今月15日に全国13館で公開され、小規模展開ながら全国映画動員ランキングトップ10(興行通信社調べ)で初登場9位を記録したオリジナル劇場アニメ『楽園追放-Expelled from Paradise-』(公開中)。同作で初めてオリジナル劇場作を手掛けた水島精二監督は「かわいい女の子と、かっこいいメカが好きなアニメファンは多いと思いますが、ファンのニーズに応えつつ、映画を観終わった後に、何かしら“いいもの”を持ち帰ってもらえる作品になったと思う」と手応えを語る。
同作は、『魔法少女まどか☆マギカ』の虚淵玄氏(ニトロプラス)のイマジネーションから生まれたスケールの大きな未来像を、水島監督とアニメーション制作を担ったグラフィニカのCGスタッフが圧倒的なセンスでビジュアル化。充実した世界観のストーリーと映像効果が合間って、観客は物語世界へのめり込み、鑑賞後に余韻という“いいもの”が残る作品になっている。
映像制作にあたっては「全編3DCGでつくる」というのが大前提にあった。ピクサーの『トイ・ストーリー』(1995年)以降、3DCGによるアニメーション制作が世界の主流となっているが、日本では「セルルック」と呼ばれる、3DCG技術を用いながら従来のセルアニメーションのような表現を追求する独自の制作手法が新たな潮流となりつつある。その中で、『楽園追放』はキャラクターもメカも3DCGで描きぬくことにこだわった作品だ。
来月から北米公開も決定し、水島監督は「デジタル技法を用いて、従来のセルアニメーションの質感にどれだけ肉薄し、作画を超える表現を獲得できるかに挑んだ野心作。当初の目標はクリアできた」と達成感をにじませた。
「今回、やってみて感じたのは、まだまだ伸びしろというか創意工夫のしようがあるということ。3DCGだからこそ実現できる表現をどんどん獲得していきながら、作画のなかで培われた日本のアニメ独自の魅力を広げる表現方法というのが見えてくるんじゃないか。まずは現時点でベストを尽くした『楽園追放』を観て、『日本の3DCGアニメって、もうこんなところまで来ているんだ』というのも知ってもらえるとうれしい」と意欲を示した。
3DCG技術を駆使して描かれるのは、西暦2400年の未来世界。人類の多くが、廃墟と化した地球を捨て、肉体も捨て、データとなって電脳世界ディーヴァで暮らすようになっていた。物語は、ディーヴァが地球上から謎のハッキングを受けるところから始まる。ハッキングの主は、フロンティアセッターと名乗った。ハッキングの狙いは何か。
ディーヴァの捜査官アンジェラは、生身の体・マテリアルボディを身にまとい、機動外骨格アーハンを伴い、荒廃した地上に降り立つ。地球にとどまり続ける人類もいる中、その一人である地上調査員ディンゴの協力を得ながら、どこかに潜んでいるフロンティアセッターを謎に迫っていく。
1990年代にヴァーチャル・リアリティ(VR/仮想現実)という言葉や概念が、ゲームやアニメ、映画等のコンテンツで数多く用いられ、ちょっとしたブームを巻き起こしてから約20年。ハードウェアは軽量化、高性能化し、3DCGの性能も飛躍的に向上し、VRはもはやSFではなく、現実の世界でさまざまな分野での活用が見込まれている。『楽園追放』で描かれる世界もある種のリアリティを感じるのだ。
「現実がフィクションに追いついているっていうのは本当に感じます。今回、虚淵さんが描いたストーリーはとてもストレートで、“誰が人間らしいのか”というテーマがハッキリしていて、それに向けて会話やシチュエーションで巧みに追い込んでいくのはさすが。彼の特長でもある長文の会話をきちんと生かすためにも、キャラクターの芝居、表情をきちんと描写することを徹底しました。テーマがより浮かび上がってくるように物語の枝葉も全てそぎ落としてシンプルさを目指した結果、わかりやすいエンタテインメントができました。観終わった後に何かしら作品の世界が気になってしまうものが残せたんじゃないかと自負しています」。
3DCGで描き出されるキャラクターに生命を吹き込んだのは、釘宮理恵(アンジェラ)、三木眞一郎(ディンゴ)、神谷浩史(フロンティアセッター)ら過去の水島監督作品を支えてきた面々。さらに、林原めぐみ、高山みなみ、三石琴乃、古谷徹らが参加しており、水島監督は「信頼を裏切らないようにずっと仕事を続けてきたつもり。これまでに自分が積み上げてきたキャリアの集大成になりました」とひときわ笑顔を輝かせていた。
同作は、『魔法少女まどか☆マギカ』の虚淵玄氏(ニトロプラス)のイマジネーションから生まれたスケールの大きな未来像を、水島監督とアニメーション制作を担ったグラフィニカのCGスタッフが圧倒的なセンスでビジュアル化。充実した世界観のストーリーと映像効果が合間って、観客は物語世界へのめり込み、鑑賞後に余韻という“いいもの”が残る作品になっている。
映像制作にあたっては「全編3DCGでつくる」というのが大前提にあった。ピクサーの『トイ・ストーリー』(1995年)以降、3DCGによるアニメーション制作が世界の主流となっているが、日本では「セルルック」と呼ばれる、3DCG技術を用いながら従来のセルアニメーションのような表現を追求する独自の制作手法が新たな潮流となりつつある。その中で、『楽園追放』はキャラクターもメカも3DCGで描きぬくことにこだわった作品だ。
来月から北米公開も決定し、水島監督は「デジタル技法を用いて、従来のセルアニメーションの質感にどれだけ肉薄し、作画を超える表現を獲得できるかに挑んだ野心作。当初の目標はクリアできた」と達成感をにじませた。
「今回、やってみて感じたのは、まだまだ伸びしろというか創意工夫のしようがあるということ。3DCGだからこそ実現できる表現をどんどん獲得していきながら、作画のなかで培われた日本のアニメ独自の魅力を広げる表現方法というのが見えてくるんじゃないか。まずは現時点でベストを尽くした『楽園追放』を観て、『日本の3DCGアニメって、もうこんなところまで来ているんだ』というのも知ってもらえるとうれしい」と意欲を示した。
3DCG技術を駆使して描かれるのは、西暦2400年の未来世界。人類の多くが、廃墟と化した地球を捨て、肉体も捨て、データとなって電脳世界ディーヴァで暮らすようになっていた。物語は、ディーヴァが地球上から謎のハッキングを受けるところから始まる。ハッキングの主は、フロンティアセッターと名乗った。ハッキングの狙いは何か。
ディーヴァの捜査官アンジェラは、生身の体・マテリアルボディを身にまとい、機動外骨格アーハンを伴い、荒廃した地上に降り立つ。地球にとどまり続ける人類もいる中、その一人である地上調査員ディンゴの協力を得ながら、どこかに潜んでいるフロンティアセッターを謎に迫っていく。
1990年代にヴァーチャル・リアリティ(VR/仮想現実)という言葉や概念が、ゲームやアニメ、映画等のコンテンツで数多く用いられ、ちょっとしたブームを巻き起こしてから約20年。ハードウェアは軽量化、高性能化し、3DCGの性能も飛躍的に向上し、VRはもはやSFではなく、現実の世界でさまざまな分野での活用が見込まれている。『楽園追放』で描かれる世界もある種のリアリティを感じるのだ。
「現実がフィクションに追いついているっていうのは本当に感じます。今回、虚淵さんが描いたストーリーはとてもストレートで、“誰が人間らしいのか”というテーマがハッキリしていて、それに向けて会話やシチュエーションで巧みに追い込んでいくのはさすが。彼の特長でもある長文の会話をきちんと生かすためにも、キャラクターの芝居、表情をきちんと描写することを徹底しました。テーマがより浮かび上がってくるように物語の枝葉も全てそぎ落としてシンプルさを目指した結果、わかりやすいエンタテインメントができました。観終わった後に何かしら作品の世界が気になってしまうものが残せたんじゃないかと自負しています」。
3DCGで描き出されるキャラクターに生命を吹き込んだのは、釘宮理恵(アンジェラ)、三木眞一郎(ディンゴ)、神谷浩史(フロンティアセッター)ら過去の水島監督作品を支えてきた面々。さらに、林原めぐみ、高山みなみ、三石琴乃、古谷徹らが参加しており、水島監督は「信頼を裏切らないようにずっと仕事を続けてきたつもり。これまでに自分が積み上げてきたキャリアの集大成になりました」とひときわ笑顔を輝かせていた。

2014/12/02