なら100%楽しめるに違いない。

映画『探検隊の栄光』(公開中)でワニと格闘する杉崎隊長(藤原竜也)(C)2015「探検隊の栄光」製作委員会 (C)荒木源/小学館

映画『探検隊の栄光』(公開中)でワニと格闘する杉崎隊長(藤原竜也)(C)2015「探検隊の栄光」製作委員会 (C)荒木源/小学館

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 同映画は、落ち目の俳優・杉崎(藤原竜也)とテレビ番組のクルーが「杉崎探検隊」として、秘境の地を舞台に伝説の未確認生物(UMA)「ヤーガ」探しの“撮影”に臨む姿をユーモアに描いた作品。探検隊の面々は、ファイクドキュメンタリー番組を撮影している設定なのだが、随所に物々しい効果音やテロップ、ナレーションが加えられたテレビ映像が随所に挟み込まれる。

 本作の面白さは、“決死の覚悟で秘境の地に挑む探検隊”という番組イメージの一方で、実は行き当たりばったりで番組作りをしているという、“完成版と実際の撮影方法の落差”にある。杉崎がジャングルの中の川でワニと格闘している“テレビ映像”と、一歩引いたアングルで浅い川辺でワニの模型とたわむれている“実際の映像”の対比が抜群で、交互に見せる演出はさらに真剣さとバカバカしさのギャップを際立たせ、笑いを誘う。

 主演の藤原は劇中の探検隊を上回る壮絶なロケの連続に「記憶が飛ぶくらい過酷な撮影だった」と語っていたが、熱帯ジャングルを彷彿(ほうふつ)とさせながら、実は千葉近郊、関東圏で行われていたというのも、種を明かせば実に邦画らしい。予算の問題もスケジュールの問題もすべて逆手に取って作られた本作は、まさに“やらせ”を逆手に取った冒険エンターテインメントとしての往年の探検隊シリーズへのオマージュ。監督を務めた山本透氏は1969年生まれ。探検隊シリーズ全盛期に小学生だった世代だ。

 同映画は、映画化もされた『ちょんまげぷりん』の作者として知られる荒木源氏の同名小説が原作。小説では生死をかけたゲリラ戦などがシビアに描かれているが、映画では荒木氏の許可を得て、登場人物の設定などに大幅な変更が加えられている。映画ならではの面白さを追求し、独自のプロットを書き上げた山本監督は「原作はどちらかというとビターエンド。僕はいつも笑って映画館を出てほしいと思っているんです。だからこの作品もハッピーエンドで終わらせたかった」と作品に込めた思いを語っている。

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  • 映画『探検隊の栄光』(公開中)でワニと格闘する杉崎隊長(藤原竜也)(C)2015「探検隊の栄光」製作委員会 (C)荒木源/小学館
  • 映画『探検隊の栄光』(公開中)でワニと格闘する杉崎隊長(藤原竜也)を撮影している映像(C)2015「探検隊の栄光」製作委員会 (C)荒木源/小学館
  • 映画『探検隊の栄光』山本透監督(C)2015「探検隊の栄光」製作委員会 (C)荒木源/小学館
  • 実際撮影している映像
  • 映画『探検隊の栄光』(公開中)に登場するワニ(C)2015「探検隊の栄光」製作委員会 (C)荒木源/小学館
  • 映画『探検隊の栄光』探検隊メンバー(左から)田中要次、小澤征悦、、岡安章介(ななめ45°)、藤原竜也、ユースケ・サンタマリア、佐野ひなこ(C)2015「探検隊の栄光」製作委員会 (C)荒木源/小学館
  • 映画『探検隊の栄光』場面写真(C)2015「探検隊の栄光」製作委員会 (C)荒木源/小学館
  • 映画『探検隊の栄光』場面写真(C)2015「探検隊の栄光」製作委員会 (C)荒木源/小学館
  • 映画『探検隊の栄光』場面写真(C)2015「探検隊の栄光」製作委員会 (C)荒木源/小学館
  • 映画『探検隊の栄光』場面写真(C)2015「探検隊の栄光」製作委員会 (C)荒木源/小学館

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